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栗栖 夏音
いつもより少し長めのHRが気付いた時には終わっていた。
僕の斜め前に座る転校生が大勢のクラスメイトに囲まれていた。
クーラーのついていない教室内で一ヶ所に40人程の人数が密集している、その群れからは外れているものの見ているだけで暑苦しい。
転校生は質問攻めにされているようで、至る所から疑問符のついた言葉が聞こえてくる。
席が近い所為か、たまに僕の机にぶつかってくる奴もいて、少し腹が立ってきた。まぁ怒鳴ったりはしないけど。
僕は転校生には然程興味がない。僕が行ったところで相手にされないの目に見えてるし。
卑屈な性格してるってよく言われる、ちゃんと自覚してるよ。
クラスで陰キャの部類に入る僕は、あまり目立たない。元々目立ちたがりじゃない僕にとっては良い立ち位置なのかも知れないけど。
転校生は明るいタイプのようで、転校生と話しているらしい周りからは笑い声が漏れている。
真反対な性格だと分かった今、関わることが少ないだろうと思い、意識を窓の外へと飛ばした。蝉の鳴き声が夏を誘う。