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±0  作者: 日向陽夏
第1章 殺人カリキュラム【前】 処刑斬首編
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第1話 殺人カリキュラム③

「卵焼きか、いいな」

「へっ?」

「結、俺たちの晩飯も卵焼きにしよう。ケチャップかけてさ」

 後ろの席に座っているので、振り返らずに妹へ話しかける。

「今日の献立は五目あんかけ焼きそば。栄養バランスはエンゼル係数を踏まえて全て私が考えてあるから、兄さんは何も気にしないで。というか、思いつきで変なリクエストとかやめて。男っていっつも栄養バランス無視して献立決めるから、ほんと嫌になっちゃう」

 ほら、来た。出来すぎた妹を持つと兄は大変だ。し〇かちゃんとでき〇ぎくんが結婚したら多分こんな子が育つんだろうな、というような人間。それが結である。

「嫌だ嫌だ卵焼きが食べたい卵焼き食べたい」

 だだをこねてみる。

「先輩……」

 セリカが「こいつ……」みたいな感じで哀れむような蔑むようなジト目で俺を見てくる。

「もう具材も買ってある。賞味期限も切れてしまうから、駄目だよ」

 少しばつが悪そうに、結が言う。駄目、の部分がなんか甘い感じがするんだよなぁ。妹なのに変な気分にさせられてしまう。

「賞味期限は消費期限じゃ無いから問題ないぞ」

「もう……分かった。しょうがないな……本当。卵焼きも作ってあげるよ、ただ主菜はあんかけ焼きそばだから、そこは忘れないでね」

 フン、と鼻を鳴らしてそっぽを向きながらお許しをくださる我が妹。寛大だ……。

「やった! サンキュー結」

「ちっ……」

 また舌打ちが響く。安藤が「やってらんねえ、ゴミカス死ね」と言いたげな顔で俺を睨み付けてくる。

 まあ、こんな感じだ。

 俺の愛すべき日常。

 セリカがいて、結がいて、俺がいて。

 たまにセリカを結がいびって、セリカがそれに対抗して、俺がそれを宥めて。

 ま、日常なんてものがどれだけ脆い幻想かは、このときの俺はまだ知らなかった。

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