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±0  作者: 日向陽夏
第1章 殺人カリキュラム【前】 処刑斬首編
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第3話 生首プール⑬

 「…………死ねばいいのに」

 ぼそっと、吐き捨てるように結が呟く。いつも自分を偽る結が、本気で蔑むように田森を見据えている。うわ……怖。結がマジで怒るとシャレにならんからな……。

 「ぜってぇ後悔させてやるよォォ、俺をフったことォォ、死ぬまで後悔させてやんよォォ……俺の家が貧乏だからって見下してんだよなァァ……。俺は将来、代表取締役になる男……」

 叫び疲れたのか、ぜぇぜぇと息を切らす田森。ギラついた目でプールの浴槽の生首たちを見下ろし、狂った笑みを浮かべている。もう取り返しがつかない程に、壊れていやがるな。

 相当、結にフラれたショックが大きいんだな……。もう毎日のように結のことを思い出して怒り狂っていたに違いない。自信家な男が女に玉砕するとこんな風になるケースもあるのか。覚えておこう。

 ……まぁ結はモテるからな。こういう手合いも、そこそこいるのかもしれない。

 「結、男の振り方が酷かったんじゃないのか」

 「……だってあいつ、しつこかったから」

 「ああ……なるほどな」

 小声でやりとりする。結なら上手く男をフれそうなんだが、アイツは例外だったらしい。これは推測だが、もしかしたら田森は、丁寧にフラれたにも関わらず激昂して結を押し倒そうとでもしたのかもしれない。

 「でも、合気道で投げ飛ばして最悪は回避したから」

 「…………」

 俺の思考回路を読んだのか、俺の推察に補足する結。なるほどな……フラれて激昂、襲いかかるも反撃され惨敗。考えられる中、最悪のパターンじゃないか? 自信家の男がそんなめにあったら……目の前の田森の壊れっぷりも分からないでもない。まぁ、それでも結論としては田森が悪いことに変わりないがな。

 「はぁ、金、金、金……ェェェ」

 荒く息を荒げながら、田森はどこから調達したのか、百万円ほどの札束を口に入れ、目をギラつかせてそれを噛みしめている。卑しい……なんて卑しいんだ。こんなに卑しく醜い人間が、世の中に存在するのか。

 札束に唾液が染み渡り、田森は「きゃね、きゃね、きゃね」とぶつぶつと呟き続けている。キモチワリィな……。

 それにしても、どう出たものか。あまり近づき過ぎても気配でバレそうだし、何より数が多すぎる。機を伺うにしても、隙が無い。

 「H班、帰還しました。R班、全滅です!」

 どたどたと慌ただしく、三人の生徒が入ってくる。田村は札束をポケットにねじ込み、目を細めて三人を見据える。

 「全滅ゥゥ? 班員の生首は持ってきたんだろうなァ?」

 「はい! H班の生首は三つ、全て回収しました。ほら、お前ら、贈呈しろ。鞄に入ってるだろ?」

 「あ、どうぞ。田森様!」

 「三百万追加かァ、豪邸はいくつあっても住めるのは一つだしなァ。思い切って、城でもおったてるか? となると足りねぇな。金だ金。金が足りねぇ。一億二千九百万円ぽっちじゃまるで足りねぇ! カスみてぇな金だ! ゴミゴミゴミィィ! ちり紙にもなんねぇんだよォ! さっさと持ってこいや、おら。足りねぇって言ってんだよ! 金が欲しい! 金が欲しい金が欲しい金が欲しいィィ! H班、D班、ぐずぐずすんなァ! テメェらの役割は生首を回収することだろうがァ! 内訳欲しいだろォォ!? アア!?」

 「は、はい! すぐにお持ち致します!」

 「す、すみませんでした!」

 「手ぶらでもタイムリミットまでには戻って来いよォ!? 金だ、金金金!」

 六人の兵隊はすごすごと階段の向こうへと消える中、田森は叫ぶ。

 「あああああああ……使えねぇゴミだな、ゴミ、ゴミ、ゴミ! HとDは処分でいいや。最後に自殺させて、死体の首を換金しよう。六百万で城分に補給だ。使えるヤツだけ残す。お前らは一生俺の奴隷として尽くせ? 幸せだよな?」

 「幸せです! 幸せです!」「幸せです! 幸せです!」「幸せです! 幸せです!」「幸せです! 幸せです!」「幸せです! 幸せです!」「幸せです! 幸せです!」「幸せです! 幸せです!」「幸せです! 幸せです!」「幸せです! 幸せです!」「幸せです! 幸せです!」「幸せです! 幸せです!」「幸せです! 幸せです!」「幸せです! 幸せです!」「幸せです! 幸せです!」「幸せです! 幸せです!」「幸せです! 幸せです!」「幸せです!幸せです!」「幸せです! 幸せです!」

 奴隷達が一斉に「幸せです!」とシュプレヒコール。何とも言えない、異様な気持ち悪さがそこにあった。

……ブラック企業も、きっとこんな感じなんだろう。ノルマで追い詰めマインドコントロールし洗脳下に置いて奴隷化し、使えるヤツだけ残し使えなくなったヤツから履き終わった靴みたいに、ゴミとして捨てていく。

 「そんなにお金にこだわる必要、あるの? たとえ外に出ても、《家畜奴隷》があればお金なんてなくてもいくらでもやりよう、あると思うけど」

 花子が醒めた目で群衆を見下しながら、田森へ問いかける。

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