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第5話 盗賊退治とそれに伴う苦悩

グロ描写あります。

目の前にシュンが座った事を確認した白髪の美女は、

おもむろに口を開いた。



「お仕事の内容なのですが」


「うん」


「この街から30分ほど離れた場所にある洞窟に、盗賊団が住み着いている様なのですが、そこの探索をお願いしたいのですが」


「盗賊、ね~、強い奴らなの?」


「いえ、ルーミア様程はレベルが高くないらしいのですが、人数がかなり居る模様なので」


「なるほどね~、でもここから近いんだったら、騎士団を動員すればすぐ済む話なんじゃないの?」


「ご存じなかったのですか?この国の騎士団は強力過ぎて、自衛以外の行動は禁じられているんですよ」


「そうなんだ、じゃあ目の前にある危機も、事が起きてからじゃないと行動出来ないと?」


「はい、この規約は各国の共同声明ですから、破ると大変な事に」


「まあ、それなら仕方ない、探索だけでいいのかな?」


「はい、しかしながら、もし、盗賊を全員追い出しましたら、特別な報酬も約束します」


「特別な報酬ね~、何だろうか…、まあいいや、お昼を食べたら行ってみるね」



美女から話を聞いたシュンは、特別な報酬と言う言葉に惹かれて、

その依頼を請けてしまった。

その事をユウ達に相談する為、ユウの家に帰ったのだが、

装備品を見に行っていたユウ達が帰って来たのは、

それから30分後であった。



「ん~、午後からどうしますか?」


「ちょっと行きたい場所が在るんだけどいいかな?」


「どこですか?」


「うん、盗賊が居る洞窟に行こうかなと、ちょっと仕事も頼まれてて」


「盗賊退治、ですか?」



皮製で出来た盾やら鎧などを買って来たユウ達は、

ホクホク顔のまま少し遅れた昼食を取っていた。

そして食事が終わり、ユウがこの後の予定を聞き、

盗賊退治の依頼を頼まれたと伝え、

ルーミアも情報があるか聞いてみるシュン。



「うん、結構レベルが高い奴等らしんだけど、お姉ちゃんはなんか知ってる?」


「え、ええ、30人程徒党を組んでいると報告がありました、確かその中のボスはレベルが600以上だと聞きましたが」


「なるほど、まあ、戦闘は俺がやるから、みんなは危なくない所で見ててね」


「えっ、シュン君、お1人でやるのですか?」


「うん、ほら、人殺しなんか、女性にさせたくないし、さ」



情報は得ていたルーミアは、自分の知っている事をシュンに伝えた。

それを聞いたシュンは、戦闘になった際は自分で行うと意気込むが、

異世界から来た事を知っているルーミアは、シュンの事を心配する。



「しかし、シュン君は人を殺した事は…」


「ないよ、でも、いつ街に襲い掛かるか分からないし、そうなる前に俺がこの手で」


「……シュン君がそう言うのならば従いますが、私も王国騎士の端くれ、戦争は経験していますから、いざとなったら私も」


「うん、ユウちゃん達が危なくなったら、その時はお姉ちゃん、お願いね」


「はい、なるべく邪魔にならない様に行動をしますので」



人を殺す事にかなりの躊躇はあるものの、街を襲われてからでは襲いと、

1人気合を入れ直すシュン。

これから行われるであろう惨劇を、なるべくならユウ達女性に見させない様にと、

考えながら洞窟前に到着した。



「この中か」


「はい、以前は採掘場だったのですが、廃坑になって、盗賊達のアジトになった模様です」


「なるほど、洞窟内の地図とかは?」


