002.
「ありがとうございました」
目を覚ました彼女の第一声はそれだった。
容姿は改めて見てみると美人と評されるだろうと考えられる。
スラッとのびた黒髪に、くびれた身体、足もスラリと長く、可愛い系というよりは美しい系な女性だなと感じた。
「私の名前は月代月です、貴方の名前は?」
「ボクの名前は不知火氷雨だ」
挨拶もそこそこに、さっそく本題へと入る。
「さっそくで悪いが、何で君があそこに倒れていたのかそして匿ってと言ったのかを訊ねたい」
「直球ですね……」
月は苦笑を零した、そうだろうなと思う。ボクも彼女の立ち位置になったら少しは間を置いた上で婉曲に訊ねて欲しい、とは思う。
「だって、事と次第によっては一高校生には関与できない話だろ?」
彼女は月代と姓を名乗った、月代という姓はこの地域には少なく、また彼女の容姿と噂とが合致する事もボクが回答を急いでいる要因になっているのだ。
「月代月……君は、月代家の長女だろ?何で此処にいる?」
「……そうですか、この地域では"その姓"を名乗るだけでダメなのですね」
そう言って彼女は苦笑を零した。
「そうですね、では私の身の上とその姓が持つ意味を話させていただきたいと思います」
そういって、彼女は真剣な面持ちで口を開いた。
「まず、なぜ私が追われているかについてですが……」