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±0  作者: 日向陽夏
第3章 黒へと至る少女【前】 運命之環編
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第16話 White≒Clear⑨【白雪セリカ(4周目)視点】

 

 《狙撃兵器》――ソゲキヘイキ――


 《烏兎怱怱》――ウトソウソウ――


 《必中魔弾》――ヒッチュウマダン――


 瞬きするよりも早く、透が何かに衝突し、10メートルほど私の背後へ飛んでいく。

 透は咄嗟に全身にジェネシスを纏って防御したようだけど、痛みに顔をしかめている。

 何が……起きたの?


「友達でもないのに近過ぎますよ、離れてくださいね。透さん」


 2周目の両手スナイパーライフルが握られていた。

 黒い硝煙が銃口から吹いている。

 これが、2周目の能力。


(……ごめん)


(あんな攪乱されちゃ、仕方ない。私も反応が遅れたし)


 2周目はスナイパーライフルを肩に担ぎ、視線は透に固定したままだ。

 そして……2周目の背中から黒い第三の腕が映えていた。その手にはタクトが握られている。これが、2周目の本来の戦闘態勢。


(2周目も、第三の腕、使えたんだ)


(まぁね。でも3周目は腕、最後まで使えなかった。ジェネシスの形態化は、1周目が得意だったみたい。たまに、断片的に1周目の見てきた景色がフラッシュバックすることがあってね。そのおぼろ気なフラッシュバックで私も使えるようになったんだけど)


(そのスタイルが、本来の姿なの?)


(そう、これが私の本来の戦闘スタイル。あの化け物とやり合うのは遠くからじゃないと無理。私は臆病だからね)


(……)


 2周目をしげしげと眺める。

 私とは全然違う、ジェネシス、能力の使い方だ。

 自分自身がルーツだと思うと、変な気分だ。


(さて。それじゃ、“遠距離戦”に切り替えるよ。《右往左往》の射程外から対応しないと、負けるからね。《右往左往》で同士討ちはマズい。まさかこんな能力を隠していたとは、やってくれるよ)


(でも、私には遠距離能力が……)


 無い。せいぜい、念じて空間の中を動かせる《守護聖盾》ぐらいだ。

 遠距離線をやるなら、私はほぼ戦力外だ。


 でも、何故か2周目はニヤりと、不敵に微笑うだけだった。

 2周目には何か考えがあるらしい。


(大丈夫。“手”はある。透にこれから、2対1の怖さを味わってもらおう)


 私たちは二人で並び、未だに静かな殺意を迸らせる透と対峙した。


 透も、もう限界に近い筈。

 あと一息で、届く。

 その確信はある。でもそれは慢心と紙一重。

 その僅かな慢心が、死へと直結する。

 不安と恐怖を噛み殺し、心を静める。


 ――――この遠距離戦で、今度こそ必ず仕留める。


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