第3話 義姉と義母誕生とユウとのムフフな初体験
ユウとの初夜です。
エロい描写ないです…。
身分証明をしに行くと思っていたシュンは、疑問を口にする。
「なっ、家を買うんじゃ?」
「はい、しかし、まず先に……お礼とお詫びを言わせて頂きたく存じます」
「うん?」
「騎士団団長である、私のプライドを傷つけない様に処置をされた御心、大変感謝しています」
「あ、ああ、嘘の話で謝ってる所を有耶無耶にした事か、それはまあ、俺が覇王だって言いたくない我儘からだし」
「いえ、例えそうだとしても、やはり、感謝の念をお伝えしたくて」
「いいっていいって」
「それから覇王様、覇王様の事を、事もあろうに君付けで呼んでしまった事、大変申し訳在りませんでした」
「だ~、それも流れだからさ、気にしないでいいよ、それに、ルーミアさんにそう呼ばれて嬉しかったし…」
「嬉しい、ですか?」
この街では身分がかなり高い自分のプライドを、
嘘の話で救ってくれた事に、ルーミアはまたもや平伏して礼を述べる。
そして、話の流れからとは言え、シュンを君付けで呼んだ事に、
頭を地面を擦り付けて謝り出す。
そんなルーミアにシュンは、慌てて頭を上げさせ、自分の事を語り始めた。
「うん、俺ってさ、産まれてから一人ぼっちで、君付けでなんか呼ばれた事も一回もなかったんだ」
「そ、そうなの、ですか……」
「うん、それに、ルーミアさんみたいな綺麗な人が、本当のお姉ちゃんだったらなとか、ははは、ごめん」
「私が覇王様の姉だったら嬉しい、のですか?」
「う、うん、あ、今のは忘れて、ははは、気持ち悪い事言ってごめんね」
会ってすぐの年下の男に、身の上の話を聞かされた挙句、
姉だったらいいなと言われたルーミアに、気持ち悪いことを言ってごめんと謝る。
普通ならシュンの危惧は当たり前だと思うが、それを聞いたルーミアは、
微妙な面付きで謝罪を否定した。
「い、いえ、気持ち悪いなどと思っていません、わ、私も弟が欲しかったのですが、残念ながらその願いは敵わなかったので、その気持ちは解る気がします」
「そうなんだ…じゃあさ、ルーミアさん、俺を弟分だと思ってくれない?」
「えっ?覇王様をですか?そ、そんな滅相もない、そんな事はとても出来ないです」
「ん~、やっぱり俺なんかじゃだめだよね~」
「い、いえ、覇王様がだめなのではなく、私にはとても喜ばしい提案ではあるのですが、身分が違い過ぎますし」
「ん~む、じゃあさ、俺の方が身分が上って言うんだったら、命令しちゃおうかな~?」
「命令ですか?は、はい、御命令を頂くのでしたら是非、……あっ、も、申し訳在りません、思わず興奮してしまいました」
「ははは、じゃあ、命令ね、今からルーミアさんは俺のお姉ちゃん、おっけ~?」
「は、はい、謹んで御受け致します、シュン、君」
「うんうん、以外にすぐ順応してくれるんだね~、嬉しいよお姉ちゃん」
シュンの独白を聞いたルーミアも、実は弟が欲しかったと告白し、
しかもそれをシュンに求める気持ちも露にしていた。
しかし真面目なルーミアは、身分の違いを指して、それは出来ないと首を振る。
そこでシュンは、それを逆手に取り、命令という形でそれを求め、
命令されたルーミアは、とても嬉しそうにしている。
そんなルーミアにシュンも嬉しさの余り、思わず抱き付いてしまった。
「あっ、シュ、シュン、君?」
「ご、ごめん、つい嬉しくて」
「うふふふ、構いませんよ、しかしシュン君は、私の事を女としても見ているんですか?」
「え、な、何でそんな事…」
「ふふふ、武芸事しかして来ていない私でも、そのくらいは感じられるんですよ?」
「たはは、ごめん」
「あ、謝らないで下さい、その、私も、嬉しいですし、姉と弟の禁じられた恋って、憧れますよね…」
「へ~、意外だね~、お堅い人かと思ってたけど、そんな性癖の持ち主だったんだ?」