「それなら大丈夫です、大分前ですが一回中の様子を見ましたから、大体の作りは覚えています」


「ほぇ~、凄いな~お姉ちゃんは」


「いえいえ、そんな褒められる事では……、んっ、中から物音が」


「みんなその岩の後ろに」


「はい」



洞窟内部から、下品な笑い声が聞こえて来て、

盗賊がこちらに来ていると察知した。

その笑い声のする方にシュンが念じ、人数とレベルを確認した。

その人数は3人で、レベルは98、103、102と表示された。

確認を終えたシュンは、入り口のすぐ横に息を潜め立ち、

ユウ達は少し離れた岩の後ろに隠れ、シュンの事を見守っていた。



「ぎゃははは、またあの町から女を攫ってくるか?」


「ああ、そうしよう、お頭はあれこれ言わないしな」」


「ぎゃはは、ちげーねぇ、だが、んぎゃっ」



洞窟から外へ出ようとして来た盗賊の1人に、

シュンが先制のパンチを顔面に当て、1人を殴り殺した。

急襲に驚いた残りの2人が、何事かと慌てふためいた隙に、

もう1人にも殴打を与え、内蔵に致命傷を食らわし絶命させた。

最後の一人は恐怖の為、仲間を呼びに逃げようとしたが、

シュンはすかさずその盗賊を捕らえ、後ろからスリーパーを掛け、

腕に力を込めて、首根っこをへし曲げ、盗賊を屠った。



「………思ってた以上に感じが悪いな、人殺しって……」



幸いな事に出血させる事はなく、返り血などは浴びていないが、

殴打した際や首を折った時の、生々しい感触に、

シュンは言い切れない嫌な感じに襲われた。

そして、女性陣がどんな顔をしているか気になり、チラッと岩の方を確認した。

すると、シュンの予想していた表情とは違い、恐れや嫌悪を表す顔は、

誰一人としてしていなく、ホッとした顔や、

羨望の眼差しでシュンを見ていたのだった。



「シュン君、これは私達が居た場所に捨てて置きましょう」


「あ、うん、てかみんなは、人を殺した俺を何でそんな目で見てくれてるの?」


「そんな目?ですか?」


「う、うん、ほら、平気で人を殺した俺をさ、暖かい様な目で見てくれてて」


「お師匠様の地域には盗賊は居なかったのですか?」


「ま、まあ、悪人なら一杯居たけど、誰であろうと人を殺す事は、かなり重罪だったから…」


「そうなのですか、ですがお師匠様、こいつ等はモンスターより遥かに劣った畜物ですよ?」


「私も人を殺すのは抵抗がありますけど、盗賊や海賊とかは、また別です」


「そ、そうなんだ」



盗賊の死体を片付け様と掛け付けて来る女性達に、シュンは疑問をぶつけたが、

盗賊はモンスター以下の存在で、それを殺害したからと言って、

見る目が変わる事はないと、ユウとフランが説明してきた。



「はい、それともう1つ、シュン君のその身体の振るえを見て、只の人殺しだと誰が言えましょうか?皆を思って自分が泥を被るそのお姿に、尊敬の念が絶えません」


「いや、これは俺が情けないってだけだよ、ははは……」


「情けなくなんかないです~、貴方様はとっても勇敢で、素晴らしい御方なのです~」


「へ?ちょっ、どうしたのいきなり?」



その上ルーミアは、シュンの基準で盗賊でも、

人殺しになると勘違いしていたとは言え、それを自分で行うことで、

他の人達にはさせなかった思い遣りに、痛く尊敬したと言い、

跪いて畏まった。

その言葉にシュンは、思わず目頭が熱くなったが、

それよりも先に、エレアが泣きながら抱き付いて来た。



「シュン様、エレアちゃんは盗賊に両親を殺されちゃったんです…、だから、そんな盗賊を倒してくれたシュン様が情けないって自分で言うのが嫌だったんじゃないでしょうか?」


