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月代月は学園一の美人である。
それはボク個人的な見解としての美人ではなく、秘密裏に流れる噂のひとつである。
容姿端麗、成績優秀、まさに天から弐物も参物も与えられたことを体現しているのが彼女――月代月だと、ボクは考えている。
「彼女と同じ中学校だったんだ」
幼馴染の東雲心はそう言った、そしてこう紡いだ。
「高校に入ってからかな……彼女、綺麗になったと思うよ。中学校より、遥かに」
元々綺麗だったとのこと、ただそれは鉱石の原石の部分であり、まだダイヤモンドなどには到底及ばないことも心からは聴いていた。
ならば何かがあったのだろう、彼女の中で人目を惹くような容姿にまで変貌する様な変化が……それはボクと同様に。
ただこの時は気付いていなかった……
彼女の……月代月を今の月代月たらしめた事件に関与する事になるとは……
この時はまだ気が付いて居なかった。