運の悪さと不幸と災いはワンセットーー冒険者ハルトの明日はどっちだ
薄暗い石造りの広場を、壁に埋め込まれた魔石灯が青白く照らしていた。
ここはプリムス・ダンジョンの一階。その奥にある、少し開けた場所である。
広場の中央に、黒髪の少年が一人で立っていた。年齢は十五、六歳ほど。使い込まれた革鎧の上から旅用の外套をまとい、腰には一本の剣を下げている。
若くしてA級冒険者となった少年剣士、ハルトだった。
今のところ、周囲に魔物の気配はない。
ハルトは広場の奥へ続く通路を見つめ、わずかに眉をひそめた。
「……遅いな」
様子を見に行くべきか。
そう考え、通路へ向かって一歩踏み出した、そのときだった。
どどどどどどどど――!
地面を激しく踏み鳴らす音が、通路の奥から響いてきた。
「……ん?」
音は瞬く間に大きくなっていく。しかも、一つや二つではない。
荒い息遣いに、獣の咆哮。金属か何かが石壁へぶつかる音まで混じっている。
ハルトの頬が、ぴくりと引きつった。
「いや、待て。この音はどう考えても――」
言い終わるより早く、通路の奥から一人の少女が飛び出してきた。
短く切りそろえた髪。日に焼けた健康的な肌。身軽なシャツに、太腿の見える短いズボン。
シーフ志望の新人冒険者、ミソラである。
ミソラは全力で駆けているにもかかわらず、なぜか満面の笑みを浮かべていた。そしてハルトの姿を見つけると、大きく手を振った。
「来た来た来たー!」
「何が来たんだよ!」
ミソラは速度を緩めない。そのままハルトの横を、風のように駆け抜けていく。
「あとは、よろ~!」
「なんでぇー!」
直後、通路の奥から魔物の群れが現れた。
ゴブリン、魔狼、オーク。さらには巨大な角を持つ猪型の魔物までいる。
十数体もの魔物が狭い通路を埋め尽くし、怒り狂った様子で迫っていた。
ハルトの叫びが、ダンジョンの石壁にむなしく反響する。
――話は、その日の朝に遡る。
◇
朝の冒険者ギルドには、すでに大勢の冒険者が集まっていた。
掲示板の前で依頼書を眺める者。酒場の卓を囲み、朝から酒を飲みながら情報交換をする者。装備を点検する者や、これから旅立つ仲間と言葉を交わす者。
そんな喧騒から少し離れた受付奥の一角で、ハルトは筋骨隆々とした中年男性と向かい合っていた。
このノバリア冒険者ギルドを預かる、ギルドマスターである。
「おい、ハルト」
「何ですか?」
「お前もA級冒険者になったんだ。そろそろ若いやつの指導もしてくれ」
「新人の指導ですか?」
「ああ。いつまでも剣を振って、賞金首ばかり追い回しているわけにもいかんだろう」
「追い回してませんよ」
ハルトが即座に否定すると、ギルドマスターは顎に手を当てた。
「そうだったな。向こうからお前のところへ来るんだった」
「俺だって、好きで不幸に巻き込まれているわけじゃありません」
「そのおかげで、若くしてかなり稼いでいるじゃないか」
「命を懸けた結果です」
「金は残る。命も今のところ残っている。結構なことだ」
「他人事だと思って……」
ハルトは小さくため息をついた。
本人の意思とは関係なく、なぜか賞金首や凶悪な魔物、犯罪者の集団と出くわしてしまう。そのたびに死に物狂いで戦い、結果として報酬だけは増えていく。
それがハルトの日常だった。
ギルドマスターは軽く笑いながら、一枚の依頼書を差し出した。
「近場のプリムス・ダンジョンでどうだ。初心者向けのダンジョンだし、一階なら大した魔物もいない」
ハルトは依頼書を受け取り、内容に目を通した。
「一日だけの指導ですか?」
「ああ。お試しというやつだ」
「まあ、それくらいなら」