「そ、そうか、そうだったんだ…」


「うぅ、ぐすん、お願いします~、その力で私みたいな人を増やさないで下さい~、お願いします~」


「うん、解ったよ、俺に任せておいて、敵もすぐ討って上げるから、いや、一緒に討ちに行こう」


「は、はいです~、ありがとう、ありがとうです~」


「うんうん、あっ、ごめん、お姉ちゃん、片付け…」


「構いませんよ、それにしても…シュン君、これからが忙しくなりそうですね?」


「むぅぅ、シュン様、私の相手もしてくれないと、泣いちゃいますよ~~」


「あ、いや、別に、ははは、ユウちゃんの相手は、毎日するよ?」


「あぅっ、えへへへ、そう言われると恥ずかしいですね~、えへへへ」



ルーミアの見立てでは、間違いなくここに居る女性全員が、

シュンの恋人となるだろうと思い、少しばかり意地悪く言葉を投げ掛けた。

それはユウも同様に感じていた事で、懇願の様な表情でシュンを見て、

困惑させたが、シュンの切り替えしに、ユウは逆に照れてしまい、

えへへへとだらしない顔を両手に当て、クネクネとさせていた。

しかしいつまた盗賊が現れるか判らない状況に、シュンは気持ちを改め、

皆と一緒に洞窟内部へ足を運んで行く。



【みんな聞こえるかな?】



洞窟内部での会話は危険だと感じ、シュンはテレパシーも、

魔法で出来るのではないかと思い、実行してみた。



「ほぇ?んー、んー」


【しぃ~~、頭の中で会話して見て】


【んー、こうですか?】


【そうそう、上手く行ったみたいだね】


【これはシュン君が?】


【うん、テレパシーって言うのかな、声を出すと見つかる可能性があるし】


【やっぱりお師匠様は凄いです、でもこれって…考えた事がすぐばれてしまいますね……】


【ま、まあ、極力変な考えは起こさない方がいいいかもね…】


【はいです、あっ、あそこから光が漏れてます】


【本当だ、お姉ちゃん、後ろ任せていい?】


【はい、後ろの警戒は私がしますから、シュン君は気にせずそのまま】


【ありがとう、じゃあちょっと様子を見てくる】



いきなり頭の中に、シュンの声が聞こえ、声を上げてしまったユウを、

シュンは口を押さえて黙らし、頭の中での会話をさせる。

見事にそれは成功を収め、後方をルーミアに託し、

シュンは光が漏れている部屋を、偵察しに行った。



【ん、数が5人、いや、女も居るのか?……犯されてたっぽいな……】


【ひ、酷い、シュン様、そんな奴等ボコボコにしちゃって下さい】


【うん、勿論だよ、んと、レベルは…130、160、102、210、157か】


【中の様子はどうですか?】


【うん、寝ているっぽいな……上手くやれば起きる前に倒せるな、ちょっと行ってくる】


【はい、お気を付けて】



数とレベルを確認した後、こっそり中の様子を見たシュンは、

盗賊達が寝入っているのを見た。

それは都合がいいと、物音を立てない様ゆっくり部屋に入り、

まずは一番手前に居た、レベル130の盗賊の首を掴み、

一気に捻じ曲げて屠り、隣で寝ていた160の方も、

同じ様に始末した。

次いで、反対側のベッドに居た、157も同様に殺害した所で、

女性が目を覚まし、シュンの顔を見て驚いていた。



「しぃ~~」


「あ、あんた達、侵入者だよ」


「なっ、しくった、仲間だったのか…」



女性に向かって人差し指を口に当て、しぃと声を出さないでと合図したのだが、

なんとその女性は女盗賊だったらしく、寝ている盗賊達に向かって大声を出し、

目覚めさせた。



「な、なんだてめーは」


「かっ、たった1人で来たのかよ?だがまあ、こっちには6人も居るんだ、けけけ、覚悟しな」


「おい、あんた達いつまで寝てるんだい、いい加減起き……きゃぁぁ」


「おいどうし、ぶはっ……」


「ちっ、て、てめーー」


「はぐぁ……」



目覚めてすぐ啖呵を切る盗賊達を見据えるシュン。

その間に女盗賊は、シュンに屠られている盗賊に近寄り、

叩き起こそうとしたが、死んでいる事に気付き、

思わず悲鳴を上げてしまった。

その悲鳴に気を取られ、レベル102の盗賊が女盗賊に目を移した瞬間、

シュンは跳び蹴り繰り出し、その蹴りに脊髄が耐えられなかった102は、

身体をくの字に曲げたまま、絶命した。

隣に飛び掛って来たシュンを、レベル210はチャンスと捉え、

顔面を殴ろうと腕を振るったが、

それをサッと屈んで避けたシュンは、そのまま210の顎に頭突きを当て、

首骨を脱臼させ息の根を止めた。



