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±0  作者: 日向陽夏
第1章 殺人カリキュラム【前】 処刑斬首編
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第4話 Fランクの怪物⑦

 「よせ、リリー。君の負けだよ」

 リリーがスイッチに指をかけた瞬間、俺の背後から声が響く。男の声だ。

 ゾッとしながら振り返ろうとするが、できない。だが、透の声だ。透……っ。

 《赤い羊》を率いる、王。6人の殺人鬼の頂点に立つ殺人鬼の中の殺人鬼。

 化け物を飼っている、化け物。

 今なら、分かる。ジェノサイダーになった今なら、分かる。

 ――――透には絶対に勝てない。

 こいつを殺す? 馬鹿か俺は。救いようが無い愚か者だ。

 背後にいる。分かる。それは分かる。なのに、振り返ることが出来ない。振り返ったらその瞬間首が飛ぶ。死のイメージがまとわりつき、とてもではないが、身動きなど出来る筈も無い。無理だ。絶対に、無理だ……。

 「何故、止めるんですか透さん。好きなときに、好きな人間を殺す。べつに構わないでしょう?」

 「百鬼零は殺人鬼になる素質がある。殺人鬼は、僕にとっては同胞だ。彼が手に入れた報酬を奪うことは、たとえ君でも許されない。それに、元々は花子の獲物だしね」

 透が静かに言うと、それだけでリリーは即座に目を伏せ黙る。それほどなのか、透という男の存在は。あれほど我が強いリリーですら、一瞬で反論を諦めるほどの……。

 「まずは、おめでとうと言っておくよ。百鬼零。君ならあるいはと思ったが……一時的にSSに到達したみたいだね。花子からも聞いている」

 透は俺の正面に立つと、にこやかに微笑み握手を求めてくる。俺は忌々しげにその手を睨み、何もしないでいると、透は苦笑しながら手を下げた。

 「君にとってのストッパーは、どうやらそこの少女のようだ。だからこそ、そこの少女を殺したり、壊したりすれば、君は間違いなくSSか、それ以上になれるだろうね」

 「セリカに、手を出したら、殺す……っ!」

 俺は恐怖すら忘れ、怒りも露わに透を睨み据える。瞬間、俺のジェネシスがスカーレットへと変色する。

 「そうだ、ランクダウンなんて、そんなつまらない結果は困る。オメガと同じでは、ね」

 透は暗い微笑を浮かべ、俺を見据える。

 「何を言っている……?」

 「理想は、リリーの勝利だった。が、君は勝った。なら、それ以外の方法で壊すまでだ。僕は、約束は守る主義でね。この戦いの報酬はきちんと君に与えよう。だが、まだ殺人カリキュラムは終わっていない」

 透は冷たく俺を一瞥すると、セリカの拘束を一つずつ丁寧に解いていく。

 「あり、がとうございます……」

 困惑したように、セリカは透にお礼を言っている。

 「どういたしまして」

 透はくすりと笑い、ドアの前まで歩みを進めると振り返る。

 「君は、僕を、そして花子を、殺すと宣言したね。覚えているかい?」

 「ああ」

 「そのチャンスを与えよう。まさか、リリーに勝つとは思わなかった。これは、僕の予想を超越したことに対するささやかな褒美だよ。さあ、ついておいで」

 透は行ってしまう。リリーも慌てて透の後に続く。

 「先輩、結は?」

 「あいつは、下の階にいる。死に物狂いでお前を助けようとしていた。あとで、礼を言っておくんだな」

 「…………はい」

 セリカは複雑そうな顔で頷く。

 「怪我は無いか?」

 「はい。怪我は、ありません」

 安心させようと笑おうとするが、上手くいかない。リリーに何かやられたか?

 「……先輩。私は、行かない方がいいと思います」

 セリカは、くい、と、俺の服の裾を引っ張ってくる。

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