「引き受けてくれるか」
「分かりました」
近場の初心者向けダンジョンを、一階だけ。
それなら、さすがに大きな問題は起きないだろう。
ハルトがそう考えたところで、ギルドマスターは受付の奥へ顔を向けた。
「ミソラ! こっちへ来い!」
「は~い!」
軽い足音とともに、一人の少女が姿を現した。
短く切りそろえた髪に、日に焼けた健康的な肌。動きやすそうな薄手の服と短いズボンを身につけ、腰には短剣といくつもの小袋を下げている。
見た目だけなら、身軽で愛嬌のある可愛らしい少女だった。
ミソラはハルトの前まで来ると、興味深そうに彼の顔をのぞき込んだ。
「紹介する。こいつはA級冒険者のハルトだ」
「へえ。この人が?」
「この人って……」
「若いが腕は立つ。今日一日、お前に冒険者としての基本を指導してもらう」
ミソラは明るい笑顔を浮かべ、ハルトへ右手を差し出した。
「よろしくお願いします、ハルト」
「こちらこそ、よろしく」
ハルトも手を差し出す。
二人の手が触れた、その瞬間。
ぞわり。
ハルトの腕に、鳥肌が立った。
「……」
「どうしたの?」
「いや……何でもない」
ハルトは静かに手を離した。
何だ、今のは。
理由は分からない。だが、背後に黒い靄が漂うような、得体の知れない嫌な感覚があった。
「本人の希望はシーフだ」
ギルドマスターが説明を続ける。
「斥候としてダンジョンの先を調べたり、罠を発見したりする役だな」
「あたし、足には自信があるよ」
「シーフは速く走るだけじゃないぞ」
「分かってるって。罠を見つけたり、宝箱を開けたりするんでしょ?」
「まあ、そうだな」
返事だけを聞けば、それなりに理解しているように思える。
しかし、先ほど感じた嫌な予感が消えない。
「本人はいろいろあって冒険者になりたいそうなんだが、両親に猛反対されていてな」
ミソラが頬を膨らませる。
「うちの親、心配性なんだよ」
「心配性になるだけの理由があるんじゃないのか?」
「ないない。全然ないよ」
ぞわり。
再び、ハルトの腕に鳥肌が立った。
まただ。
「今回はお試しということで、ハルトが面倒を見るなら許す、と言ってきた」
「俺のことを知っているんですか?」
「向こうの親は、それなりの人物でな。お前のことも、剣帝様のこともよく知っていたぞ」
「じいちゃんのことまで?」
ハルトの祖父は、剣帝と呼ばれるほど名の知れた剣士だった。
その名を知っているということは、ミソラの両親もただ者ではないらしい。
「それと、これが前金だ」
ギルドマスターが、革袋を卓上へ置いた。
どさり、と重い音がする。
袋の口がわずかに開き、中に詰まった金貨が見えた。
「……ずいぶん入っていますね」
「娘を無事に連れて帰ってくれれば、残りも同額支払うそうだ」
「お父さん、太っ腹だね」
「他人事みたいに言うなよ」
冒険者の指導。
行き先は初心者向けのダンジョン。
相手は、見た目だけなら可愛らしい少女。
しかも報酬は破格。
何一つ問題はないように思える。
だからこそ、怪しい。
ハルトの表情は晴れなかった。
自分の嫌な予感が外れたことは、ただの一度もない。それどころか、必ず想像より悪い方向へ的中する。
「……危ない場所を避ければ大丈夫か」
自分に言い聞かせるようにつぶやき、ハルトはミソラへ向き直った。
「今回、君のダンジョン攻略に付き添って、冒険者の基本を教えることになったハルトだ」
「うん」
「勝手な行動はしないこと。俺の指示には必ず従うこと」
「は~い」
「危険だと言ったものには、絶対に触らないこと」
「よろ~」
ぞぞぞっ。
ハルトの全身に、三度目の鳥肌が立った。
