第7話 ルーミアとの初夜とか女王に謁見とか
ハーレム要員また増えます…。
「………」
「………」
「………」
「………」
「ふふふ、いいじゃないですか、モニカ姫に性教育をしたと思えば」
「ふふっ、私も見て参考にしたかったですよ」
「………」
「………」
「………」
行為の最中はそうでもなかったシュンとユウだったが、
食事の為一緒に卓を囲むモニカに、
恥じらいの心が芽生え、押し黙ってしまっていた。
それはモニカも同じで、偶々見てしまい、モニカは何も悪くないのだが、
まだ年端も行かない少女には刺激が強過ぎたのか、同様に押し黙っていた。
そこにもう1人、理由は全く違うが身動きを取っていないニキもまた、
沈黙を守っていた。
そんな沈黙の中、先に沈黙を破ろうとサリィとルーミアは、
まず初めに、シュン達3人に標的を絞り、
口を開かせ様としたが、空振りに終わってしまう。
そこで今度は、ニキに向けて、サリィが話掛けた。
「まあ、シュンさん達が恥ずかしがって何も言わないのは分かるとして、ニキ様もなんでそんなに押し黙っておられるのですか?」
「い、いえ、その、覇、覇王様に無礼を働いた事を詫び様と思ってるのですが、もう謝らなくていいともお達しされ、何と言っていいものか……」
「はははは、あの、魔法では近隣随一と言われた女王近衛参謀術長ともあろう人が」
「そ、その、ルーミア様でしたらこの事態、お解りになると思いますが……」
「ま、まあな、しかしあれだ、シュン君が気にしていないのだから、貴女も気にするのは止めにした方がいいのではないか?」
「そ、それはそうですが……、それにルーミア様はこの事を国王に報告されるのでしょ?」
「ん?いや、する気はない、シュン君の事を公にしないと誓ったし、なにより……、この国の王も、余り誇れる方ではないから…」
「うふふふ、ルーミア様もニキ様も、辛気臭い話はしてないで、ユウちゃんのエッチ話で食事を楽しみましょう」
「お、お母さん、そんな話しながらご飯なんか、食べられませんよ~」
「ふふふ、まあまあ、いいじゃない」
何とかニキの口を開かせたサリィだったが、
自分から振って置いて、辛気臭い話は止めようと言い出し、
またもやユウを槍玉に挙げて、会話ある食事の場を取り戻して行った。
「それでねお母さん、私がキスして、そろそろシュン様が本気を出しそうになった時、モニカちゃんが来てね、3人とも固まっちゃったの」
「ふふふ、それは災難だったですね」
「でもぉ、まさかお兄様とユウお姉ちゃんがお風呂場でエッチしてるなんて思わなかったですし」
「愛する者同士はどこでもする物らしいですよ?お嬢様」
「そうなのか?まあ確かに、シュン君に言われたら、外でもしてしまうんだろうな…」
「あぁ、御主人様はやっぱりそうなんですね、私もそんな命令されたいです」
「お~い、やっぱりって何?俺はそんな命令してないし、そもそもそんな命令する気も」
「しないんですか?お師匠様、嘘はだめですよ?」
「うんうん、シュンさんは~、今嘘言おうとしました~、正直に言わないと~、後で後悔しますよ~?」
「くっ、そんな命令、そんな命令、し、してみたいけど…って、飯時に話す内容じゃなくない?」
「ふふふ、何を今更って感じですよ?シュン様」
あの後ボチボチと会話をし始め、一旦家に帰っていたエレアとサラン、
フローリアも合流し、先程の風呂場で行った行為について、
ユウに事細かく暴露されながらの食事となった。
結構長い間に渡る会話の中で、ニキも緊張がなくなったのか、
楽しそうに会話に混じり、ユウはモニカを妹の様に接し、
モニカもユウを姉の様に慕い出した。
やはり長年勇者として、パーティーを纏めていたサリィだけあって、
上手く皆の興味をそそる話題を示し、
わだかまりをなくした事は、流石と言うしかなかった。
「あら、シュンさんはこの程度の話で、食欲なくなってしまうのですか?」
