四章-逃避-
……あいつらを探して10分。まだ見つかってはいない。が、探していくうちになんとなくではあるがあいつら行きそうなところに心当たりはできていた。勘ではあるがな…
おそらく、あの2人は別行動を取っているから……まずはクレアの方からだな。
「……ここだったか。」
「!?どうしてここが分かったんですか?」
「……なんとなくだ。」
「そう、ですか……」
俺が来た場所は建物から百メートル程離れた丘だ。何故ここだと思ったのかは定かではない。だが、多分その理由は俺は知っている。
「……もっと言えばお前は俺と似ていると感じてるからな。俺だったら何処に行くか考えたらここしかなかった。最も、本当にいるとは思わなかったけどな。」
「……ここが好きなんです。…すいません隊長。勝手にいなくなったりしちゃって。」
「……ああ、いい場所だ。戦争のことを忘れられる。いなくなったことは気にするな。」
「……」
「逃げたくなる気持ちは痛いほど分かる。だが…お前の本音を俺は知りたい。俺は部隊員のことを殆ど知らない。だから教えてくれ。」
「……」
クレアはしばらく沈黙していた。なにか考えこむようにも見えたが、俺にはわからない。流石にグイグイ行き過ぎたか…?と感じていたその時。
「私の本音はまだ話せません。すいません。……でも、隊長。一つだけ。」
「なんだ?」
「祥吾くん。って呼んでもいいですか?後、タメ口のほうが…接しやすいからと思って。」
「……構わない。よくよく考えれば同い年だしな。同年齢のやつに敬語を使うのも違和感があるから問題はない。」
「ありがと!」
彼女はそう言って微笑んだ。俺にとってその笑顔は眩しかった。…憎らしいほどにな。
「さてと、後はアマンダだけだな。」
「え?あの子も?」
「なんとなくだがあいつの居場所もわかってる。……悪いが俺1人に行かせてくれ。」
「祥吾くん……うんわかった。私は先にロビーに戻ってるよ。」
そう言って彼女は去っていった。あいつにも何かしらの思いがあるのだろう。俺が強引に踏みにじることは出来ない。あいつには、あいつなりの考えがきっとあるのだから。
「さてと、アマンダは多分……」
「ビンゴ、やっぱりそう遠く離れてるところにいないと思ったぜ。」
「たいひょう!どうして!?」
「なんだかんだでクレアの近くにいると思ったのさ、後はお前が考えているとおりだ。さっきも俺達の会話聞いてたみたいだしな。」
「……」
「やっぱりお前ら2人は似ているよ。考え方とかな。そっくりだ。」
「……クレアは私と似ているから、いつも一緒にいないと不安になってしまうんです。あの人とは、3年前に知り合って……喧嘩は良くするけどそれでも友だちと思ってるんです。」
「クレアもそう思ってるだろうな。」
「それに……私は男の人と話したりするのがあまりなくて……」
「……そう、か。噛んだりするのもそのせいか。ま、今話してたが噛んではなかったところを見るとどうやら他の連中がいなけりゃ噛まないんだな。」
「あ……」
「何かあったら俺に言え。部下の悩みを聞くのも隊長の役目らしいからな。」
「は、はい!」
「それから……後でロビーに来てくれ。全員でな。」
「は、はあ……」
俺はそう言ってその場を去った。全員来いと言ったが実のところそんなことを何故言ったのかはわからない。なぜか…聞かれれば答えにくい。
だが、自分の中で何を言いたいのかは明確に浮かび上がっては来ていた。
今回は前書きなし。
次回の更新も遅れます【仕事急がすぃ…】