「ひ、ひぃぃぃ」


「くそっ」


「は、離せ、止めて、こ、殺さないで」


「殺しはしないから黙って、大きな声を上げないで」


「本当かい…?」


「ま、まあ、情報をくれたら殺さないで上げるよ」


「あ、ああ、何が、聞きたいんだい?」


「そうだね、ここには何人居る?」


「32だね、1週間前に新入りが来たから35か」


「お前も含めて?」


「ああそうだよ、あとはそうねー、町の情婦が何人か居るけどその数は知らないよ」


「なるほど、で、ボスはどこに居る?」


「下の階だよ、大部屋にいつも1人で居るよ」


「そうか、で最後の質問だが、あんたは人を殺した事あるの?」


「ふっ、人を殺さない盗賊が居るのかい?まあ、あんたも大して変わらないんだろうけどさ」


「あんた等みたいのとシュンさんを一緒にしないで下さい~~」


「なっ、きぃぃぃ、お腹が、あぁぁ、あたいのお腹がぁぁぁ、んがぁ……」



逃げ出そうとした女盗賊を、後ろから捕まえたシュンは、

片手で手を極め、もう片方の腕で首を捕らえた。

その状態で情報を取得したシュンが、最後に人を殺したのかと問い、

女盗賊は舐めるなとでも言いたげにシュンを睨み、殺した事があると示唆した。

それを聞いてシュンは、一瞬絞め殺そうとしたが、

相手が女性だったので、思い留まった。

だがシュンも自分達と変わらないと吐いたその時、近くで様子を見ていたエレアが、

手に持つ斧を投げ付け、女盗賊の腹部に命中させた。

それを受けシュンは、せめてもと思い、女盗賊の首を引き締め、命を奪った。



「あ、あぁ、す、すいません、折角捕らえたのに……」


「ん?いいよいいよ、もう情報は聞いたし、それに、俺も殺そうと思ったから」


「は、はい」


「良かったよ、実は悩んでたんだ、女性を手に掛けるか掛けないか、そこにエレアさんが背中を押してくれたから、ね」


「シュンさん……」



勢い余って斧を投げてしまったエレアは、申し訳なさそうにシュンへ謝罪した。

しかしシュンは、殺害に向かわせてくれた事に感謝し、エレアの頭を兜越しではあるが撫で、

エレアはそんなシュンに、顔を紅く染めてしまう。



「シュン様、ラブラブはここを出てからですよ~」


「あ、ああ、そうだね」


「うふふ、ところで、後はどのくらいの人数なのですか?」


「ん~と、全部で35って言ってたから、さっきが3の、ここで6か」


「残りは26ね」


「うん、そうなるね、あとボスは下の階に大体1人で居るらしいよ」


「なるほど…、では25人はこの階に居ると言う事ですね?」


「そうだね、じゃあ探しに行こうか、あっ、はい、これ」


「あっ、ありがとうございます~」


「いいって、じゃあ行くか」


「はい」



情報をみんなに伝え終わり、女盗賊の腹に刺さっていた斧を手渡すシュン。

返された斧には血は付いておらず、シュンが盗賊の服で拭いて、

渡してくれた事に感謝するエレア。

そんなエレアに、もう一度だけ頭を撫でたシュンは、

皆に行こうと言い、皆声を揃えてはいと言い、その部屋から出て行った。




「ふ~、これで30か、残りはボスを入れて5人か」


「ですね、後は階段前にある小部屋だけだった筈です」


「しかしここまでほとんど起きてる奴等がいなかったね~」


「まあ盗賊って奴等は、基本夜行性だから」


「ああ、なるほどね、まあ、丁度いいからいいか」



丁度30人を屠り、情婦しか居なかった部屋で小休憩を取っていたシュン達は、

いよいよ終盤に差し掛かり、気持ちを新たに、この階の最後の小部屋に向かった。

ここでもシュンが様子見をしに行き、ドア越しから中の人数とレベルを確認する。

その小部屋には4人居て、1人は女で、後3人は男だった。

レベルはと言うと、女が432で男はそれぞれ、99、102、103だった。

盗賊ではない女性だけ、異様にレベルが高いのが気になったが、まあいいやと、

ドアをゆっくり開けると、そこからは罵声とともに、

ピシン、ピシンと、鞭で何かを叩く音が聞こえて来た。



「ひぃぃぃ、も、もう、お許し下さい」


「何言ってんのぉ?私を襲おうとしたくせに許してくれですってぇぇ?」


「あ、ああ、いや、本当に勘弁して下さい、ただの奴隷かと思ったんで」


「奴隷ですって?ふざけんじゃないわよぉぉ」


「ぎゃぁぁぁ、う、嘘です、今のは、あぎゃぁぁぁ、嘘です」


「……………」


「……………」



シュンの目に映ったのは、汚れた服を身に纏った女の子が、

