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±0  作者: 日向陽夏
第3章 黒へと至る少女【前】 運命之環編
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第15話 Clear≒White㉜【白雪セリカ(4周目)視点】


 たった一撃を入れるだけでこの疲労。


 ……これから、どうする。

 早鐘を打つ動機を無理やり落ち着けるべく、息を整える。

ゴォン、と鐘が鳴る音が再び響き渡る。

 《鐘楼時計》は『4』の数字を示した。

「――――っ」

 あれが『0』になったら、どうなるのか。


 ――――なに、そう警戒することはない。時計を出すだけのチャチな能力さ。僕らの命……。その残り時間がちょうど10分を切った。分かりやすいように、君にも時間を見せてあげようと思ってね。


 透の言葉を思い出す。

 《絶対王政》による第二の法のタイムリミットを知る為の手段としか透は言っていなかったけれど、とてもそうは思えない。

 残り、4分。

 残り13個の異能力で、透を抑え込む必要がある。

 3周目の方へ一瞬視線を送る。

 ……サマエルとの戦闘はまだ終わっていない。

 2周目の死は《満天星夜》の解除で把握している筈だけど、まだ倒せないのか。

 状況は悪い。

 それから、もっと絶望的なのは6つの内、“まだ第2の死亡フラグ”でしかないということだ。第1の死亡フラグである“黒い雨”ですらギリギリだったけど、今回はさらに難度が上がっている気がする。無理も無い。相手はあの透なのだ。

 ギリ、と、唇を強く噛む。

「……」

「……」

 透は無表情でこちらをじっと見ながら、《審判之剣》で2周目の首を切断し、そのまま心臓の位置に墓標のように刃を突き刺した。ごろりと、自分と同じ顔が地面を転がり血の跡を引きずっていく。

「……っ」

 2周目はピクリとも動かなくなった。

 私のジェネシス切れは近い。けど、だからこそ“透のランクダウン”の戦略を捨てる可能性を透は考える筈。

 私に注意を引き付ければ、少なくとも2周目から注意は反らせる。

 ここまで渡り合ってきたけど、それでもまだ、これほどのプレッシャーをどうすれば……っ。


(4周目。2周目は死んだようね?)

 突然、3周目からチャネリングが飛んでくる。

(う、うん)

(……《審判之剣》が邪魔ね)

(……?)

(……仕方ない、か)

(え?)

(2周目無しで透戦は無理。一瞬、交代しましょう。私が透、あなたがサマエルの相手をする)

(交代って……)

(1分だけ、交代するの。この戦局ではどちらにせよ詰み)

(わ、分かった)

 ここは、3周目の指示に従うことにする。


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