「いやいや、普通そうじゃない?」
「そうなんですか~?食事中でも男の人は~、エッチな事したがるって聞きましたよ~?」
「お師匠様は違うのですか?」
「う、うん、俺は食事中には…」
「なっ、なんとも情けない事を、私が認めた唯一の御主人様ともあろう方が、もっと覇気をお見せ頂かないと」
「うむ、確かに…、貴族の中には食事中でも奉仕を強要すると聞くし、そのくらいの出来なくては」
「ちょっ、何言ってんの?俺はそんな事で覇気も見せないし、貴族でもないから」
「え~、シュン様、私でいいなら今からでももう一回しても良かったのに~」
「ユ、ユウちゃんまでそんな事言って、しないからね、うん、食事中は、まだ…」
「ぷぷぷ、お兄様、言って後悔しない様にまだって付けたぁ、あははは」
「ぷっ、お、お嬢様、シュン様に失礼ですよ、ぷっ、ふふふふ」
「は、はぁ、これから俺、どうなって行くんだろう……」
情を結んだユウならまだしも、ここに居る女性達は皆、
シュンとのエロ話を楽しそうに話していた。
さらにその後、ワインを片手にエロ話は続き、
ほろ酔い気分になった彼女達は、皆誘う様な目をさせながらシュンを見、
恐縮していた筈のニキも、チラチラと胸の谷間を見せる様な仕草で、
シュンを誘う始末だ。
さらにさらに、まだまだ少女のモニカまで、いつの間にかシュンの上に座り、
隙あらばキスをしようと画策していた。
そんな状況にシュンは、初め戸惑っていたのだが、
勧められるままにワインを飲まされ、
段々楽しくなって行ったシュンは、自らもエロ話に華を咲かせて行くのだった。
「はぁ、調子に乗っちゃったかな……」
エロ話を楽しみ過ぎて、モニカが疲れて寝てしまい、
その場はお開きとなったのだが、話の中で、
皆の趣味を満たしてやると豪語し、勢いのまま風呂に入って部屋に戻ったが、
その頃には酒も抜け、何を堂々と宣言してしまったのかと、
1人反省していたのだった。
そんなシュンが、自己嫌悪している所に、コンコンとノックする音が聞こえ、
やや緊張の面持ちをしたルーミアが、部屋の中に入って来た。
「し、失礼します……」
「お、お姉ちゃん…」
「シュン、君…、と、隣、いいですか?」
「うん、そ、その格好、似合ってるよ」
「あ、ありがとう、ございます…、こ、こうして、いざ2人きりになると、なんだか落ち着きませんね」
「そ、そうだね、それに鎧姿じゃないお姉ちゃんを初めて見たけど、やっぱり凄く綺麗だ」
「あぅぅ、シュン君、恥ずかしい、ですよ」
シュンの部屋に訪れたルーミアは、下着姿の上に、
薄いローブを羽織っただけの格好で、
その肢体に思わずシュンは息を呑み、
心の叫びの様に綺麗だと呟いてしまった。
普段はどこに居ても、鎧姿のルーミアで、
初日に至っては全身を甲冑で覆われた状態だった。
パーテーを組んでからは軽鎧で兜こそ被っていなかったが、
体のラインは余り見せず、初めてルーミアの身体を見たシュンなので、
本音が出てしまった様だ。
そんなシュンにルーミアは、自分が褒められて嬉しい反面、
恥ずかしい気持ちの方が強く、シュンの隣に腰掛けた後、
赤面させた顔を俯けたままジッと動かなくなってしまった。
「お、お姉ちゃん?」
「は、はい?な、なんでしょうか?」
「お姉ちゃんって、こう言う事、慣れてないんだ?」
「はい、ユウ様の前では年上の余裕を見せていたのですが、実は、その、初めてで…」
「そうなんだ、じゃあ、その、俺がお姉ちゃんの初めの相手、なんだね」
「そうです、シュン君が最初で最後のお相手です」
「でもいいの?姉弟でしちゃって?」
「そ、それはシュン君も解っているじゃないですか…、あぅぅ」
「ふふふ、その顔、凄く可愛いよ?」
「も、もぅ、わざとそんな意地悪な事言ったのですね…、姉をからかって楽しむなんて、酷い人…」
「でも、それがいいんでしょ?ルーミアお姉ちゃん」
