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±0  作者: 日向陽夏
第1章 殺人カリキュラム【前】 処刑斬首編
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第4話 Fランクの怪物④

 「お前の闇は、深いな……」

 勝手に興奮してる赤染を軽く受け流し、俺は赤染から距離を取る。

 《百花繚乱》―ヒャッカリョウラン――

 赤染は即座に異能を使ってくる。ジェネシスを無数の華の形にして放出してくる技。回避は困難。防御をしても恐らく拘束されるか、破壊される。最善手は回避。だが、この狭い階段の空間でそれも困難。どうす――――

 《智者一失》――チシャノイッシツ――

 ――――ヒュン。

 何かが俺の頬をかすめていった。灰色の光。グレイジェネシス。それが矢だと気付くのに、数瞬遅れて気付く。

 矢が駆け抜けた軌道を、《百花繚乱》が避けていく。

 まるで、磁力で反発するかのように。

 結がグレイジェネシスで凶器化された弓を構え、射貫くように赤染を見据えていた。

 「……弓の凶器化? そんなのアリなの?」

 「《堕落遊戯》とは別に持つ、私の“二つ目”の能力。射った軌道からジェネシスを反発させる。地味な力ですが、回避能力でいえば《守護聖女》なんかより、ずっと上です」

 結は誇らしげに断言する。

「異能には無限の可能性があります。先輩には文武では勝てないかもしれませんが、ジェネシスでは私の方が先輩です。兄さんの邪魔をするのなら、たとえあなたでも許しません」

 不敵に笑い、結はジェネシスで出来た灰色の翼をはためかせる。

 「言うようになったわね、結」

 赤染も結に応えるように、不敵に微笑う。

 「兄さん、行って。ここは、私が」

 「だが、お前。グレイジェネシスのランクはそんなに高くないんじゃ?」

 「切り札も余している。問題ない。もう10秒も無い! 行って! 私を、信じて」

 結は生首の入ったスポーツバックを放り投げ、俺はそれを受け取る。

 「行って、兄さん! あと五秒!」

 「…………っ」

 結の鬼気迫る何かに押され、俺は振り返ること無く屋上のドアへ向かう。

 「行かせない」

 立ち塞がる赤染。お前は、いつも、俺の邪魔をする!

 「赤染ェェェエエエエエッッ!」

 剣を構え、脇目も振らず無茶苦茶に突進する。無策で突っ込むしか無い。赤染がどんなことをしてこうようとも、俺にはもうそれしかない。一つしか無いドアに赤染が立つのであれば、ブレーキのぶっ壊れたトラックのように突っ込むだけだ!

 「……っ」

 俺の狂気の瞳に、目尻を歪め僅かに赤染が唇を嚙む。

 「本気の百鬼くんのトリガーが、まさか女の子一人の為だなんてね。少し失望!」

 赤染も叫び、翼をはためかせながら、俺に突っ込んでくる。

 ここでしくじれば、本当に終わりだ。

 セリカが、終わる。

 それを考えれば考えるほど、興奮する。

 セリカが泣き叫び、絶望し、狂い、壊れていく。

 それが、 しい。

 俺の精神にノイズが走る。真逆の感情。破壊衝動と、セリカを助けたいという欲求。

 相反する思いが沸き出すと同時に、あの頃を思い出す。


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