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±0  作者: 日向陽夏
第3章 黒へと至る少女【前】 運命之環編
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第16話 White≒Clear④【白雪セリカ(4周目)視点】

 

 《処刑烈火》――ショケイレッカ――


 容赦のない、漆黒の炎が場を焼き尽くす。その炎の起点は花子からだ。

 ただの炎じゃない。竜巻のような形状。花子を台風の目とし、周りの全てを巻き込んで焼き尽くそうとする。

 2周目も、3周目も、透すらも巻き込んで、全ての命を焼き尽くさんと炎が私へと迫ってくる。


 《前途多難》――ゼントタナン――


「……やれやれ、我を失っているようだね。僕まで巻き込むとは」


 私と向かい合っている透は、炎を見えない何かで“細切れ”にして消し飛ばし、防御する。私は透の正面にいるので、それに便乗する形で炎は届かない。


 ――――あなたには六つの“未来”がある。一つ目は、黒い雨に打たれて死ぬ未来。二つ目は透に敗北して死ぬ未来。三つ目は、花子に敗北して死ぬ未来。


 シスターの予知を思い出す。

 第3の死亡フラグが起動してしまった。

 第2の死亡フラグ、透を倒し切れないまま……。


 《即死愛撫》――ソクシアイブ――

 《処刑斬首》――ショケイザンシュ――


 炎の向こう側は見えない。

 花子は無言で、能力のみを淡々と発動している。


(2周目は4周目の元へ。ここは私が。2周目と花子では、相性が悪すぎる)

(……分かった、任せる)

 チャネリングのやり取りは、けれど私の耳を素通りしていく。


「……“アレ”が、花子……なの?」


 私は呆然としていた。

 一度しか相対したことは無いけど、あそこまでおかしくなかった筈だ。

 凶暴で、狂ってはいたけど……あれではまるで……。


 ……鬼、だ。


「花子に……何をしたの?」


「君はリリーを殺したんだろう? なら、人間の“発狂”条件についてノウハウをその目で見て味わったはずだ。快楽による発狂、五感を遮断される発狂、そして苦痛による発狂。SSSとは発狂の先にあるんだよ。そして狂人には、二種類の人間が存在する。狂気に呑まれる者と、狂気を飼い慣らす者。僕やゼロ、1周目や2周目は後者だが、花子はどうやら前者のようだね。まぁ、無理も無いか。半ば強引な方法で無理やり発狂プロセスを味合わせてしまったからね」


 透は淡々と語る。


「……質問に答えてない。何をしたのか、聞いてる」


 無意識に、声が低くなる。

 透……こいつは……本当に……駄目だ。

 人として……度し難い存在。


「フッ、良い顔だね。そう、そうでなくちゃね……。君に、女神のような慈悲深さなど求めない。憎めよ、僕という悪を」



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