「はぅ、シュン、君、耳を、あぁ……、そうです、そうなの、弟のシュン君に意地悪されるのが、いいの…」
「じゃあ、一杯苛めて上げるね」
「はい…、私も、シュン君の心の痛みが和らぐ様に、一杯愛しますね……、ちゅっ」
姉と弟の禁忌を犯すと言うルーミアの趣味に合わせるシュンに、
ルーミアは恥じ入りながらも応え、身体を喜びで震わせていた。
しかしその代わりに、シュンの抱いていた罪悪感、人を殺してしまったと言う恐れを、
優しく抱き締め和らげ様としてくれるルーミア。
そう、ルーミアは解ってくれていたのだ。
ユウからはシュンが別の世界から来た事を聞いており、
人を殺す事に躊躇いがある事を。
それにそれを自分達女性にはさせたくないと、震える身体に鞭を打ってやり遂げた事。
戦争を経験したルーミアには、同じ人間同士の、
それがいかに盗賊や、悪劣な魔人に成り下がったとしても、
シュンには罪の意識が残るだろうと言う事を感じ取り、敢えて言葉に出して表し、
口付けをして優しくベッドへ倒れ込んで行ったのだった。
「お姉ちゃん、俺は、俺は」
「うんうん、解っていますよ、シュン君は私達の為に頑張ってくれました、姉として、凄く嬉しいですよ、だから、今は私がその痛みを代わりに引き受けますから、シュン君は、お姉ちゃんに一杯甘えなさい……」
「あ、あぁぁ、お姉ちゃん…」
「うんうん、いいこいいこ、シュン君は自慢の弟よ、今日は私の身体で、嫌な事は忘れて、ね…」
先程の緊張とは一転、自愛に満ちた瞳でシュンを見つめるルーミアは、
普段鎧に下に隠している、女性の膨らみにシュンの頭を添えさせ、
男泣きを隠してくれながら優しく頭を撫でてくれるのだった。
そしてシュンの気持ちがルーミアの優しさで癒された後、
その柔らかい胸の感触や女性独特の甘い香りに、
欲情が芽生えてしまい、シュンはルーミアに圧し掛かって行った。
「あ…、シュン、君…?」
「ありがとうお姉ちゃん、次は俺が、お姉ちゃんの気持ちに応える番だよ?」
「うふふ、うん、シュン君に、姉弟でしてはいけない事、教えて貰う番ね」
「うん、嫌って言ってももう遅いからね?」
「ふふふ、望むところよ?可愛い弟で女にして、ね?」
「うん、ルーミアお姉ちゃん……ちゅっ」
「んっ………」
自分がシュンの心の傷を少しでも癒せた事を感じ、
思わず笑顔を見せながらシュンの言葉に応じ、
襲い掛かって来るキスを甘んじて受けて、長くなる夜を迎えて行った……。
……擬似的な禁忌とは言え、思わず熱が入ってしまったシュンとルーミアは、
お互いに息を切らし切らし、初夜には似つかわしくないほどの、
濃厚な時間を過ごし世も深まったところで、
体力の限界と共に、どちらが先にと言う訳でもなく、寝入って行った。
しかしそれでもルーミアは、可愛い弟、シュンを胸に抱いて、
安らぎを与えるのを忘れていなかった。
そんな初夜も明けてルーミアが身体に付着した汗やら、
体液をシャワーで流していた頃、昨日同様サリィがシュンを起こしに来た。
「………ださい、シュンちゃん、起きて~~」
「ん、あ、あぁ、もう朝?」
「はい、もう朝ですよ」
「そ、そうか……」
「さあさあ、もうご飯出来てますよ~、皆さんも来てますからすぐ来て下さいね?」
「うん、解った、すぐ行く…」
「あっ、そうそう、言い忘れてました…、ゆうべはおたのしみでしたね」
「ぶっ、それはもういいから」
「うふふ、じゃあ、シュンちゃん、待ってますからね」
シュンを起こしたサリィは、またもやお約束の言葉を残して、
部屋から出て行った。
自分もシャワーを浴び様かと思ったが、皆が待っていると言っていたので、
軽装を羽織って、食卓へと向かって行った。
「シュン様、おはようございます」
「おはよう」
「クンクン……、なるほど、これが御主人様の匂いか…、とてもいい香りだ……」
