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±0  作者: 日向陽夏
第3章 黒へと至る少女【前】 運命之環編
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第16話 White≒Clear⑩【白雪セリカ(4周目)視点】

 

 《二人三脚》――ニニンサンキャク――


 私の左足首に、黒いジェネシスの輪っかが現れる。

 そして輪っかは鎖で繋がれていて、2周目の右足首の黒い輪っかと繋がっていた。

 2周目と“何か”が繋がるような感覚。

 能力の情報が、流れ込んでくる。


五大神器:指輪を具現化し、それを嵌めている間、五つの銃を具現化することができる。

①刃銃:剣の形状の能力を遠距離に対応させることができる。蛇が刃に巻き付き、蛇の口が銃口となる

②視砲:眼球からジェネシスを散弾銃のように、扇状に発射する

③星撃:遠隔でラジコンのように操れる星の形状をした銃。火力は最大

④羽弾:ジェネシスの翼からマシンガンのように小粒の弾丸を大量に発射できる。威力は弱い

⑤指弾:指からジェネシスのレーザーを発射する。威力は強くない。


陣頭指揮:指定した物体の軌道を曲げることができる

二人三脚:鎖に繋がれた手錠を具現化し、お互いを結ぶと能力を共有できる

堅忍不抜:指定した座標で、内側が空洞の球体型バリアを貼ることができる

満天星夜:空にジェネシスの星を具現化し、その光が照らす間、スノーホワイト及びピュアホワイトジェネシスを無限にする

防御結界:自分の身体全体を薄いジェネシスのバリアで覆う

七転八起:七回まで殺されても甦ることができる

虎視眈々:触れた物体を爆発物に変えることができる。念じれば爆発させられる

狙撃兵器:スナイパーライフルを具現化する能力

遺志継承:自分の能力を一つだけ指定した相手に引き継ぐことができる

烏兎怱怱:威力は弱いものの、透明で高速の弾丸を発射できる

必中魔弾:指定した弾丸を指定した座標に必ず命中させることができる。相手がジェネシスで対応してきた場合は、その限りではない

重機関銃:アサルトライフルを具現化する能力

五里霧中:ジェネシスを霧状にし、敵の目をくらます能力

集中砲火:自分が操る弾丸すべてを一斉に一つの座標に照準を変更する

速戦即決:自分が操る弾丸を加速させる

空前絶後:自身がジェネシスを獲得した時点から、現時点まで起こりえた事象を無かったことにすることができる。※リセットできない例外もいくつか存在する。起死回生のカウントや、因果干渉の能力は無効化できない。


(これ……は?)


(この輪っかと鎖が繋がれば、私と能力を共有できる。能力のストックは心もとないんでしょ? 《諸刃之剣》では、私の能力を消耗すればいい)


(でも、この鎖の長さは……)


 私と2周目を繋ぐ鎖は、せいぜい10メートルと少し、と言ったところ。

 二人でバラバラに行動はできない。


(そう。《二人三脚》は中距離、近距離戦向きじゃない。お互いに好き勝手に走り回ったりすれば、すっころぶよね、普通に。遠距離でじっくり、なるべく動かないで透を撃つ。これは、その為の能力)


(そんな能力が……)


(言ったでしょ? 私は白を生かす黒だってね)


(今なら、2周目の能力を使って戦える?)


(理論上はね。でもいきなり私の能力の全てを扱いこなせるわけじゃない。付け焼刃で挑んでいい相手じゃないよね、透は)


(それなら、私はどうすれば?)


(使う能力は“限定”すればいい。たとえば……)


 2周目が続きを言おうとすると、透が再び動いた。

 黒いシャボン玉を大量に具現化している。

 透の行動が読めない。私たちが遠距離戦に切り替えたことを察したのだろうか。いずれにしても、透は戦術を変えてくる筈。


 《五大神器》――ゴダイジンキ――


 2周目の右手に五つの指輪が具現化する。

 親指から小指までの全ての指に、一つの指輪がはまっている。


「指定、羽弾ハダン


 2周目からジェネシスの翼が生え、羽から大量のジェネシスの弾丸が溢れシャボン玉を一瞬で殲滅する。


 透はじっと不気味な目で2周目を観察しつつ、再びシャボン玉を具現化している。


(キミには、この、《五大神器》を使って戦ってもらう)


(《五大神器》?)


(キミに、五つの銃を託す。羽の銃、指の銃、目の銃、剣の銃、星の銃。《五大神器》は比較的扱いやすい能力だから、即戦力として活用できると思う。何より、“私”を最も救った能力だからね。この五つの銃を使って、透を倒す)


(五つの……銃)


(そ。でも万が一に備えて、この能力だけは貸すのではなく、託そうと思う)


 そう言って、2周目は私の肩に手を触れる。


(遺志継承)――イシケイショウ――


「指定、《五大神器》」


 私の身体の中に、何かが入ってくる。

 これは……3周目が《天羽々斬》を私に預けた時と同じ感覚。

 私は二人から……能力を受け取ってしまった。


(……2周目?)


「これで万が一、鎖を破壊されたり、私が死んだ場合でも、この能力はキミの中に残る。《遺志継承》は一つしか能力が託せないから、これしか渡せないけど」


 2周目と私の会話をする隙すら与えないつもりか、透が黒の矢を投擲してくる。


 《必中魔弾》――ヒッチュウマダン――


 2周目は見もせずに透の黒の矢をジェネシスの弾で撃ち落とす。


「死ぬ……つもりなの?」


 2周目の顔は、まるで死を悟っている表情だった。静かで、優しくて、それでいて残酷な覚悟すら感じる。

 置いていかれるような感覚に、言いようも無い焦りを感じる。


「『運命之環』は狂い始めてる。最後までは、一緒に行けないかもね」


「そんな……」


 チャネリングを使うのすら忘れ、私は思わず2周目を縋るように見てしまった。


「そんな顔は駄目です~。認めません」


 2周目はニヤニヤ笑いで何かをごまかすように、私の頬をつねってくる。


「……私は、もう死んでるよ。全てを切り捨てて、前に進みなさい。それが、“私”なんだから」


 ――――ほら、行くよ。


 そう言って、2周目は私を置いていくように、透の方へ身体を向ける。


 殺したり、殺されたり、失ったりしながら、それでも……私は、行かなくちゃいけないのか……。


 喉元が熱くなり、涙が流れそうになるけど、必死に耐えて私も透の方を向く。


 終わらせなきゃいけない。


 ――――この、長い長い運命を。


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