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±0  作者: 日向陽夏
第3章 黒へと至る少女【前】 運命之環編
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第16話 White≒Clear⑧【白雪セリカ(4周目)視点】

 

 ……透の今の動き、あまりにも甘かった。

 私に動きを読まれているとは、想像もしていないような態度。それは驕りだ。

 ナメていたのだろう……。

 1周目、2周目、3周目を目の当たりにすれば、私を侮るのも分かる。

 透は無意識に、私を低く見積もった。

 でも、この手はもう通じない。

 透は間違いなく、私への認識を修正した。

 その証拠に、透の表情から余裕の笑みが消えている。


 ……来る。


 透の気配が、変わる。

 かつてない殺気に震えそうになりながら、意識を研ぎ澄ませる。


「!?」

「……っ」


 大量のシャボン玉が弾け、その全てのジェネシスが透の右手に収斂していく。

 球体となるほど凝縮されたジェネシスの塊が、透から放たれる。

 黒の矢というより、レーザー光線のように細い。

 何より、速すぎる。

 目視できないほどの速度。

 だからこそ、溜めていたのか。

 光のごとく走る黒の光線は、


 《必中魔弾》――ヒッチュウマダン――


 2周目のタクトの先から放たれるジェネシスの玉が受け止める。


 《右往左往》――ウオウサオウ――


 けど、透の攻撃はここから始まる。

 《明鏡止水》を発動するのはギリギリまで堪える。

 透の攻撃には必ず本命がある。それを見極める、までは……っ。


 2周目の弾丸と位置を入れ替え、2周目の正面に透は瞬間移動する。

 一瞬で間合いに入られた。これは……っ


「キルキルキルル」


 2周目は冷静だった。

 剣を具現化し、透を斬ろうとする。でも。


 《右往左往》――ウオウサオウ――


 ただ、位置を入れ替えているだけ。

 単純で、地味な能力。

 それなのに!


 2周目の黒い剣と透は位置を入れ替える。

 2周目が握っていた剣の柄は、透の腕に代わっている。

 そして、透は更に次の一手を打つ。


 《右往左往》――ウオウサオウ――


 2周目と、自分の位置を入れ替える。

 2周目の腕を掴む側に回った透は、


 《紆余曲折》――ウヨキョクセツ――


「――――っ」


 反射だった。

 思考ではなく、脊髄反射に近い。

 私は無意識に《諸刃之剣》を発動し、透目掛けて斬りつけ――――


 《右往左往》――ウオウサオウ――


 そしてまた、透は位置を入れ替える。


「え……っ?」


 マヌケな声を零したのは、私だった。


 一瞬遅れて気づく。


 私は2周目を《諸刃之剣》で斬りつけていた。

 位置を入れ替え続けた透の本命は、これだったのだ。

 私に、2周目を攻撃させ、封印能力を消耗させること……っ。


「《七転八起》封印。相殺指定……《白雪之剣》」


 ランダムで選ばれた能力は、よりにもよって2周目の不死能力、《七転八起》。

 そして私は、《白雪之剣》を失う。

 解除することはできる。でもその代わり、それをすれば……今まで封印した全能力を透に返還することになる。

 私は正面に立つ透を、睨みつける。


「2対1なら僕に勝てるとでも? お前たちには共食いがお似合いだよ。楽に勝てると思うな、4周目。シラユキセリカ」


「――――透」


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