「ちょっ、フローリアさん、何してるの?」
「何とは?あぁ、御主人様の香りを覚えているのですよ?それから、私は御主人様の下僕、呼び捨てで読んで欲しいのですが」
「はぁぁ、わ、解ったよ、取り敢えずはフローリア、自分の席に戻ってくれないかな?」
「ふふふ、了解しました、ご随意に…」
「わぁぁ、お兄様、本当に御主人様みたいですぅ」
「なっ、モニカちゃんまでそんな、はぁ、いいからご飯、食べよう」
「はい、あ、あの、シュン君、ありがとうございました」
「う、うん、こ、こちらこそ…」
「ふふふ、何を改まって恥ずかしがってるのですか?昨夜は、ここか?ここがええのんか?って恥ずかしい事、してたのに~」
「ぶっ、また聞いてたの?てか、そんな事言ってないからね?止めてよ、俺がいかがわしく思われちゃうよ~」
食卓に着いてすぐ、フローリアの変態行動から始まり、サリィの嘘話で、
早くも会話が進んで行った。
「ふふっ、お師匠様、もういかがわしいのは承知ですから平気ですって」
「うんうん、酔った勢いでみんなの身体ベタベタ触ってましたし~」
「そんな事してたの?俺…」
「うん、モニカのおっぱいもぉ、さわさわしてましたよぉ?」
「ぶっっ、マジ?」
「はい、本当と書いてマジですよ?シュン様」
「かぁ~、俺何やってんだ、こんないたいけな少女にまで…、も、もう酒を飲むのは止めよう、うん、もう飲むのはだめだ」
進む会話の中で、シュンは聞き捨てならない話を聞いた。
この世界では10歳から酒を飲んでいい言われ、
調子に乗って飲んでしまった事による、痴態の話だった。
それを聞いたシュンは、酒を飲むのはもう止め様と頭を抱え、
女性達はそんなシュンをニコニコ見ながら、
楽しい食事を取り、モニカの国へ行く準備をした。
「結構遠いの?」
「はい、歩くとぉ、早くて5日くらいですよぉ」
「5日も家を空けるのか……」
「いえいえ、シュン様、私が魔法でお連れ致しますよ」
「あ、ああ、そうか、ニキさんなら訳ないよね」
「うふっ、一応魔術師ですので、では皆さん、宜しいですか?」
「どうぞ」
歩きで行くつもりであったシュンだったが、
ニキが魔法で連れて行けると言い、シュンが感謝する様に微笑みを向けた。
その微笑みに、ニキも笑みを返しつつ、
皆に良いか確認を取って魔法を詠唱し、即座に隣国の王城前に到着した。
そして門を守っている兵がモニカとニキに深々とお辞儀をして、
場内まで通された。
「ほぉ、中には初めて入ったが、これはなかなかな立派な城だな」
「お褒め頂いて光栄です」
モニカとニキ以外のメンバーは一室で待機させられていて、
準備が整った様で、侍女に引き連れられ、
謁見の間まで歩いて行くがなかなか壮観な城内に、
サリィ以外はキョロキョロしながら歩いていた。
そして、謁見の間に着き次女が扉を開けると、
そのの先には、1人の女性が王座に腰掛けていた。
「よく来た、余は、この国の王女、アイリーン、さあ、余の前に跪くが良い」
「………」
「………」
深く腰掛けた王女はシュン達を一瞥すると、
高慢な態度と言葉で出迎え、シュン達を跪かせた。
女王の近くに腰掛けていたモニカは、
この台詞に噛み付くかと思われたが沈黙を守っていた。
ニキも同様に顔色を変えず涼しい顔で、
女王の次の言葉を待っている。
それを見たシュンは、まあこんなもんかと思わされ、
少々呆れながら跪いて言葉を待った。
その際ステータスも確認したが、それはこんな感じだ。
名前 アイリーン ギムダイン 性別 女 年齢 30 レベル 3260
職業 女王(元覇者) 称号 ギムダイン国女王
HP 20000
MP 20000
力 1000+5
魔力 1000+5
体力 1000+5
素早さ 1000+5
賢さ 9300
運 3300
魅力 9800
攻撃力 1105
防御力 1025
回避力 1000
スキルまでは確認しなかったが、
