表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
±0  作者: 日向陽夏
第3章 黒へと至る少女【前】 運命之環編
267/358

第14話 七番目の月⑯【赤染アンリ視点】

 あらかじめセリカの《以心伝心》で借り受けた二つ目の剣、《快刀乱麻》を発動する。

 軌道が単調なら、当てられる。


 《絶対強者》――ゼッタイキョウシャ――


 両腕のみ強化能力を発動。

 筋肉がメキメキなるのは美学を損ねるが、血を纏い醜い腕の筋肉の部分は隠しておく。まぁ勝つ為だ仕方ない。割り切ろう。

 反射効果を持つ“銀のレイピア”を右手で振るい、黒き弾丸に当てる。

 命中した黒き弾丸は止まり、向きを反対方向へ変える。

「……」

 一瞬閃いた私は、血液を弾丸に付着させておく。

 私の血液が付着した黒き弾丸は、今度はゼロの目掛けて突っ込んでいく。

「なんだと……っ!」


 《難攻不落》――ナンコウフラク――


 ゼロが展開した三角形のバリアは砕け散り、弾丸は消滅する。バリアと弾丸で相殺された形だ。

 ちぇっ、不発か……。

 あの血液がゼロの体内に入れば、色々できたんだけどね……。

「なんだか中二病全開バトルって感じよねぇ。私あんまりこういうの好きじゃないんだけど……。どちらかというとア●リエシリーズとか牧●物語とかテ●リアとか、スターデュー●レーとかが好きなんだけどなぁ」

「……お前、赤染アンリか?」

「あら。私のこと、覚えてるの?」

「一人、イキのいい奴がいると透から聞いた。お前のことだろ」

「お魚みたいに言ってくれちゃって……」

「お前ほどの女が、何故白どもに付く。こいつらは救済だの人殺しは良くないだの、つまらねえことしか言わねえ。お前は違うだろ。お前は躊躇が無い。俺と同じでな。外道の匂いがする」

「フッ……」

「……何がおかしい?」

「口説いてるの? 私のこと」

「は? ちげぇよ。ただこのまま殺すのは惜しいと思っただけだ」

「それは、他人に生きていて欲しいと願う心ね。あったんだ。じゃあ聞くけど、思い出せないの、あなたは? あなたが本気で生きていて欲しいと願っていた人のことを」

「…………何が言いたい」

「あなたがその調子じゃ、しょうがないわね。セリカは私が貰うわ。あなたを殺して……ね」

「ちっ……。どいつもこいつも、生前の話ばかりしやがって」

 ゼロは苛立ちを隠そうともせず、右手を私へかざした。

「あまりにも大人げないんで使わんようにしていたが、この一撃はどう足掻いても死ぬ攻撃だ。お前の強さに敬意を払い、この技を使ってやるよ」


 《必中魔弾》――ヒッチュウマダン――

 《百鬼夜行》――ヒャッキヤコウ――


 百に分裂した黒き弾丸が、あらゆる軌道を描いて私へ向かってきた。


「赤染アンリ!」

「大丈夫、下手に動かないで」

 シスターちゃんの叫び声を制し、銀のレイピアを“自分の左肩”に切っ先のみを僅かに刺す。


 《快刀乱麻》については、かなりの検証と時間を費やした。

 《快刀乱麻》は“異能力反射とジェネシス削減”に特化した異能力。特に銀のレイピアは触れた異能力を跳ね返す効果を持つ。そして基本的に“すり抜けない”異能力。

 すり抜けない刀身は私の肩を貫き、血を噴出させる。

 その血を他の血液と混ぜ合わせ、形状を変化させて固める。


 形状、疑似発狂密室。

 私、シスターちゃん、セリカを円状に覆うバリアに血液を変化させ、《煉獄愛巣》で固めた後、《絶対強者》で強化する。

 効果時間は数秒に満たない。

 けれど、《快刀乱麻》の銀のレイピアに触れた血液は、異能力反射効果を持つ。

 《快刀乱麻》の所有者は《以心伝心》により今は私なので、私の能力は“反射しない”。

 まー結論としては、異能力を反射する血液を数秒のみ今の私は操れるということだ。


 ――――全ては、SSSを殺す為に。


 SSではSSSを殺せない。

 その根底のヒエラルキーを覆し、Fランク以外でもSSSを殺せる可能性を生み出す。

 それが、私とセリカが協力して生み出したもう一つのジェネシスの”答え”だ。


「なん……だと……」

 呆然とするゼロの体中を、百発の《必中魔弾》が貫いた。


「やったか!? とは言わないわよ。多分この程度じゃ死なないでしょ?」


 私は冷静に距離を取りながら、ゼロを凝視し続けていた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