盗賊の1人を踏み締めながら、手に持つ鞭で容赦なく打ち据え、

口悪く大声を張り上げている場面だった。

一瞬固まってしまったシュンを、その女の子が気付き、

その女の子も思わず手を止め、シュンを見ながら固まっていた。



「た、助けてくれぇぇぇ」


「ん?お前は」


「げ、お、お前は、あの時の……」


「お前は確かユウちゃんの護衛を辞めて、どっか行った……はっはっは、盗賊になった挙句、女の子相手にSMプレイをされてるとは、こりゃまた傑作、ぷぷぷぷ」


「て、てめーー」


「ちょっとぉ、何立とうとしてるのよっ」


「ひぃぃ、痛い、痛い、た、助けてくれぇぇぇ」


「盗賊は殺しても構わないんじゃなかったの?」


「そ、それは、言葉の綾だ、なぁ頼むよ、一生のお願いだよぉぉ」


「はぁ、みんなちょっと来て」


「どうかなさいましたか?」



ユウの護衛から逃げ出した3人が、1人の女の子にやられている様を見て、

思わず噴出してしまったシュン。

そんなシュンに元戦士は、凄んだと思えば今度は哀願して、

女の子から助けてくれと声を絞り出す。

残りの2人はすでに虫の息といった感じで床に転がされていた。

その様子にシュンは、ユウ達を呼んで、どうするか相談しようとした。



「ル、ルーミアお姉さま」


「モニカ姫、何故この様な場所に」


「お姉ちゃんの知り合い?」


「はい、あの御方は隣国の姫、モニカ様です」


「へ~、って危ない」



モニカと呼ばれる女の子が、ルーミアとの会話で生じた隙に、

元戦士が立ち上がって殴ろうとした。

それをシュンが、一足飛びに割って入り、女の子の代わりに殴られた。

だがヒュドラの噛み付きでも傷1つ付かなかったシュンには、

そんな殴打ではダメージにならなかった。

その逆に、殴った元戦士の方が痛がって、転げ回っていた。



「手首が反対向いてる……」


「折れたのですね、あれは……」


「シュンさんって、どんだけ防御力あるんだろう……」


「ヒュドラに噛まれても平気だと聞きましたが、本当だったんですね……」


「ねっ、言いましたでしょう?」


「………お、お兄様、ありがとうございます、モニカ、怖かったよぉぉ」


「ん?おぉっと、うんうん、よしよし、って……さっきまで鞭で叩いてなかった?」


「えっ?モニカ、ソンナコトシテナイヨォ、オニイサマノミマチガイダヨォォ」


「そ、そう?なんかカタコトに聞こえるけど、まあいいか」


「はぁ、シュン君、モニカ様には気を付けて下さいね…、それはそうと、そこに転がってる奴らは縛って持って帰りましょう」


「そうですね、では」



殴った方が骨折している状況に、改めて呆れるしかないユウ以外の女性陣。

飛んで現れたシュンに、モニカは目をキラキラさせながら抱き付き、

先程のどSっぷりはどこへやら、いたいけな少女の様に泣き付き、

お礼を言った。

だがしかし、鞭でしばいていたのを目撃していたシュンには、

それは効かなかったが、可愛らしい少女に抱き付かれ、悪い気はしなかった。

その様子に溜め息を吐きながら、ルーミアは気を付けろと注意し、

周りに転がっている3人を、フローリアは手早く縄で縛り上げ、

いよいよ残るはボス1人となった。



「ふぅ、縛るよりは縛られる方が好きなんだがな…」


「えっ?今なんて?」


「ふふ、貴方なら私を縛ってくれていいって事、いや、縛って下さい御主人様」


「ぶっ、ちょっ」


「ふふふ、冗談ではないよ?まあこの話は帰ってからゆっくりと、ね?」


「う、うん、帰ってからで宜しく」


「ふふふ」


「あ~あ、シュン様、フローリアさんに目を付けられちゃいましたね~」


「う、うん、なんだか大変な事になって来ちゃったな……」


「うふふ、それだけシュン様がかっこいいって事ですよ~、でも私も毎日、お願いしますね?」


「うん、それは、俺も、したいし」


「えへへへ、シュン様、だ~い好き」


「モ、モニカ様、それは本当なのですか?」



3人を縛り上げたフローリアは、シュンの傍に近寄り、とんでもない発言をした。

それを聞いたシュンは、慌ててしまうが、ユウは案の定かと言った風情で話し掛け、

さり気なく自分のアピールも忘れなかった。

ユウの言葉はシュンも願ったりな事だったので、大きく頷き、

それを見たユウも嬉しそうに抱き付いた。

そんな甘い雰囲気を、ルーミアの大声で、打ち消されてしまった。



「お姉ちゃん、どうかしたの?」


「あ、いえ、大きな声を上げてしまってすいません」