確かに目の前の女性は元覇者で、女王であると確認した。
その女王が、重々しくもふてぶてしい口調で口を開いた。
「ふっ、本来なら英雄として世界に貢献して来た余が、下賎な者達に顔を出す事はないのだが、今日は特別じゃ、ふふふ、どうじゃ?光栄じゃろう?」
「まあ、そうかも知れないね~、そうそう、さっさと話を終わりにしたいから、はいよ」
「こ、小僧、陛下の前でその様な態度」
「まあ好いではないか、威勢のいい小僧は嫌いじゃないぞ?」
「し、しかしながら陛下、この様な真似を許しては」
「ふっ、余に意見か?そちは余の相談役ではなかった筈じゃが?」
「そ、それは……」
「言い訳を考え中か?ふん、もうよいわ、お前達が居ると話は進まん、モニカとニキを残して、他の者は退室せい」
「な、なんと、護衛もですか?」
「護衛などニキ1人で十分じゃ、はよ出て行け、まだ何か言いたいのなら、3族皆殺しを覚悟の上と思うのじゃな?」
「い、い、いえ、畏まりました、では、し、失礼致します」
女王、アイリーンの前に、首の入った袋を投げ付けたシュンに対して、
控え立っていた、大臣と思われる男が、異を唱えた。
だがアイリーンはその態度を気に入った様で、
別に構わないと言うのだが、尚も異議を口にした大臣に対して、
恫喝に近い言葉で叱責し、退室を命じた。
その迫力に大臣以下、臣下達は、そそくさと部屋を出て行き、
残されたのはシュン達とアイリーン、それに、モニカとニキだけとなった。
そしてちょっとした沈黙の後アイリーンは王座から立ち、
シュンの下へ駆け寄って行き、いきなり抱き締めた。
「ちょっ、え、なに?なに?」
「やっと邪魔者は居なくなったわ、覇王様、あっ、シュン様、度重なる無礼、お許し下さい」
「へ?え?どうなってんの?」
「ふふふ、シュンさん、これはニキさんが画策した事ですよ?」
「画策?」
「流石サリィ様、と言うか、シュン様以外の方は薄々勘付いていた様ですわね」
豊満な胸を押し付けながら抱き締めて来るアイリーンに、
シュンは訳が分からなくなり、混乱状態に陥ってしまった。
そんなシュンにサリィが説明し、その後を受けて、
アイリーンが詳しく解説してくれた。
それは以下の通りで、まず初めに、
魔法を得意とするアイリーンは、昨夜の食事の模様を、
ニキを通してステータス画面から、衛星中継の様に眺め、
シュンが覇王である事はとっく知っていた事。
そして、シュンがどんな人物で、娘のモニカや参謀のニキが、
惚れてしまっている事も確認済みな事。
あとは、シュンが正体を隠したい事も知っていたので、
臣下を退席させ、ゆっくり話がしたかった事だった。
更には自分もシュンに惚れてしまい、わざと高慢に振る舞い、
後でお仕置きをされたいと言う事も包み隠さず白状した。
「ぶっ、お、お仕置きって…」
「ふふっ、そう、性的なお仕置きの意味で当たってますわよ?」
「ちょちょっ、王女様に性的なお仕置きって、だめだめ、そんなに俺の心臓は強くないよ~」
「うふふふ、姫でまだお子様のモニカには出来て、わたくしには出来ないと言うのですか?」
「そ、それって、あぁ、見てたんだっけ?」
「はい、それに…皆が気付かない所でモニカのスカートの中に手をお入れしてたのも、見てしまいましたけれど?」
「お、お母様、それはお兄様と私の秘密だったのにぃぃ」
「え、ええ、マジで?マジで俺、しちゃったの?」
「は、はい…、指でぇ、モニカの……触ってましたよぉ、でも、ちゅぅは酔ってない時に、ちゃんとして上げるねって、へへへへへ」
「な、なんだって…」
思い掛けない一言に、シュンは思わず絶句してしまうが、
皆は特に何も言わなかった。
その様子にシュンはモニカだけではなく、
他の女性達にも何かしらのセクハラをしたのだろうと悟る。
そんな事に思いを寄せている間も、
アイリーンはムニムニと胸を押し当てっぱなしにしていた。
