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±0  作者: 日向陽夏
第3章 黒へと至る少女【前】 運命之環編
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第12話 Gランクプラン㉘【白雪セリカ視点】

「オッケー、大体分かったわ。正直Gランクに繋がりそうな異能力は見つからなかったけど、早急に解決しなければならない課題があるわね」

 異能力の検証は終わったものの、アンリは納得していない様子だ。

「ま、まだあるの……?」

 ジェネシス切れ寸前になり私はもうヘトヘトだった。修行みたいなのはもうやりたくない……。

「この課題は私の問題よ。それは、節制。ジェネシスの消耗を極限まで抑える訓練」

 アンリの身体を纏うマゼンタのジェネシスは異常なまでに薄くなっている。

「これから先、休みなく戦うことが想定される。ジェネシス切れだけは避けなければならないわ。あなたには《守護天使》が、カナちゃんにはアルファの大量のジェネシスがあるけど、私には睡眠しか補給手段が無い」

「赤染アンリ。あなたの力は人間から血液を奪って強くなる。その際にジェネシスの補給もできないの?」

 いつの間にかお面を外しているシスターが、無機質な瞳でアンリに尋ねる。

「一般人はジェネシスを持ってないから、補給できないわね」

「……い、一般人て。流石に、一般人を殺すのは駄目だよ」

 Gランクを目指すとか関係なく、何の罪も無い人を殺すのは駄目だ。

「と、セリカは言ってるけど、問題ないの?」

「最悪を想定するのであれば、一般人から血液を奪うことも“必要”かもしれないわ」

「で、でも……」

「セリカ。あなたが赤染アンリの補給を止めた結果、ヒキガエルに殺される未来が確定したとしても後悔しないの?」

「……アンリ、可能な限り私から血を奪ってほしい。私は《聖女抱擁》で再生できる。いくらでも血液を補給できるはずだよ。何なら今やってくれてもいい」

「……分かった。あとで貰うわね」

「ジェネシスの補給はどうするつもり?」

「《赤い羊》を殺し、その死体を回収できれば吸血と同時にジェネシスも吸収できるかもしれない」

「流石にその考えは希望的観測が過ぎない?」

「あ、私。最後のダミーの一発の使い道、思いついちゃったかもしれない」

「あなたの《守護天使》は他人のジェネシスも有効なの?」

「さっき見せた《以心伝心》と組み合わせれば、それも可能だよ」

 《以心伝心》。これは単純な異能力で、お互いに同意を得たジェノサイダーと異能力を一時的に交換、もしくは貸与することができる異能力だ。《以心伝心》を使い、私の《守護天使》をアンリに貸す。そうすれば、アンリのジェネシスの一人分を丸々保存することは可能だ。

「なるほど、それなら確かに有効かもしれない。ただ、貯蓄対象は弾丸でいいの? 媒体は別にして、赤染アンリ本人に所有させるべきだと思うけど」

「アンリ、どっちがいい? 私が持ってるのと、自分が持ってるの」

「……そう、ね。セリカに持っててもらいたいかな」

「それでいいの?」

「《守護天使》は保存したジェネシスを解放する瞬間にもその異能力を発動しなければならないんでしょう? それなら常にあなたが持っているべきよ。弾丸の総数から鑑みて、あなたの方が《守護天使》を使う頻度は絶対に多くなるんだから」

「分かった。もしアンリが私に指示できるような状況じゃなくて、且つアンリがジェネシス切れになりそうだったら、私の判断で発動するね」

「助かるわ」

「さて。とは言っても節制は全員が達成すべき課題だと思う。消費の十分の一をイメージして、異能力をそれぞれ使ってみましょう。もし十分の一消費でジェネシスを使えるなら、持久戦も問題ない筈よ」

「う、結局修行みたいなのはまだ続くのかぁ……」

「気合よ、セリカ」

「実はシスターって脳筋だよね……」

「否定はしない」

「さっきの会議と今のジェネシス検証で二時間使ってしまったわ。睡眠時間で8時間枠を抑えるとして、あと約26時間。準備を万全に整えましょう」

 アンリの静かな一声で、程よい緊張感の中私たちはジェネシスの節制の訓練をした。


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