今の返事だけで、災いの気配がした気がする。
◇
プリムス・ダンジョンの入口から石造りの階段を下りながら、ミソラは珍しそうに辺りを見回していた。
「へえ。ダンジョンって、思ったより普通なんだね」
「何を想像していたんだ?」
「入った瞬間に魔物が百匹くらい飛びかかってくるのかと思ってた」
「そんな場所に新人を連れてくるわけないだろ」
「じゃあ安心だね」
「俺のそばを離れなければな」
「任せて」
その返事が、どうにも信用できない。
とはいえ、ダンジョンへ入ってしばらくの間、ミソラは意外なほど真面目だった。
通路の途中で床へしゃがみ込み、残された足跡を調べる。
「小型の魔物が三体。この先を右へ曲がったみたい」
ハルトも足跡を確認し、うなずいた。
「正解だ」
「やった!」
別の場所では、壁のわずかな隙間から流れる風に気づいた。
「ここ、風が流れてる」
「隠し通路だな。よく気づいた」
「ふっふーん。あたし、シーフだからね」
ミソラは得意げに胸を張った。
ハルトの表情も、わずかに和らぐ。
思ったより、ちゃんとしている。
やがて、前方に二体のゴブリンを発見した。
ミソラはすぐに物陰へ身を隠し、指を二本立てて敵の数を伝えてきた。
ハルトは小さくうなずくと、足音を立てずに接近する。
二体のゴブリンが異変に気づいたときには、すでに遅かった。
銀色の剣閃が二度走り、二体は声を上げる間もなく地面へ倒れた。
「すごい」
「次は、敵を見つけても勝手に近づかないこと。相手の数と種類を確認して、俺に知らせるんだ」
「了解!」
この調子なら、本当に何事もなく終われるかもしれない。
「この先を少し調べてきてくれ。ただし、曲がり角の先までだ」
「任せて!」
ミソラは足音を消し、奥の通路へ進んでいった。
その身のこなしは軽い。
少なくとも、シーフとしての素質はありそうだった。
ハルトは遠ざかる後ろ姿を見送り、息を吐いた。
「これなら、一日くらいは何事もなく――」
言いかけたところで、表情が固まった。
「いや。こういうことを言うと、必ず何か起きるんだよな」
直後。
どどどどどどど――!
遠くから、何かが走ってくる音が響いた。
「……もう来た」
ハルトは、深いため息をついた。
◇
「来た来た来たー!」
通路から飛び出してきたミソラが、満面の笑みで叫ぶ。
「何を連れてきた!」
「あとは、よろ~!」
「なんでぇー!」
魔物の群れが、広場に立つハルトへ殺到した。
ハルトは叫びながらも、迷いなく剣を抜く。
先頭を走ってきたゴブリンが棍棒を振り上げた。
ハルトは半歩だけ横へずれ、その一撃をかわす。すれ違いざまに剣を振るい、ゴブリンの身体を斬り裂いた。
左右から二体の魔狼が飛びかかる。
ハルトは一体の爪を剣で受け流し、もう一体を蹴り飛ばした。剣を返し、一体目の首を斬る。続けて着地した二体目へ踏み込み、その胴を薙ぎ払った。
ミソラは広場の隅まで逃げ、太い石柱の陰から顔だけを出している。
「おおー」
感心している場合ではない。
今度はオークが大剣を振り上げ、正面から迫ってきた。
ハルトは逃げずに踏み込んだ。大剣が振り下ろされるより早く、その懐へ潜り込む。
一閃。
オークの手から大剣が離れ、重い音を立てて地面へ落ちた。
最後に残った猪型の魔物が、頭を低くして突進してくる。
巨大な角が石床を削り、凄まじい勢いで距離を詰めてきた。
ハルトは剣を鞘へ戻すように腰を落とし、ぎりぎりまで引きつける。
一歩。
そして、抜刀。
澄んだ斬撃音が、広場に響く。
猪型の魔物は勢いのままハルトの横を通過し、その数歩先で崩れ落ちた。
静寂が戻る。