「なっ…そ、そういう訳では、うっ、シュン君、お返しのつもりですか?」
「ははは、良く分かったね~、高慢な言葉使いをされたお返しだよ?けけけけ」
「もぅ、根に持つ男性は嫌われますよ?まあ、私はもう、惹かれてますからそうではないですが」
「それは良かった……って、やばい俺にはユウちゃんが居るんだった、お、怒られる~」
抱き付いた事で、姉以上に女として見てしまっていた事を露見されたシュンだったが、
ルーミアにとっても、それは好ましい事だと言われ、ホッと胸を撫で下ろすシュン。
しかし次の瞬間、自分にはユウと言う、可愛い恋人が居るのを思い出し、
戦慄に襲われた。
だが、次のルーミアが放つ言葉に、耳を疑った。
「シュン、君?気にする事はないのではないのですか?」
「え?そ、それって、二股しろって事?そこまで俺の神経は図太くないよ?」
「二股?ああ、シュン君の産まれた場所では一夫一妻制が主流だったのですか?」
「うん、って、ここは違うの?」
「はい、王国はほぼ全て一夫多妻制ですよ?まあ、身分や養う能力がない人は出来ませんが…シュン君は覇王様ですし、問題ないかと?」
「ん~問題はなくても、ユウちゃんの気持ちって物もあるし」
「ふふふ、お優しいのですね、ですが、ユウ様もこの国の産まれですし、そう、問題にはならないと思いますよ?」
「そ、そうかな~?」
「はい、不安があるのでしたら、私からユウ様にお伝えして置きます」
「い、いや、そんな事させる訳には」
「うふふ、大丈夫です、私もシュン君に惚れてしまいましたって伝えるだけですから、そこでユウ様のお気持ちを聞いて、どうするか考えますから、シュン君は何も気にしなくて宜しいですよ?」
「ん、ん~」
「うふふふ、シュン君、取り敢えずは土地の購入と、建築の依頼に行きましょう、ユウ様を待たすのも気が咎めるのでは?」
「そ、そうだね、すぐ行くって言ったし、じゃあ、ルーミアお姉ちゃん、任せちゃっていい?」
「はい、可愛い弟の頼みですから、全てが上手く行く様に計らいますね」
ルーミアに一任と言う、只単に逃げの姿勢を見せたシュンだったが、
ルーミアの顔には、頼られた事による嬉しさからか、
満面の笑みが浮かんでいた。
その後2人は、土地の所有権の買取、家はどの様に建てるかを決めて、
ユウの家に向かって行った。
時間は少し掛かってしまったが、騎士団団長と言う権限により、
普通よりも格段に早く話が纏まったのは言うまでもないだろう。
その事にシュンは豪く感謝をしたが、当のルーミアは、
可愛い弟及び惚れてしまった人に、自分の力で役に立てた事で、
シュン以上に喜びを表していたのだった。
そしてユウの家に着き、ユウの出迎えの下、家の中に招かれて行った。
「シュン様、ようこそお出で下さいました、私はユウの母、サリィと申します、どうぞお掛けになって下さい」
「あっ、これはどうもご親切に、じゃあ、お言葉に甘えて」
「うふふ、さあ、ルーミア様もどうぞこちらに」
「はい、失礼致します」
「うふふふ、シュン様、今日は泊まってて下さいね」
「えっ、いやいや、それは悪いよ、どっか宿にでも泊まるよ?」
「遠慮なんかいいですよ~?もうお母さんにも言っちゃいましたし」
「ふふふ、そうですよ、ご遠慮は入りません、覇王様にお泊り頂くのは大変名誉な事ですから、あっ、口外は致しませんのでご安心下さいね」
「う、うん、じゃあ、甘えちゃおうかな~」
「はい、一杯甘えて下さいね~、えへへへ」
家に通されユウの隣に座らされたシュンに、いきなり泊まってくれと言い出すユウ。
それは流石に悪いと断るシュンだったが、ユウの母、サリィも勧めて来たので、
断り辛くなり、承諾してしまった。
そんなシュンを、ユウは勿論、ルーミアも暖かい眼差しで見入り、微笑んでいた。