それに気付いてシュンはアイリーンに言って止めさせ、
本題に戻った。
「で、首、見なくていいの?」
「はい、見なくても分かりますわ、本当にありがとうございました、報酬はどうしましょう?」
「あぁ、報酬ね~、通常のギルドとは違って、国からお金を出す事になるんでしょう?」
「そうなりますわね」
「じゃ~いいや、税金から貰う訳にもいかないし」
「しかしながら、シュン様?騙してしまった事の補償は受け取って頂かないと……」
「ん~、じゃあ、モニカちゃんとニキさんを貰って帰ろうかな~」
「えぇ~、うん、いいよぉ、モニカが報酬でぇ、ニキが補償って事ですねぇ」
「お待ち下さいシュン様」
報酬は税金から支払われるのを良しとしないシュンは、
代わりにと言って、モニカとニキを要求した。
勿論これは冗談で、だめと言われるに決まっていると思っていた。
当然の様にアイリーンから待ったが掛かる。
「あ、やっぱり人を貰うのは酷い話だよね」
「違いますわ、わたくしの名前が入っていないのが不服なのですわ」
「へ?ちょっ、あんた女王でしょ~が、何言ってんの」
「あん、そんな大声で、もっとぉ~」
「はぁぁ、こらだめだ、どうしよう?」
アイリーンは頬を膨らまして怒りながら、
自分の名前がないじゃないかと、想像とは別の答えが返って来た。
そんなアイリーンに思わず大声でつっこんでしまったが、
アイリーンは何故か恍惚の表情になってしまい、
シュンは頭を抱えながら、冷静な意見をルーミアに尋ねた。
「宜しいのではないですか?女王様がそうしたいのでしたら」
「お、お姉ちゃん…」
「惚れさせたシュン君が悪いと言う事で…、それにこの国には跡取りが居た筈」
「ええ、息子に跡を継がせれば問題ありませんし、わたくしはシュンのペットになりたいの…」
「おいおい…、はぁぁ、もう何言っても無理?」
「はい、魔剣の手続きはもうしてありますから、それと交換条件で」
「くあ、ずりぃぃ」
「うふふ、お仕置きならいつでもいいですわよ?」
「うわぁ、また変態が増えちゃったよぉ~」
「うふふ、シュン様も変態さんですから大丈夫ですよ」
「……、ユウちゃん…酷い」
結局シュンは、国のトップである女王と娘である姫、
更には重鎮である参謀の3人を持って帰る事になり、
以来この国の重鎮達からは敵意を持たれ、
この3人+ある女性を巡る争いに繋がるとは、
この時には想像だにしなかった。
だが今のシュンは、じゃじゃ馬と言って良いアイリーンの扱いに、
考えを巡らすのだった。
「では今週中に王位を継承しちゃいますから、それが終わったらシュン様のお宅にお伺い致しますわね」
「う、うん、モニカちゃんとニキさんも?」
「うん、お母様のお手伝いしてから行きますぅ」
「私もお手伝いさせて頂いてから伺います」
「うん、分かった」
「シュン様…、あの、1つ宜しいですか?」
なんだかんだで同居を決定させたアイリーンは、
息子に王位を継がせるのに1週間掛かってしまうと言い、
モニカとニキも、手伝いをすると言う。
それに頷くシュンへ、ニキが何やら聞きたい事がありそうで、
おずおずと口を開いた。
「うん?」
「シュン様は、メイド服と踊り子の服ならどちらがお好きですか?」
「は、はい?」
「で、ですから、その、メイド服か踊り子の服ならどちらがお好きですか?」
「ど、どっちって言われても…」
「うふふ、ニキ、シュン様は、どちらもお好きだから答えに詰まってるのですわ」
「こらこら」
「あら?では、あのフリフリが付いてなんともいかがわしい雰囲気を持つ服も、露出の高く明らかにエッチー服もお嫌いと言うのですか?ニキが着て楽しませると誘っているのに…」
「ん、ん~、そう言われたら、嫌いじゃ、ないけど」
「うふふ、お決まりですわね?」
「はい、ではシュン様、お伺いする前に替え揃えて置きますね」