ハルトは周囲を見回し、残った魔物がいないことを確認した。油断なく残心を取り、静かに剣を鞘へ納める。
「すごい、すごーい!」
ミソラが柱の陰から飛び出した。
その場でぴょんぴょん跳ねながら、楽しそうに拍手をする。
「本当に一人で全部倒しちゃった!」
「いやいや。すごいじゃなくて、何してくれてんの?」
「てへ」
ミソラは舌を出し、片目をつぶった。
「てへ、じゃない!」
「だって、あたしってシーフじゃん?」
「それが何だよ」
「奥へ行ったら、モンスターがたくさん固まって、じーっとしてたんだよ」
ミソラはその場にしゃがみ、うずくまっていた魔物の様子を再現した。
「全然動かないから、モンスターじゃないと思って」
「いや、待て。動かない魔物だっているだろ」
「だから確認しようと思って、石を投げたの」
「なんで石を投げるんだよ!」
「そしたら一斉に立ち上がって、こっちへ向かってきた」
「当たり前だろ!」
「で、あたしってシーフじゃん?」
「二回目だぞ、それ」
「ここは逃げ足の速さを見せるところだと思って、逃げてきたの」
ミソラは得意げに腰へ両手を当てた。
「あいつら、遅い遅い」
親指で、背後に転がる魔物の死骸を指す。
「あたしに追いつくなんて、二十年早いよ」
ハルトは無言でミソラを見つめた。
「何?」
少女は、何一つ悪いと思っていない顔をしている。
ハルトの頭の中で、笑顔のミソラの背後に巨大な『災』の文字が浮かび上がった。
燃え上がる建物。崩れ落ちる岩山。押し寄せる魔物の群れ。
次々と巻き起こる災厄の中心で、ミソラだけが笑っている。
あ、これ、やばい子だ。
間違いない。
周りの人間を不幸へ巻き込む、絶対に関わってはいけない子だ。
「ハルト、すごいね!」
ミソラがハルトの手を両手で握った。
「これなら、あたしとパーティーを組めるね!」
「……は?」
「あたしが敵を見つける」
ミソラは自分を指した。
「ハルトが倒す」
今度はハルトを指す。
「すっごくバランスのいいパーティーじゃん!」
「どこがだよ!」
「役割分担?」
ハルトは、ゆっくりと手を振りほどいた。
今日だけだ。
今日一日だけ我慢すれば、もう会うこともない。
「とにかく、今度こそ勝手に奥へ行くな」
「は~い」
「今日は一階だけだ。浅い階層なら、これ以上の問題は起きないだろう」
ぞわり。
ハルトの腕に、また鳥肌が立った。
「……今、ものすごく嫌な予感がした」
◇
少し進んだ先の通路に、不自然な石板があった。
ハルトは即座に気づき、ミソラの前へ腕を出す。
「待て。そこは踏むな」
「ここ?」
ミソラが石板を踏んだ。
カチッ。
「なんで踏むんだよ!」
壁に開いた無数の穴から、矢が一斉に飛び出した。
ハルトはミソラの襟首をつかみ、後方へ大きく跳ぶ。
矢が二人のいた場所を通過し、反対側の壁へ突き刺さった。
「危なかったね」
「誰のせいだと思ってるんだ!」
別の通路には、壁から突き出した赤いボタンがあった。
「そのボタンは絶対に押すな」
「押したらどうなるの?」
「分からないから、押すなと言ってるんだ」
「なるほど」
ミソラは深くうなずいた。
そして、ボタンを押した。
ゴゴゴゴゴゴ――。
重い音を立てて壁が開き、その奥から魔物の群れが現れる。
「納得してから押すな!」
さらに別の小部屋。
床の中央には、大きな魔法陣が描かれていた。
「その中には入るな」
「分かった!」
今度こそミソラは、魔法陣を避けて大きく迂回した。
ハルトは、わずかに安堵する。
しかし、次の瞬間。
「あっ」
ミソラの足が、小石に引っかかった。
身体が前へ傾き、そのまま魔法陣の中央へ顔から倒れ込む。
カッ!