2人の眼差しを受けて、少し照れていたシュンだったが、
ふとサリィの方に目線を遣り、
勇者の母と言うのは、どんなステータスなのか気になってしまい、
観察と念じてしまった。
名前 サリィ ルーベンス 性別 女 年齢 36 レベル 2560
職業 主婦(元勇者) 称号 ユウの母
HP 10000
MP 10000
力 500+5
魔力 500+5
体力 500+5
素早さ 500+5
賢さ 8600
運 3200
魅力 9000
攻撃力 505
防御力 510
回避力 505
常備スキル
勇者の心 戦闘時パーティーメンバー自動回復(中)
勇敢 戦闘時攻撃力、防御力上昇(中)
光輝使い 光属性魔法効果上昇(大) 闇属性魔法によるダメージ増加(中)
剣使い 戦闘時剣を装備中攻撃力上昇(大) 斧によるダメージ増加(中)
神の恩恵 神の恩恵 死亡しても復活出来る(パーティーメンバーにも適応)
特殊スキル
鬼神化 戦闘中攻撃力上昇(大) 回復、補助魔法無効
母の愛 ユウ ルーベンスが傍に居る時癒し効果(大)
覇王への尊敬 覇王のパーティーメンバー中戦闘時クリティカル率上昇(小)
シュン クルスへの恋心 シュン クルスの傍に居る事で能力上昇(微小)
⇒
「………ぶっ、元勇者?し、しかも」
「あらあら、大丈夫ですか?うふふ、流石覇王様、何でもお見通しですね」
「あ、いや、勝手に覗いてすいません」
「ふふふ、構いませんよ?私も昔は勇者をしていましたが、引退しました」
「そうなんだ~、レベルが以上に高いけど、能力は余りなんですね?」
「はい、引退して主婦になりましたから、主婦の能力以上は出せなくなったんですよ、ふふふ」
「なるほど~、職業によって限界があるんだ~」
「はい、ですからお母さんにはレベル上げを頼めないんです」
「そうかそうか、まあでも、それは俺とルーミアお姉ちゃんがするから心配しなくていいよ」
「はい、お願いします」
「うんうん、元気があって宜しい、な~んて、ちょっと偉そうだったかな?」
「ふふふ、シュン君はこの世で1番偉いのですから偉そうと言う表現は間違いですよ?」
サリィのステータスを見て、シュンは出されて飲んでいたお茶を噴出してしまった。
元勇者である事もそうだが、それ以上に驚いたのが、シュンに対して、
サリィが何故か恋心を持っていた事だった。
その事を問おうとしたシュンに、サリィが即座にシュンの口元を拭きながら、
目で言わないで欲しいと訴えかけ、
ステータスの低さに、話を持って行かせた。
そして話がレベル上げの話になった所で、ユウにある引っ掛かりが生じた。
「うんうん、そうですよ~シュン様、それから気になったんですが、ルーミア様はずっとシュン様の事…」
「うん、俺が頼んだんだ、騎士団団長が俺に様付けで呼んでたら、ね~?」
「なるほどです、普段からそう呼んでればシュン様の事はばれ難いですもんね」
「そうそう、ユウちゃんは賢いね~、いいこいいこ」
「はぅん、シュン様~、いいこいいこは私がする方ですよ~」
「はははは、じゃあ後で一杯して貰おうかな~」
「ふふふ、仲が良くて羨ましいですね、お食事を今お持ちいたしますので、お食事の後、お風呂を浴びて下さいね」
話の中で即座に理解するユウに、シュンは頭を撫でて褒め称えた。
そんな行為にユウは、顔をフニャっと緩めながら喜ぶ物の、
それは自分がする方だと可愛い抗議をした。
ユウの抗議を受けて、シュンも笑顔で応え、サリィは羨ましそうにそれを見て、
微笑みシュンに食事後の風呂を勧めた。
そして美人3人に囲まれての食事を取り、1番風呂を勧められたシュンは、
そのまま風呂に入り、残された3人の美女は、食事後の一服を楽しんでいた。
「うふふ、シュン様に食事を喜んで頂いて嬉しいわ~」
「シュン様、すっごく可愛かったです」
