第12話 Gランクプラン㉗【白雪セリカ視点】
「と、いうわけでセリカ。あなたの勝利条件はハッキリしたわね」
アンリはホワイトボードを掌でパンと叩き、注意を引き付けた。
「Gランクを創造する能力を割り出すこと」
「そう。そして、それまで死なないことよ」
「《起死回生》は恐らくもう……使い切っていると考えるべき……だよね」
同じ相手に一度しか発動しない《起死回生》は、無限に使用できない能力だ。未来の記憶を失っていると考えるのであれば、発動済みである可能性が高い。
もう二度と死ねない。そう考えるべきだ。
「Gランク……。作り出すとは言っても、全くイメージができない。たとえこの中のどれかの能力がそうなのだとしても……」
「そして、タイムリミットの存在も無視できない。死という運命は回避できないのであれば、それまでにGランクを創造して逃げ切るしかないわね」
「Gランクプランは、これで完成?」
「おおまかにはそうね。あとは、能力の検証は早急にやらないとね。セリカ、あなたの全能力を検証させてもらう。あなたが気付いていないだけで、何かの突破口があるかもしれないから」
「良い考えだと思います。アンリさん、それまで私たちは何かしておいた方がいいことはありますか?」
「あなた達の能力の検証もさせて欲しいのだけど?」
「良いですよ。全面的に協力します」
「あなたが協力的だと、違和感が凄いわね……」
「アンリさん、私たちは生まれて初めて“目的意識”というものを持ちました。ある目的の為に努力し何かをするということは、充足感がありますね。なるほど、これが……生存欲求なのですね。私は全ての命に価値は無いと思っていますが、セリカだけは私とは違う答えを出してくれるのではないかと、心のどこかで期待しているのかもしれません」
「カナちゃん、そこだけは私と共通の価値観みたいね。かつてセリカと敵対しながらも共闘することになったよしみで、仲良くしましょ」
「生まれて初めて、友達ができました」
「あらそう。私もよ。奇遇ね」
「アンリさんはお友達沢山いると思いますが……」
「友達っていうのは、対等なものでしょう。私と対等になれる人は今までいなかったから」
「凄い唯我独尊ですね。そういうところ、好きかもです」
「ところで、何でお面してるの? さっきはしてなかったわよね?」
「私の個性……というやつです」
「なるほど、個性は大事ね」
「あいでんてぃてぃ、というやつです」
「カナちゃん、あなたは私と相性が良さそう。あなたの名前、改めて教えて貰える? できるだけ呼ぶようにするわ。お面を目印に」
「アルファです、アンリさん」
「改めてよろしくね」
二人は楽し気な雰囲気で握手している。
「二人が仲良くなっている……」
アンリとアルファ、想像できない組み合わせなのに意外と良いコンビらしい。
「あ、セリカも友達ですよ。拗ねないでくださいね」
「セリカはまぁ、うん。友達……うん」
「変なイジり方しないでってば……」
私は97個目のハンバーガーを平らげながら、苦笑した。
12話は全体的に文字数少な目で更新していく感じで。