魔法陣が激しく発光した。
直後、天井が開き、魔物が何体も降ってくる。
「なんでぇー!」
それからも、災難は続いた。
ミソラが宝箱を発見する。
「開けるな!」
言い終える前に、ミソラが蓋を開ける。
中から毒煙が噴き出し、ハルトはミソラを抱えて全力で逃げた。
別の場所では、ミソラが隠し扉を発見した。
「中を確認してから――」
ミソラが扉を開け、飛び出してきた魔物をハルトが斬り伏せる。
天井から大岩が落ちてきた。
床から槍が突き出した。
壁から炎が噴き出した。
ハルトはそのすべてを、ミソラを抱えたり、襟首をつかんだりしながら回避した。
「ハルトって、本当に頼りになるね!」
「誰のせいで頼られてると思ってるんだ!」
――その日。
ミソラは、プリムス・ダンジョン一階に存在する罠を、ほぼすべて作動させた。
新人冒険者としては前代未聞。
不名誉極まりない新記録だった。
同時に、出現した魔物の討伐数と、一階で得た報酬額についても新記録を樹立した。
◇
夕暮れ時。
大量の魔石と素材を詰めた袋を背負い、ハルトはダンジョンの階段を上がってきた。
顔には深い疲労の色が刻まれている。
その横を、手ぶらのミソラが楽しそうに歩いていた。
「ダンジョンって楽しいね!」
「俺は今日一日で、三年分くらい疲れたよ」
「でも、いっぱい稼げたじゃん」
「誰のせいで戦闘回数が増えたと思ってるんだ」
「ハルトの日頃の行い?」
「なんで俺のせいなんだよ!」
冒険者ギルドへ戻ると、受付台の上に大量の魔石と素材が積み上げられた。
それを見た受付嬢たちが、目を丸くする。
「これを、すべて一階だけで?」
「……いろいろありまして」
「一階に、これほどの魔物がいたんですか?」
「集まっていたらしいです」
「どうして襲ってきたのでしょう?」
ハルトは、隣に立つミソラを見た。
ミソラは視線をそらし、下手な口笛を吹いている。
「石を投げた人がいたそうです」
「世の中には変な人がいるね」
「お前だよ!」
ミソラは両腕を上げ、大きく伸びをした。
「あー、楽しかった!」
そして笑顔でハルトへ手を振る。
「今日はありがとう。またね、ハルト!」
「もう勝手に罠を踏むなよ」
「よろ~!」
ミソラは軽やかな足取りで、ギルドを出ていった。
ハルトは、その姿が見えなくなるまで無言で見送った。
しばしの沈黙。
やがて、ゆっくりとギルドマスターへ顔を向ける。
「ギルマス……」
「まあ、なんだ」
ギルドマスターは、露骨に視線をそらした。
「多少、親も手をこまねいているというか……そういうことだ」
「そういうことって、どういうことですか」
「だから、お前なら何とかできると思ったんだろう」
「俺は新人の指導を頼まれただけですよね?」
「そうだ」
「厄介者の面倒を丸投げされたわけじゃないですよね?」
「……」
「なぜ黙るんですか」
ギルドマスターは突然立ち上がると、ハルトの肩へ大きな手を置いた。
ばしん、と力強く肩を叩く。
「お疲れさん!」
そう言い残し、逃げるように受付の奥へ消えていった。
「待ってください!」
返事はない。
大量の報酬だけを前に、ハルトは一人で取り残された。
「なんでぇー!」
少年剣士の叫びが、夕方の冒険者ギルド中に響き渡った。
こうしてハルトは、二度と会わないつもりだった災厄の少女、ミソラと出会った。
この出会いが、これから続く不幸と災いの始まりになるとも知らずに。
このお話には続きがありまして、あと数人ほど、とんでもない災厄体質の少女たちがハルト君の前途に立ちはだかります。
いずれ連載を始める予定です。