ニキの聞きたい事とは、メイド服と踊り子の服ならどちらがいいか、
と言う意図の分からないシュンだったが、アイリーンの説明で、
ニキはコスプレをした姿を見せたいのだと悟り、結局押し流されてしまった。
「ふふふ、良かったですね~、シュンさ~ん」
「コスプレ、か…、まあ、この法衣もコスプレに使えそうだから、御主人様に呼ばれた際はこれを着ていればいいか…」
「……ま、まあ、一旦戻ろうか?」
「はい、あっ、今日はこの後どうするんですか?」
「ん~、基礎でも修行しようかなと」
「はい、お師匠様、それがいいです」
「じゃあ、取り敢えず家に帰ろう、じゃあまた後でね」
「はい」
これからする事も決まり、シュンはアイリーン達3人に挨拶し、
3人も揃って返事を返す。
その後城から外へ出て、自宅へと魔法を使って帰って来た。
そして、女王アリ居る洞窟へ向かう為、それぞれ準備を整えるに一旦解散した。
家の中に入ったシュンは、お弁当をサリィに作って貰っている間、
ユウとイチャイチャし、そのまま愛し合ってしまった。
「シュン~ちゃ~ん?お母さんが一生懸命お弁当作ってる間に、何してるのかな~?」
「な、はははは、ごめん」
「まあいいですけど、ユウちゃんもこれから修行でしょう?みんなが来る前にシャワー浴びて来なさい」
「むぅぅ、まだ一回しか出して貰ってないのに~、お母さんに邪魔されちゃいました」
「はいはい、どうせお邪魔虫ですよ~だ、さあさあ、ユウちゃん、いってらっしゃい」
「は~い、じゃあ、シュン様、また夜にお願いしますね~」
「う、うん、時間があればね」
「は~い」
2度目に突入し掛けた所でタイミング良くサリィが部屋に現れ、
愚痴を漏らした。
そしてユウへ、皆が集合する前にシャワーを浴びる様に言い、
部屋を出て行くユウを見送った後、
溜息を吐きながら、シュンへ口を開いた。
「ふぅ、シュンちゃん、ちょっといいですか?」
「う、うん…」
「お母さんの言いたい事、解る?」
「ま、まあ、ね」
「そう、なら~、ユウちゃんが出てくる前に、お母さんとも愛し合いましょう~」
「ぶっ、そっち?これから戦闘するのに、何やってんだって怒ってんじゃなかったの?」
「あら、恋人同士のまぐあいにいちゃもん付けるほど、お母さんは野暮じゃないですよ?」
「そ、そう…」
「ええ、でもでも~、ユウちゃんばっかりずるいとは思っちゃいますよ?」
「うん、それはね、まあ」
「うふふ、いけないいけない、お母さん、シュンちゃんを困らせちゃったわね、今のはう~そ、さっ、お茶を淹れますから、いきましょう」
「う、うん……」
大らかなサリィが垣間見せたちょっとした嫉妬心に、
胸を痛めてしまったシュン。
それに気付いたサリィは微笑みながら前言を撤回し、
ベッドに座っていたシュンの手を引き、
一緒に部屋を出て食卓のある部屋へと向かった。
そして、サリィがキッチンでお湯を沸かそうとして後ろを向いた瞬間、
シュンがその背後から、軽く抱き締めた。
「きゃっ、シュ、シュンちゃん?」
「ごめんねお母さん、俺」
「うふふ、いいのよ、ユウちゃんを大切に想ってくれてるのが判るから、うふふ、シュンちゃん、このままじゃお湯、沸かせないわ、あ、あん」
抱き締められたサリィの一言に、
思わず抱き締めていた手に力が入ってしまい、
それに合わせてサリィは可愛く声を上げてしまった。
「お母さん、可愛い声出ちゃったよ?」
「やん、もぅ~、シュンちゃんのエッチ~、お母さんに、んっ、んん……」
可愛い声をからかうシュンに抗議をしようとしたサリィが振り向いたその時、
シュンはサリィの唇を奪った。
咄嗟の事でサリィは驚いて身を硬くしたが、すぐにシュンの身体に腕を回し、
まるで新婚生活の様な甘い一時を嬉しんだ。
「も、もぅ、シュンちゃん、いきなりなんだから」
「ごめんね」
「うふふ、いいのよ~、お母さんのファーストキス、どうでした?」