「うむ、シュン君は人に囲まれての食事が初めだと言っておられたが…」
「はい、それは凄く悲しい事です、可哀相でした……」
「そうだな…だがこれからは私達がそれを埋めて行けばいいと思いますが」
「うんうん、そうですね~、って、ルーミア様も毎日一緒に居るおつもりですか~?」
「そ、その事なんですが、わ、私も、その、シュン君の事が好きになってしまいまして……」
「やっぱり~、そうじゃないかって思ってましたよ~、でもなんですぐ言ってくれなかったんですか?」
「それは、シュン君がユウ様を悲しませたくないと」
「私が悲しむ?むぅぅ、何を持って私が悲しむんでしょうか?」
「どうやらシュン様は一夫一妻制が当たり前だとお考えだったらしく」
「???あぁ、お嫁さんは1人だけって事ですか?」
「はい、ですからまず、こうして私がユウ様にお話を通してからがいいと」
「えへへ、そんなにシュン様は私の事思ってくれてたんですね~、えへへへへ」
シュンが風呂に入っている間が丁度いいと、それとなく切り出したルーミアに、
いまいち要点が行かないユウだったが、
シュンがユウを思う気持ちを理解し、だらしない笑顔をしてしまう。
どうやらユウも、初めから独占し様と云う気はなく、ルーミアも恋人として、
一緒にシュンを支え合おうと、伝えてその話は終わろうとしていたが、
横からサリィが口を挟んで来た。
「いいわね~ユウちゃんとルーミア様は、私もシュン様の恋人になりた~い」
「ちょっ、お母さん、何を言ってるんですか?」
「……………」
「私だって女よ?シュン様みたいなかっこいい人に惚れるのは仕方ない事じゃない?」
「それは一理ありますが…シュン君のお気持ちはどうでしょうか?」
「うふふ、もう気付いていらっしゃるわよ?スキルまで確認された様ですし、それにちらちらと意識している目線も感じ取れましたしね」
「むぅぅ、シュン様がいいって言うならいいですけど~」
「まあ、シュン君のお気持ち次第と言った所でしょうか」
「ええ、そうですね、後でちゃんと聞いてみますから、先に言わないで下さいね?」
「は~い、あ、でも、今日はその、私がシュン様と一緒に寝るのは譲らないですからね?」
「うふふふ、ええ、いいわよ、それはシュン様も望んでいる事でしょうし」
「ふふふ、羨ましい限りですよユウ様、おっ、丁度シュン様もお上がりになった様ですし、ご挨拶をしたら私は帰りますね」
「ええっ、ルーミア様も泊まっていけば」
「ふふふ、いいのですか?私が泊まれば夜押しかけてしまうかも知れませんよ?」
「ふぇ、そ、それは、だ、だめです~、今日だけは2人っきりが、いいです…」
「ですよね?ですから私は帰らさせて頂きます、たっぷりと楽しい一時をお楽しみ下さいね」
「ふにゅぅぅぅ、あ、ありがとうです」
女性だけの語らいの場に、何も知らないシュンは、
風呂の心地良さそのままに戻って来た。
そこで見たのは、何故だか顔を真っ赤に染めたユウと、
微笑ましい笑顔をしたルーミアとサリィだった。
訳の分からないシュンだったが、風呂から上がった事を伝える為、声を掛けた。
「いい湯でした、お先にすいません」
「うふふ、ささ、シュン様、湯浴みの後の一服、どうぞ」
「ああ、はい、どうもです」
「あのシュン様、私は明日に備えて帰らさせて頂きます」
「う、うん、色々ありがとね、お姉ちゃん」
「はい、そ、それから、ユウ様には確認を取って置きましたので」
「あ、ああ、それで~」
「答えはこれです……んちゅっ」
「ん……、お、お姉ちゃん」
「うふふ、シュン君、私も姉以上の関係にさせて頂きましたよ?では、ユウ様、サリィ様、失礼致します」
椅子に座ったシュンを見届けてから、ルーミアが立ち上がり、シュンの傍に近寄った。
そして、帰宅を伝えた後、自分も恋人になった事をキスという形で伝え、
