表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
±0  作者: 日向陽夏
第3章 黒へと至る少女【前】 運命之環編
224/357

第12話 Gランクプラン㉑【白雪セリカ視点】

「それじゃあ、親睦も深まったことだし、ご飯でも食べながら作戦会議しよっか」

 アンリとシスターは協力関係に納得してくれたようだった。

 私たちは会議室に行き、これからの方針を立てることにした。

「……それはいいんだけど、このハンバーガーの山は何?」

 シスターが呆れたような声で、机の上に山積みにされているハンバーガーを見て顔をしかめている。

「待ってるだけなのも退屈だし、お腹すいたからせっかくだし買ってきた。ぶっ続けで運動して気絶してたし、まずは栄養補給しないとね。ちゃんと飲み物もあるよ。オレンジジュース、コーラ、ウーロン茶、アイスティ、選び放題。あ、でもシスターはアイスコーヒーだよね。大丈夫、用意してるよ」

「ハンバーガー、全部で何個あるの?」

「三人分だから、百個かな。種類も色々あるよ」

「……馬鹿なの? 三人分だから百個って、どういう計算方法な訳? 一人三十三個一余りなの?」

「ちゃんと全部食べるって。それにトランス脂肪酸を削減してる、健康志向の強いファーストフードで買ってきたし、安心して食べてね」

「トランス脂肪酸削減してるジャンクフードなんてあるの? 一部の他国では使用禁止にされてるやつよね、確か」

 アンリが興味を惹かれたようで、聞いてくる。

「一応あるよ。ゼロではないけどね」

「へぇ。少しはマシな企業もあるのね」

「私、一個でいいから」

 シスターがげんなりしたように言う。

「嘘でしょ? 絶対足りないよ……。アンリは食べるよね?」

「いや、嘘でしょはこっちのセリフ。多過ぎでしょ」

「シスターは小食だよね……」

「あなたが健啖家なだけ」

「えぇ、そんなことないよ」

「こんなに説得力が無い、そんなことないって言葉、初めて聞いた……」

「ぷっ、ハハ……。確かにこれは多過ぎよ……。じわじわ来る。フッ、アハハ」

 クツクツとお腹を抱えて、目の前のハンバーガーの山を見てアンリが目尻に涙を溜めて笑っている。

「アンリに笑われてるし……」

「こんなバカな量のハンバーガー買ってくれば笑うしかないでしょ。どうやって持ってきたの? サンタクロースみたいに背負ってきたの? バカでしょ……」

「サンタクロースって、アハハハハ」

「バカバカ言い過ぎ。あとアンリ笑い過ぎ」

「セリカって、実は馬鹿……。脳筋ポジティブ食欲お化け」

「私の悪口禁止」

「そんなルールは無い。私はエビフィレオね。あとアイスコーヒー」

「はいはい」

「想像もつかなかったけど、今なんとなく分かったわ。あなた達って意外と上手くやってるのね」

 アンリが関心したように頷いている。

「え、そう見える? 私はシスターにしょっちゅう怒られてるよ」

「セリカが馬鹿なことするからでしょ?」

 もぐもぐとリスのように頬を膨らませてハンバーガーを食べながらシスターが反論してくる。

「少し心配だったけど、上手くやっていけそうな気がしてきたわ」

 アンリの懸念要素は分かる。今でこそシスターがメインで表に出ているけど、西園寺要はマザーの印象が強すぎる。“死の母”を目指し、蠱惑的で、残酷で、《時間停止》であるSSSの異能力者。奇跡のような運が重なってなんとかマザーに勝つことはできたけれど、それも結局は偶然の産物のようなものだ。マザーの印象が強いとどうしても、恐れのような感情を抱いてしまう気持ちは分かる。

「アンリ、大丈夫だよ。シスター達は、私が“間違えない限り”は大丈夫」

「……」

「……」

 二人は私の言葉の意味するところを吟味しているのか、押し黙る。

「まぁ取り合えずは食べよ食べよ。私は最初食べるのはただのハンバーガーって決めてるんだ。あとウーロン茶」

 私はハンバーガーを手に取る。

「じゃあ私はてりやきバーガーとアイスティを」

 アンリはてりやきバーガーを手に取る。

「それじゃあ、食べながら作戦会議ね」

 こうして、緊張感のカケラも無い私たちの作戦会議が始まった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