「はい?」
「あら?私、男の人と愛し合った事ないのを言ってなかったかしら?」
「聞いてないよ、ってか、ユウちゃんはお母さんの娘じゃなかったの?あっ、まさか、レイプ…」
「まさか~、キスだってした事なかったんですよ?あっ、あぁ、シュンちゃんは違う世界から来たんでしたね」
サリィが男性と付き合った事がないと聞かされ、
思わず驚くシュンだったが、サリィはその顔を見て、
シュンが異世界から来た事を思い出し説明をしてくれた。
その説明とは、英雄である覇者と、勇者の中には、
産まれ持った血筋でそのままその職を継げるのだが、
その血筋とは母親が、覇者ないし勇者の職で、
次を託す事を決めて、ある神殿で祈りを捧げると、
男性を介さず子を身籠れると言う話だった。
それを聞いたシュンはやや言い辛そうに、サリィに質問した。
「じゃあ、お母さんはまだ、しょ、処女って事だよね?」
「うふふ、そうですよ?がっかりした?」
「い、いや、むしろ嬉しいと言うか、そう言う事は初めに言ってよ~」
「それは、てへ、言い忘れてました」
「はぁ~、危うく襲い掛かる所だったんだから」
「うふふ、危なかったですね、そんな事されたらお母さん、新しい性癖に目覚めちゃうとこでしたね、うふふふ」
「……、お母さん、俺座るわ」
「あら、もう終わり~?」
「うん、お母さん、初めてはちゃんとした場所で、ちゃんと時間がある時に、ね」
「え、ええ、分かりました、うふふ、シュンちゃん、ありがとう」
子は産んだが男性経験がない事を確認したシュンは、
思いがけず顔が緩んでしまい、実は背後から、
サリィを襲ってしまおうとしていた事を白状した。
それを聞いたサリィは、嬉しそうに微笑みながら、
そんな事されたら被虐と言う名の、
新たな性癖に目覚めてしまうと目を細めながら言う。
シュンは、サリィなら有り得るなと、
危うく変態思考の恋人を増産する所だった事に、
肝を冷やしたのだった。
そして、離れて行くシュンに少し寂しそうにするサリィだったが、
シュンの気持ちある言葉に、笑みを戻してお茶を淹れ、
皆が来るまでおしゃべりに興じた。
「さってと、軽く修行と行きますか」
「うふふ、お母さんも言っていいかしら?」
「うん、お母さんもステータスは限定されてるって言っても、戦闘経験ならこの中で1番だと思うし」
「サリィ様が居れば私も楽になります」
「うふふ、ルーミア様、もう堅苦しい呼び方は止めにしませんか?」
「えっ、いや、しかし、世界に名を残した勇者様に…」
「うふふ、それを言うなら覇王様であるシュンちゃんには、全員が様を付けて呼ばないとならない筈でしょ?」
「そ、そうですが」
「もう、ここに居るみんなは、シュンちゃんの恋人ですし、家族なんですから、呼び合うくらいは、堅苦しいのを抜きにしてもいいと思いますよ?だめかな?ルーミア、ちゃん」
「い、いえ、分かりました、サリィ、さんがそう言うなら」
「うふふ、そう言う事ですので、アイリーン女王様、ここに着たらリーンちゃんって呼びますからね?」
「えっ?まさか盗撮されてる?」
「はい、ばっちり、魔力を残して行きましたよ、ニキさんが、うふふふ」
「気、気付かなかった……」
「ふふっ、あちらも今頃、冷や汗を掻いてるでしょうね、ふふふふ」
サリィの提案で、最早家族と言って差し障りのない間柄に、
堅苦しい呼び合いは無用と言い出した。
その案に皆納得し首を振る中、サリィは壁に向かい語り掛け、
アイリーンへメッセージした。
その様子にシュンは、気付かなかったと苦笑いを浮かべ、
ルーミアは向こうも冷や汗を掻いているだろうと笑うのだが、
まさにその通りで、アイリーンとモニカはまだしも、
魔力を残して行ったニキは、背筋に嫌な汗を掻き、
うろたえてしまっていた。
隣国でそんな事になっているとは露知れず、
シュン達は家を出て、洞窟へと修行しに行った。