自宅へ帰って行った。
いきなりのキスに、動揺しまくりのシュンだったが、
ユウの笑顔を見て、ホッと一安心する。
「えへへ、シュン様、ルーミア様から聞きましたよ~、私の事を凄く想ってくれてありがとうです」
「い、いや、でも本当にいいの?」
「はい、私だけじゃシュン様を支えられないと思ってましたから、ルーミア様も一緒になってくれて嬉しいです」
「そ、そうか、ユウちゃんがそう言ってくれるなら、うん、よかったよかった」
「ふふふ、あっ、シュン様、私もお風呂に入って来ちゃいますね~、すぐ上がりますから少し待ってて下さいです」
「あ、ああ、ゆっくり暖まって、風邪ひいちゃ大変だから」
「は、はい、えへへ、シュン様に心配されちゃった、じゃあ、シュン様の言う事聞いて、ちゃんと入って来ますね~」
「うん、いってらっしゃい」
「はいです、いってきま~す」
ちょっとした一言にも嬉しそうに微笑むユウに、シュンの心も、
温かい気持ちにさせられる。
それを横目に、サリィが冷たい飲み物を差し出し、シュンの隣へ座った。
「シュン様、私の気持ちも、ご理解なさってますよね?」
「ん、うん」
「あの、シュン様から見て、私はもうおばさんですし、ユウちゃんを産んだ母親ですが、その、私も……」
「そ、それは、流石にユウちゃんもだめって言うんじゃ?」
「ユウはシュン様がいいと仰るならと言ってくれてます」
「あ、もう確認したんだ?」
「はい、ですが、年増で、はしたない私なんかは嫌だと仰るのなら、義理の母として接しますが」
「ん、ん~、こんなに綺麗な人にそんなこと言われて嫌とは言えないよ~」
「そ、そうですか、では」
「う、うん、でも、ユウちゃんの本心を確かめてからでいい?」
「ふふふ、本当にシュン様はユウちゃんの事を大切に想って下さってるのですね…勿論その後でで構いませんよ」
「ありがとうございます」
「いえいえ、こちらこそ、うふふ、では、ユウちゃんのお部屋にご案内しますね」
「えっ、な、なんで?」
「うふふ、そこがシュン様のお休みになる場所だからですよ?」
「ぶっ、そ、それは流石に」
「ユウちゃんもその気ですし、どうか期待に沿って頂けないでしょうか?」
「うっ、ユウちゃんがそう言ったんだ…じゃ、じゃあ、そうしようかな~」
「ふふふふ、是非そうして下さい」
サリィの気持ちを伝えられ、動揺の隠せないシュンだったが、
その話は自分がユウの本心を聞いてからと、その場での答えを保留した。
それで動揺も収まったシュンであったが、その後すぐに、
ユウと同じ部屋で寝てくれと言われ、
またもや動揺が色濃く表れてしまった。
だがそれは、ユウの望みでもあると聞かされ、流される様にシュンは、
ユウの部屋に案内され、ユウが戻ってくるのを待たされたのであった。
「お、女の子の部屋に入るのなんて初めてだ…、なんだろう、凄くいい匂いがするな~」
絨毯が敷き詰められ、女の子然とした部屋に1人残されたシュンは、初めての経験に、
そわそわしながら周りを眺めていた。
そして、部屋に漂う甘い香りに、思わず変態的な発言をしながら、
ユウの部屋の香りを嗅いでいた。
そんな事を数分行った後、可愛いタンスが目に付き、
引き寄せられる様にそのタンスの前に立ち、
悪いとは思いながらも、タンスの引き出しを開いてしまった。
「こ、これは……いきなりお宝発見ですか、これがユウちゃんの下着か…女物って豪く小さいんだな~」
屈んで開けた引き出し中段には、まさにお宝であるユウの下着、
所謂パンティーと呼ばれる物があり、興奮状態のシュンはそれを手に取り、
マジマジと観察してしまった。
そんな状態の中、ユウが部屋に飛び込んで来て、その光景を目撃してしまった。
「………ユ、ユウちゃん」
「………はぅぅぅぅ、シュ、シュン様、な、何をしているんですか?」