「いや、それはまあいいけど、なんかあった?」


「はい、モニカ様が何故この様な場所に居るのか聞いたのですが……」



モニカから聞かされた話をルーミアが、シュンに話す。

その内容とは、モニカがここへ連れて来られたのは、

城から抜け出して遊びに行こうとした所を拉致された事で、

その拉致した相手が、ルーミアを驚かせたのだった。



「魔人?」


「はい、どうやら魔人がモニカ様をここへ拉致した様です」


「ふ~む」


「あぁ、申し訳在りません、もう少しちゃんと説明致しますね」


「うん、ごめん」


「魔人とは魔王の様に能力は高くないのですが、厄介なスキルを持っているんです」


「魔王を引き合いに出すって言う事は、元々人間だったって事?」


「はい、魔王は性質上モンスターの様に能力はかなり高いです。魔人は人の時と能力は変わりませんが……、暗殺や変装、場合によっては肉体を乗っ取ったりも出来るんです」


「そいつは…本当に厄介だね~」


「ええ、ですから昔から魔人を見掛けたら、魔王と英雄が共闘して倒したと言う事もよくあったそうです」


「魔王と英雄が、ね~、まあ、確かにそんなのが居たら、うかうか寝てられないか」


「そうです、もしかしたらこの下に居るのは、魔人かも知れません」


「うん、魔人もステータスを確認出来るよね?」


「多分シュン君ならば可能だと思いますが」


「うん、まあ、でも何があるか分からないから、下に行ったら俺の傍を離れない様にしてね」


「はい、畏まりました」



魔人と言う脅威が居る事を、ボスの部屋に入る前に聞けて、

良かったとシュンは思った。

ここまで事が上手く言っており、やや間抜け感があり、

調子に乗っていた所だったので、気を引き締めるには、

丁度良かった。

その事は皆も同じで、浮かれ気分から一転、

先程にはない危機感を抱いて、ボスの居る大部屋の前に立つ。

縛り上げた3人は、邪魔になると置いて来ており、

モニカは一緒に付いて来ている。

取り敢えずは今までの様に、部屋の内部をシュンが確認し、

人数を確かめた。



【中には盗賊と、もう1人、……暗殺者?】


【暗殺者は魔人がよくなる職業です、魔人と見て間違いないかと…】


【うん、盗賊はレベルが639、暗殺者、魔人は230か、レベルは低いんだね~】


【魔人はそもそもスキルが特殊で、戦闘よりも陰で欲を満たしている奴らですので】


【なるほどね、じゃあ俺が魔人を相手するから、その間みんなは盗賊の方を宜しく、今のみんななら大丈夫だと思うけど、くれぐれも気を付けてね】


【はい】



盗賊の他に、暗殺者の職を持つ魔人が中に居るのを知ったシュンは、

安全を考えて皆で突入する事にした。

パーティーメンバーは、皆レベルが300以上あるので、

1対1にならなければ早々やられないと踏んだからだ。

それに、モニカも戦闘経験は少ないながらも、

高レベルである為、回復や補助魔法が役立つであろうと思い、

一緒に連れて来ていたのだ。

ちなみにモニカのステータスは、以下の通りである。




名前 モニカ ギムダイン 性別 女 年齢 12 レベル 432



職業 方術士 称号 ギムダイン国王姫



HP 3720


MP 6502



力 128+5


魔力 799+5


体力 305+5


素早さ 570+5



賢さ 8000


運 300


魅力 9200



攻撃力 168


防御力 320


回避力 575



常備スキル


方術士の心 戦闘時パーティーメンバーの補助魔法効果上昇(極小)


水流使い 水属性魔法効果上昇(大) 火属性魔法によるダメージ上昇(極大)


鞭使い 鞭を装備中戦闘時攻撃力上昇(大) 槍によるダメージ増加(極大)



特殊スキル


方術臨海 MPを全て使いいかなる攻撃も無効化になる(使用後死亡)


高貴な威圧 戦闘中敵モンスターを怯ませる確率上昇(小)


シュン クルスへの恋心 シュン クルスの傍に居る事で能力上昇(微小)






息を整えた所で扉を開けて大部屋に入ったシュンの目に、

椅子に座った黒衣を纏った痩せ男と、優に2mは超す身長を持つ、

大柄な男が映った。

座っている方が魔人であろうとシュンは思い、クッと目に力を入れて、

魔人を見据えたのだった。



次回も戦闘シーンになります。

下手ですが……。


モニカの年齢修正しました。

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