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±0  作者: 日向陽夏
第1章 殺人カリキュラム【前】 処刑斬首編
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第1話 殺人カリキュラム⑰

「先輩、結。終わり……ました」

 セリカが戻ってくる。セリカは緊張感で疲労してしまったのか、やつれている。

「俺から離れるな。これからは一瞬たりとも、気が抜けない。些細な判断ミスが命取りになる。そのつもりでいろ」

敢えて俺は厳しい口調で言う。普段の温厚な俺のイメージとはかけ離れた態度なので、セリカは驚いたように目を丸くし、俺を見つめた。

「切り替えろ、セリカ。今すぐにとは言わない。だが、日常の甘さをここで引きずるようなら、確実に死ぬことになる。お前も、俺も、そして結も。……それだけは言っておくぞ」

「…………はい」

 セリカは泣きそうな顔で俯いた。……これでいい。仲良しごっこをやっている暇は、この先1秒たりともありはしない。

「一年は終わりです。次は二年。二年A組。赤染アンリ」

「……はい」

 そう言って、赤染は壇上へ上がっていく。その足取りはしっかりしたもので、態度も毅然としている。

「君はとても興味深い。会話の時に感じたが、とても知性がある。そして、一つの固定観念に囚われない柔軟性もある。君なら、もしかしたら、”こちら側”に来れるかもしれませんね。完璧なペルソナを持つ人間こそ、内側に潜む闇もまた強大なのだから」

 透は意味深に微笑み、赤染の頭に手を乗せる。

「……お褒めにお預かり、光栄です」

 赤染は苦々しい微笑を浮かべ、透の闇を受け入れる。

 人間離れした美貌を持つ赤染が、暗黒のジェネシスを身に纏うその姿はどこか背徳的だった。

「キルキルキルル、で合っているかしら?」

 そう言うと、赤染の右手に剣が具現する。赤染を覆うのは、赤いジェネシス。


 ――――ヒュン。


 赤染は目にもとまらぬ速さで、透の首を切り捨てる。


 ――――は?


 あまりにも一瞬の出来事に、思考がフリーズする。

「…………最初からスカーレットジェネシスか。生まれながらにして、ランクS。うん、やはり君は逸材だね。僕を殺せる最初で最後の好機、それをよく分かっている。だが、それでもなかなか実行には移すには勇気がいる。失敗した時のリスクは死ですら生ぬるい。それを分かっていながら、それを実行するのは確実に成功出来る自信があったからだろう。君には知性と、そして大胆さ、その両方が備わっているんだね。そして、殺人への忌避感の無さ。……伸びしろがあり過ぎる。……欲しいな」

 切り離された透の生首は、大した感慨もない表情で、空中に浮いたまま赤染を見下ろしていた。切り離された透の首の断面から血は流れておらず、黒きジェネシスがゆらゆらと煙のように蠢いている。


 《絶対不死》――ゼッタイフシ――


 そして、みるみる内に煙と煙が融合するように、透の生首が胴体に溶けるように元に戻っていく。

「だが、残念ながら誰にも僕は殺せないんだ。不死の異能も持っているから、ね」

 透が哀れむように言う。赤染は呆然と透を見ていたが、我に返ったのか、もう一度、透の心臓めがけて突きを放つ。

「無駄だよ」

 だが、赤染の剣は透の黒きジェネシスによって阻まれる。黒きジェネシスは、透を庇うように球状に覆う。透は涼しい面持ちで、勝機を逃すまいと必死の赤染を観察していた。

 壁にぶつかるような形で、切っ先のみが僅かに刺さるのみで、赤染の動きが止まる。

 スカーレットジェネシスは確かに刃となり、透への殺意が溢れている。だが、ジェットブラックジェネシスを前に赤染は何も出来ない。

 …………ジェネシスには、カラーがある。リリーや花子はパープル。透はジェットブラック。そして、赤染はスカーレット。ジェネシスカラーには、階級制のようなものが存在し、上位ランクのジェネシスには対抗できないのか?

 一つの仮説にたどり着くが、その時、花子が動いた

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