「あ、こ、これは、その、ごめん、本当にごめん」
「シュン様、だめですよ~、そんなに広げたら履けなくなっちゃいますよ~」
「えっ?ええっ?そっち~?」
「??そっちってどっち?」
「いや、だから、勝手にタンスを開けて、しかも下着を、ね、こんな風に見てた事」
「あぁ、シュン様だったら別に構いませんよ?でもですね~、そんな風に引っ張ったらだめだめなんですよ~」
「う、うん、ごめんね」
乙女のタンスを物色し、あまつさえ下着を眺めていた事を発見されて、
慌てて謝り捲るシュン。
だが次の瞬間ユウの口から発せられた言葉は、罵る言葉ではなく、
下着の扱い方で、思わずシュンは、驚きの声を上げてしまった。
そして、何に驚いたのか聞いたユウは、シュンの行為は気にしていない事を告げ、
もう一度、下着の扱い方に対して抗議する。
「ふふふ、いいですよ~、それに、シュン様が私の下着に興味を持っててくれる事が分かって、嬉しいです」
「ははは、そ、そうなんだ」
「はい、えへへへ、良かった、私、お母さんみたいに色気がないって思ってましたから」
「そ、そんな事ないよ、ユウちゃんは可愛いし、美人で、その、凄い魅力的だから」
「へへへへ、そ、そうですか~?私はシュン様から見て魅力的なんですね?」
「うん、凄くね、だからその、一緒に寝たら、襲っちゃうかも知れないよ?」
「あぅっ、お、襲われちゃうんですか~、えへへへ、いいですよ?シュン様になら一杯襲われたい、です」
「はぐっ、す、凄く幸せな事言われた、運がたった12しかない俺如きが…」
「ふに?何ブツブツ言ってるんですか~?」
「い、いや、何でもないよ?凄く幸せだな~と思ってね」
「はい、それは私もですよ~、あの、シュン様、も、もう、ベッドに、入りましょうか?」
「う、うん、そ、そ、そうだね、明日の事もあるし、は、早く寝ないとね」
「は、はい、そ、そうですよ、は、は、早く寝ないとです」
ユウから先にベッドを勧めて来て、思わずあたふたしてしまうシュンに、
ユウもつられてあたふたしてしまう。
お互いに顔を赤くしながらも、ベッドに潜り込んだ2人は、キスをしながら、
着ている物を脱がし合い、両者共に、初となる行為を迎えていくのだった……
初めての行為に、お互いが初々しくも興奮した時間が終わり、一息つくシュンとユウ。
そんな2人は、汗を額に浮かべたまま、会話をしていた。
「シュン様のでお腹の中一杯です~」
「は、ははは、ご、ごめん、初めてで加減が利かなくて」
「えへへ、いいんですよ~、凄く嬉しいです、一杯愛されてる証拠ですもんね?」
「うん、俺はユウちゃんの事、凄く愛してるよ」
「へへっ、ユウも、シュン様の事、一杯愛してますよ~、大好きです~」
「ちょっ、ユウちゃん、そんなに抱き付かれたら俺、また……」
「はい、いいですよ?シュン様が望むのであれば何でもして下さいね~」
「何でも?……じゃ、じゃあ、口でもしてくれるの?」
「お口でですか?ふふふ、シュン様はエッチーです~、でも、いいですよ」
こうして早く寝るはずだった2人は、欲望に塗れて、遅い就寝と相成った。
そして翌朝、一足早く起きたユウは、朝風呂に入り、1人寝ているシュンの下に、
サリィが起こしに遣って来た。
「シュン様、お目覚め下さい、シュン様、シュンちゃ~~ん」
「ふ、ふぁい?あ、お、おはようございます」
「うふふ、おはようございます、ゆうべはおたのしみでしたね」
「ぶっ、その言葉って、お約束ですか?」
「ふふふ、そうですよ、お約束です」
挨拶と共に、お約束の一言が飛び出して、寝起き早々シュンは噴出した。
それをサリィは可笑しそうに笑いながら、きっちりお約束ですと返した。
シュンはその返しに頭を掻きながら、気になった事を聞いてみた。
「はぁ~、そう言えば、声とか大丈夫でした?」
「ええ、大丈夫でしたよ?ばっちり聞こえてましたから」
