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±0  作者: 日向陽夏
第2章 殺人カリキュラム【後】 白雪之剣編
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第10話 Fランク VS Fランク⑥【白雪セリカ視点】


(落ち着いて。まだ盾はあるでしょ? セリカ)

 小さな私の声によって、私の意識は引き戻される。

「そうだ! まだ、盾はっ――――」


 ――――ある!


(集中力を切らせては駄目。《武御雷神》ですら囮なのだから。本命は《吹雪之剣》だと見ていい。ここが正念場だよ、セリカ)

「キルキルキルルッッッ!!!」

 私が叫ぶと、目の前に白き盾が現れる。

 両手が斬られて持つことができないけど、念じて浮かばせることができている!

 あまりにも基本的過ぎて忘れていた。

 Fランクの凶器化は“盾”だということを!

 ――――でも、この盾はすり抜ける。

 《武御雷神》はすり抜けない異能力。この盾では対抗でき―――――


 ――――いや! できる!


 《色即是空》――シキソクゼクウ――


 すり抜けるものをすり抜けなくする異能力。

 《白雪之剣》に有効なのであれば、この盾にも有効な筈だ!


 瞬きをするよりも短い逡巡の果てに、《武御雷神》が私の盾と衝突する。

「――――ッ」

 眩しすぎる雷の光に目を細めるが、盾が《武御雷神》と衝突した瞬間、《武御雷神》は悲鳴のように凄まじい音を鳴り響かせて、爆散とともに掻き消えた。

 無効化する時のような消滅ではなく、爆散。

 つまり《武御雷神》の強度を純粋に私の盾が上回ったということになる……。

「……あ、れ?」

 《明鏡止水》が解け、世界の速さは元通りになる。

「この盾……ヒビひとつ入ってない……」

 防御に特化した《守護聖盾》ですらあんな一瞬で砕け散ったのに。

 ……この盾が“特別”なの? それとも……《色即是空》の方が“特別”なの?

 答えは出ないまま、盾は消滅し、そのタイミングを計ったかのように第三波が飛んでくる。


 《正射必中》――セイシャヒッチュウ――


 巨大な水の矢が勢いよく迫ってくる。

 慌てて翼を使って軌道の外に逃げるけど、まるで矢に目がついているかの如く追尾してくる!

 両手を《聖女抱擁》で再生させる暇もない!

「くっ――――」

 追尾してきたとしても、もう《明鏡止水》は解けてる!

 《天衣無縫》を使って避けるだけでいいんだ!

 落ち着け、私……っ。


 《天衣無縫》――テンイムホウ――


 ――――不発。

「なん――――」

 と同時に、眩暈。視界がぼやけ、睡眠不足特有の頭痛が走る。

 ジェネシスが足りない、ということ……!?。

 《色即是空》を使ったから……っ!


 《明鏡止水》――メイキョウシスイ――


 世界はスローモーションになる。

 無我夢中で、半ば無意識に《明鏡止水》を発動して時間を稼ぐ。

「……っ」

 睡魔が更に酷くなる。理性で目を開けようと努力するも、抗えそうにない。

 が、意識を失う前に何としてもこの攻撃だけは防ぎ切らなければならない!

 この矢には追尾機能がある。

 だから、回避行動は全て無駄に終わる。

 何か、何か打てる手は……っ。

「……なん、で」

 ジェネシスが……もう“無い”。

 眠気は限界に達し、理性を嘲笑うかのように私の意識は睡魔に飲み込まれていく。

 ジェネシスが“無い”状態では《起死回生》が発動することも100パーセントない。

(……とうとう“この時”が来てしまったんだね。一瞬だけだよ、セリカ。本当に……“一瞬”だけだから)

 最後に小さな私がそう呟くのが聞こえ、私の身体から学園全体を覆うほどの大量のジェットブラックジェネシスが溢れ出し、意識は黒く搔き消された。



第10話 Fランク VS Fランク⑤【白雪セリカ視点】はちょっとだけ書き直してます……。

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