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±0  作者: 日向陽夏
第1章 殺人カリキュラム【前】 処刑斬首編
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第2話 インモラル・エクスタシス⑩

 《双剣遊戯》――ソウケンユウギ――

 「キルキルキルル」

 安藤の左手に、もう一本の剣が現れる。二刀流、か。安藤は馬鹿正直に真っ直ぐ走りながら突っ込んでくる。

 「先輩、やっぱり私は彼らのルールに従いたくありません。殺し合うなんて、間違ってる!」

 セリカは勝手に俺の前に立ち、両腕を前に突き出す。

 「セリカ、馬鹿、お前!」

 《守護聖女》――シュゴセイジョ――

 セリカから放たれる、女神のような白きオーラの塊が安藤へ突っ込んでいく。

 安藤に《守護聖女》が直撃し、安藤の手から剣が消える。だが、それでも安藤は歩みを止めない。

 「っ!」

 安藤の手が伸びる。間に合わない! 距離的に俺と安藤を挟むようにしてセリカがいる。この距離からでは俺は安藤に何も出来ない。

 「偽善者がお前から殺してやる! ジェネシスなんかなくても腕力で絞め殺してやるよ!」

セリカの首筋にその手が届――――

すぐに終わるからねぇぇ、セリカちゃぁぁん。僕がとってもキモチイイこと、してあげるよぉぉ。

安藤の手が、“アイツ”のイメージと重なる。

 夏休み。遊びに行った川辺。見知らぬ男。襲われるセリカ。悲鳴。

 またか。また思い出させるのか。忌々しい記憶。糞みたいな記憶。

 ハハ、ハハハ! 俺が守ってやらなきゃあのまま犯されて殺されてたぞ、セリカ!

 そんな破滅するお前も見てみたかったがな! ハハハハハハ!

 お前が善でいられるのは、俺の悪のお陰だぞ?

 お前が最も嫌悪しているモノに、お前は救われているんだぞ?

滑稽だな! 滑稽だな! 滑稽だな! ハハハハハハ!

 《監禁傀儡》――カンキンカイライ――

 「白雪セリカに命じる。どんな手段を用いてでも構わない。安藤を処刑しろ! その首を撥ねろ」

 一瞬。おぞましい思考が自らの頭をかすめていったのを感じる。と同時に、俺のジェネシスがスカーレットに変わり、俺の唇が三日月型に歪む。

 俺の異能。《監禁傀儡》の本質。それは――――

 「あ、あああ、ああああああああああああああああああああああッッッ!」

 セリカの全身を俺の赤き鎖が覆う。まるで陵辱するように、セリカを鎖で縛り、セリカは狂ったように悲鳴を上げる。

 セリカの悲鳴を聞いて、俺は全身の血が高揚していくのを感じる。なんという背徳。セリカの悲鳴、苦悶の顔、なんてカワイイ。カワイイ俺の天使。さあ、もっと壊れろ。

 「ッ! なん、だ、これは!」

 安藤の拳は俺の赤きジェネシスチェインに触れ、はじかれ、後ろによろめく。

 と、同時。

 「ころ、し、ます。私は殺します。安藤を殺します、先輩。だから、終わったら褒めて。頭を、撫でて」

 セリカの目の焦点が合わなくなっていく。ぼんやりとした目で、安藤を見る。その目はまるで自販機の脇に置いてあるゴミ箱を見るような、そんな無機質な瞳だった。

 「ご託はいいから、さっさと殺れ」


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