表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/2

運命の兆し

ー大学生。僕はそんなものにいつしか憧れを持っていた。

自由で自分のやりたいことを思いっきりできる。そして、

大人な恋ができるんだと思っていた。

制服での恋ではなく、目一杯のバラを相手に手渡しながら「愛している」というような。

いや、電車の窓から外を見ながらもの思いにふけるのもいいな。

社会人と学生の狭間で楽しむかっこいいお兄さんたち。

大学生。僕はこのとき何をしているんだろうか。ーー


件名:同窓会について

本文:

来週末に高校のときの同窓会をやることになった♪

まぁ、予定のところを教えてくださいな

女子は結構参加するらしいぞ〜

では、返信早くな!待ってるぞ〜。


今年で俺らは20歳を迎える。公立の高校から、みんなと同じように勉強をし、みんなと同じように受験をし、みんなと同じように大学に通い出してからもう二年が経つ。

メールの送り主は元生徒会長ウツこと宇津城だ。

あいつは、僕の高校始まって以来の優秀な生徒とも言われ、東大に合格した。きっと"大学生"を満喫している一人だと思う。

僕は、あいつが昔から少し気に入らない。

なんでも器用にこなし優しさも兼ね備えているのだが、あの雰囲気というか独特のオーラが、一緒にいるとたまらなくつらいのだ。

まー、ただの嫉妬かもしんないけど…

件名:Re:同窓会について

本文:

まじー⁈笑

でもいけへんわ、、

すんまへーん


メールのきた数分後にはもう返していた。

僕はつまんなかった。

大学に入りそれなりの友達を作ることもできたが、大学2年になった時にはもうほとんど学校に行かないようになっていた。

一人でこもり、学生時代に少しやっていたイラストを書いたり音楽を聞いたりバイトをしたり、そんなんで生活をしていた。

親が一人暮らしで大変だろうと毎月送ってくれる仕送りとバイトの金でなんとか生活を保ってる状態だった。

さっきTSUTAYAで借りてきたあのシンガーソングライターのmiwaの新作を聞こうとしてCDプレーヤーを開けた時、携帯が軽快なメロディで鳴った。

件名:Re:Re:同窓会について

本文:

え、嘘つけ。ひまだろ!笑笑

お前こなきゃ損やで

だってお前こないと一人当たりのお金増えるし笑笑

まー、冗談はともかくとして

舞波もくるんやで、彼女できてへんやろ

ちょっとぐらい顔だせや♪


本当にこいつは上手いと思う。いつもこいつに乗せられる。

ダメだとわかっていても、なんだかどうでもいいような気分になるのだ。

件名:Re:Re:Re:

本文:

わかったよ。彼女が来るんだからしょうがないよ。

もー、ここで作るしかなさそー、

大学あんまいけてないし笑笑

東大にはいい女性いるんか?


送信した。もう諦めていた。

これからの人生、あー多分あの漫画に出てくるニートみたいになるか

またみんなとおんなじに大学卒業して就職するんだろうな。みんなと同じ大人な恋をする前に。

僕は、重い気持ちで靴を履いてバイトに向かった。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