「ちょっ、全然大丈夫じゃないって」
ユウとの愛の営み時に出ていた声が、聞こえてなかったか探りを入れたシュンに、
サリィはばっちり聞こえたと親指を上げて答えた。
その返答にシュンは、恥ずかしながら焦るが、
サリィはシュンが耳を疑う様な言葉を発した。
「いえいえ、ちゃんとおかずに、ウゥン、コホン、気になりませんでしたから」
「気にならなかったの前に、おかしな事言ったのは気のせいですよね?」
「はい、キノセイデスネー」
「は、はあ、結構サリィさんって、お茶目な人だったんですね」
「うふふ、ユウちゃんの母ですから、あの子だってお茶目でしょう?」
「ああ、確かにそうか、ああそうだ、サリィさん、ユウちゃんが、私以上にイチャイチャしなければ全然構いませんって言ってましたよ」
「そうですか、うふふふ、じゃあ私もシュン様の恋人ですね~、えへへへ」
「あぁ、その笑い方、やっぱり親子か……」
茶目っ気はユウと変わらないサリィだったが、それを隠さずに見せる事で、
シュンに自分を知って欲しいと思ったサリィ。
その想いは、人付き合いが皆無だったシュンでも分かった。
いや、人付き合いがなかったシュンだったからこそ、
敏感に感じ取れたのかも知れない。
そんな遣り取りの最中、朝風呂から上がって来たユウは、
楽しそうに笑うサリィを見て微笑む。
「うふふ、お母さん、楽しそうですね~、ご飯はもう出来てるんですか~?」
「あっ、ユウちゃん、ええ、もう出来てますよ、シュン様もご一緒に」
「う、うん、あっ、裸のままだ、何か着る物を」
「はいはい、ちゃんと持って来てありますよ~、さあどうぞ」
「どうぞって……まさかサリィさんが履かせてくれるの?」
「はい、そうですよ~、さあさあ、早く」
「……じゃあ」
裸のままで会話をして置いて、今更気が付くシュンに、サリィは微笑みながら、
洗ってくれた衣服を差し出した。
しかしサリィは、下着だけは両手で広げたまま待っており、
シュンに履かせてくれようとしていた。
ニコニコ顔のサリィにシュンは、思わず甘えてしまった。
「よく履けましたね~、シュンちゃんは偉いですね~」
「ちょっとお母さん、シュン様をちゃん付けで呼ぶのはだめですよ~」
「あっ、す、すいません、調子に乗ってしまいました……」
「ははは、いいですよ、それに、俺ってお母さんも居なかったから、子供みたいに接してくれるの、嬉しいし…」
「そ、そうでしたか…、それは、では、私でよければ、はい、お母さんの代わり、しますよ?」
「本当ですか?あ~でも、ユウちゃんはあんまりいい顔しないか…」
「へっ?い、いえ、シュン様がそうされて嫌じゃないんでしたら、私のお母さんを使って下さいです」
「使うって、ははは、ユウちゃんって意外と酷い子なのかな?」
「ええ、昔からそうですよ?ふふふ、でも、可愛いから許しちゃうんですけどね」
「うん、その気持ち解るな~、ユウちゃんは可愛いから」
「はぅぅぅ、そんな可愛い可愛い言わないで下さいです~、あぅあぅ」
「ははははは」
「うふふふふ」
寂しい話を聞かされたサリィは、自分が母親代わりになると言い出し、
ユウもシュンの生い立ちに同情し、
実の母を指して、使ってくれと言う、あんまりな言葉で承諾した。
そんな言い回しに、苦笑いを浮かべるシュンに、サリィは昔からこうだと言いながら、
可愛いから許せると微笑み、合わせて可愛いと言うシュンの言葉に、
ユウは恥ずかしがってしまい、部屋を飛び出して行ってしまった。
「さて、シュンちゃん、私達も行きましょう」
「うん」
少し笑い合った後、ユウの後を追う様に部屋を出る2人。
そして、まだ少し赤い顔をしたユウと一緒に朝食を取り、レベル上げに同行する為、
迎えに来たルーミアと一緒に、ギルドへと足を運んだ。
誤字脱字がありましたらご報告下さい。