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±0  作者: 日向陽夏
第2章 殺人カリキュラム【後】 白雪之剣編
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第5話 新たなる羊④【西園寺要視点】

 プールの隅。《赤い羊》の麗しき皆様が消えた後、全ての生首がうっすらと消えゆく中、たった一つだけ消えずに残った私は生首だけですが、動き出すことにしました。ゆらりとジェネシスを首の切断面に揺らしながら。

「……はぁ、あれが本当の殺し合い……なのですね。とても、とても興奮しました」

 ジェネシスを得る前にはありえなかった感動。驚くほど弾むような声色と、どこか熱を帯びた視線でうっとりと私は目を細める。“私という生首”は、空中に浮くとふわふわと楽しく飛び回る。楽しい。

「田森君の必死で無駄な命乞いも、零様に蹴られながらみっともなくプールへ落ちていく断末魔も最高でしたし、花子様と零様の激しい逢瀬もとても興奮しました。あんなに傲慢で絶対的な透様が雑魚のごとく一瞬で殺される“無様さ”すらも美しくて……。嗚呼、この世界にはまだまだ沢山のキモチノイイことがあるのですね……」

 お近くでもっと見ていたかったのですが、あまり中央の方へ行くと私の存在がバレてしまいますから……。我慢するのがとても大変でした……。声帯が潰れているはずなのに普通に声も出ますし、ジェネシスとは不思議なものですね。赤染さんが透様を斬首した時のことも思い出して興奮する。殺人カリキュラムが始まってから、あまりにも禁忌的快楽の連続で頭がおかしくなりそう……っ!

「はぁぁ……」

 数々の死に触れた余韻から、思わず零れてしまうため息。人の死なんて、一つや二つの出来事でも物凄く希少なのに、この一日で物凄く沢山の死に触れることができた!!!

 胴体があれば、間違いなく”達して”いたことでしょう……。性器がないのに脳だけであれだけ興奮できるのであれば……っっ!!

「ですが……セリカ様の《守護聖女》がピュアホワイトジェネシスがプール全体を覆ったのは完全に予想外。《守護聖女》が赤い羊の方々に撃たれたのは不幸中の幸いでしたが、あれがこちらまで来ていたら本当に無力化されて死ぬところでした。やはりFランクは特別な存在なのですね……」

 我慢は必要だったけれど、敢えて体を異能で再生させずに、本当に良かった。生首のまま数多くの生徒達の手から手へと移動し、彼らの殺し合いや、生首プールで沢山の絶望的な死体と、壮絶な死の瞬間を間近で、ナマで見ることができたし、何より生首のままなのに死なないことやその痛みも未知すぎる甘美!!

「とっても、とてもシアワセですわ……ッッ。この世に生まれてきて本当に良かった……。私をジェノサイダーにしてくれて、ありがとう透様。待っていてくださいね、リリー様。今そっちに行きますから……。あなたは私の”運命の人”なのですから……。フフ」

 《絶対不死》――ゼッタイフシ――

 生首だけだった私の断面は、ゆっくりと血液、骨、肉を生み出しながら再生する。

「フフ、フフフフフフ……。あら、私としたことが下品な笑い方を。でも、フフ、フフフ……駄目だわ。笑いが止まらない。ジェネシスとは私の為だけにある能力かもしれない。そう思うと……フフッ! フフフフフ!!」

 “漆黒”のジェネシスを身にまとった私は、拷問狂リリー様が向かっていった方へゆらゆらと向かっていくのだった。

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