平日。夜。映画館。
友人に映画の招待券を貰った。
「月末までのだけど、行けないからよかったら使って」
せっかくのタダ券。
お金を払っては見無さそうな映画をセレクトしよう。
うっかりそう考えた。
残業をしないで済んで、尚且つ寄り道の気力がある日。
映画館に向かった。
昔の単館ではないので、行ってから見るものを決めようと思った。
しかし、今なら思う。
先に見るもの決めてから行け。
映画館につき、
何か食べてからみようと、少し後から開始の映画を選んだ。
イケメン俳優が剣客な映画。
ハリウッドのホラーチックな映画。
ハリウッドの未来チック(グロかなりありそう)な映画。
…ん~、払ってみなくはない気がする。
それに、夜に今の精神状態的にグロとか本格的なホラーっぽいのは何となく避けたいなぁ。
そして目に入ったとある映画。
日本製ホラーだけど、B級っぽい感じが何となくする映画。
…。
………。
これは個人的に払わないと思う。
「すいません、じゃあこれでお願いします」
席の指定をして、ごはんに向かう。
時間より少し早く着いたので時間をつぶし、会場へ向かった。
そして私の目に入ったもの。
だ・れ・も・い・な・い・か・い・じょ・う・な・い。
え。
マジ。
思わず隅々に視線を走らせるも、現実は何も変わらない。
だ、誰か、これから来るよね。。。
予告の間、何度も入口方向に目をやる。
こない。
予告がもう終わるんだけど。
こない。
え。
このまま一人で、人気の全くない館内で、B級とは言えホラー見るの(半べそ)
い、いっそ見ないで出ようかな。
でも、タダ券で何見たのって話になるよね。
その時どうすればいいの。
半ばパニックな状態なのに、照明は暗く落ちていく。
う。うぅぅぅ。
し、心臓が何故かバクバクするんだけど。
もう今更後ろ見れない。
見て何かいたらマジで怖い。
気配感じたらマジで怖い。
B級でも十分怖すぎなんだけど(半べそ)
あまりに怖そうな雰囲気の時には、邪道だけど画面の下に視線をやってやり過ごす。
そうやって約1時間半。
早く終わって。早く終わって。
願い続けても時間はなかなか流れない。
でも、私は最後まで頑張った。
エンディングロールの最後まで頑張った。
エンディングロールの最後で驚かせる演出があったけど、視線は下だったから大丈夫だった。
やっと明るくなって、そそくさと入口に向かう。
入口には映画館のスタッフがいた。
持ってたジュースのコップを受け取ってくれた。
…でも私の後にはもうお客さんいないよ。
思わず心の中で突っ込んでみた。
何だか精神修業的に映画を見た感じだった。
今度からは先に見たいものを調べてから絶対に行こうと思った、平日の夜。