夫が陰謀論にドハマリしたので離婚します
私の生家クレーラ子爵家は王国で環境調査官を務める家系で、この私ラグナは十五の時に王国の水質汚染に関する論文を発表し、脚光を浴びた。それが目を引く形となり、伯爵令息リンケン・ゾワールの元に嫁ぐこととなった。
私と夫リンケンは、当主らが住まう本邸とは別のお屋敷で暮らしていた。私はここでも領内の川や池などの水質調査を行う。リンケンは私の研究に興味はなく、「よくそんな金にならないことができるな」とあざ笑うこともあったが、私にも自覚はあったので、結婚生活にそこまで不満はなかった。
ところがある日の夕食後、私が紅茶を出すとリンケンはこう返してきた。
「私は紅茶を飲まないことにしたんだ。魔素が含まれているからな」
――まそ?
この日のやり取りはこれだけで終わったけど、夫の様子はだんだんとおかしくなっていく。
突然、リンケンは邸宅の馬車を全て売り払った。私は調査のために領内をよく移動するので、これでは不便になってしまう。
「あなた、なぜこんなことを……!」
「魔素はさまざまな形で我々を誘惑する。人が馬車に乗りたくなるのも奴らの陰謀だ。馬車に頼ると足腰が弱り、魔素に打ち勝つ抵抗力がなくなる。あんなものに頼ってはいかん」
「いかん……って、移動の時はどうするのよ」
「人間には足があるだろう。徒歩だよ。歩くことこそが、人間が魔素に対抗するための最高の手段なんだ」
「……!」
リンケンの目にはギラギラした光が宿っており、明らかに本気で言っていた。
さらに、やたらと厚着をするようになった。
シャツ一枚でも汗ばむような日にも、ぶ厚いコートを着ている。
理由を尋ねると――
「これは魔素から身を守るための装備さ。少し暑いぐらいは我慢しないとね」
魔素の前に熱中症で倒れてしまう気がする。
さすがにどうかしていると思い、本邸の義父と義母にも相談してみる。
「元々息子はスピリチュアルな事柄に興味を示しがちだったからな」
「あなたも夫人であれば、息子を理解し、よく支えてあげなさいな」
夫婦間の問題は夫婦で解決しろとばかりに、まともに取り合ってくれない。
お二人はもう悠々自適な生活を送りたいのだろう。
さらに、リンケンが領内で派手な女と会っているという報告を受けた。
その女は邸宅に来ていたこともあり、波打つ長い金髪と紫色の瞳を持ち、ミニのワンピースを着ていた。
背中にかかる程度の黒髪、地味な服装が常の私とは大違いだ。
数々の奇行に加えて、浮気……悩みの種が増えてしまう。
私も我慢して付き合ってきたけど、事あるごとに魔素だのと言って、自分ルールを押し付けてくるので、ついに付き合い切れなくなった。
私はリンケンに強く抗議した。
すると――
「前々から思ってたんだ。ラグナ、お前は頭を魔素にやられている! もう助かることはない! 離婚だ!」
「ええ、分かりました」
こうして離婚が成立した。
子供もいなかったし、お互いの言い分は五分五分ということで、大きく揉めることはなかった。
私はこれで王国の水質研究に専念できるとせいせいした。
***
とはいえ、研究だけではお金にならないので家のお荷物にならないよう、再婚を目指さねばならない。
私は積極的に王都の社交パーティーに参加した。
しかし、離婚歴のある私に興味を持ってくれる男性はなかなかいない。
そんなある日の夜会のことだった。
こんなやり取りが聞こえた。
「ワインは毒だから飲まない方がいいぞ」
「ハァ? なに言ってるんだお前」
貴族の若者が「ワインは毒」としきりに主張している。
ほとんど相手にされておらず、まるで、かつての夫リンケンを見ているかのようだ。
見ると、スーツの下に何枚も重ね着していることも分かる。ますますリンケンにそっくりだ。
離婚したことに悔いはないけれど、魔素とはなんなのか、その疑問を残してしまったことにはいささかの悔いがあった。
私は煙たがられている若者に、話しかけてみた。
「先ほどからワインには毒があって飲まない方がいいとおっしゃってますけど、どういうことです?」
若者は得意げにこちらを見てきた。
「ワインには魔素がたっぷり含まれているからな。体に毒なんだ」
出た、魔素。
このチャンスを逃す手はない。魔素とはなんなのか、徹底的に問い詰めてやろう。
「アルコールが毒というならまだ分かります。魔素ってなんですか?」
「魔素は……猛毒さ。それも意志を持っていて、人間をさまざまな形で誘惑する」
やはり夫と似たようなことを言う。
「ワインとは葡萄を発酵させたもので、葡萄そのものには魔素はないようですね。では魔素とやらが入り込むのはどの工程なんですか?」
若者は眉をひそめる。
「もちろん……発酵させている時さ」
自信なさげに答える。
「ではチーズにも魔素は含まれているんですか? この会場にもチーズはありますけど」
「いや……チーズにはない」
「おかしいじゃないですか。発酵という工程で魔素が入り込むなら、チーズにも魔素がなければおかしい。詳しく説明してください」
「きっと……魔素がチーズには入り込む価値がないと判断したんだろう」
「もし私が魔素だったら、絶対にチーズに入り込みますけどね。ワインと違い、誰もが食べる物ですから」
こんな調子でどんどん問い詰めていく。
「――このように、ワインを愛飲して長生きしていらっしゃる方は大勢いる。ワインがお酒である以上、無毒であるとは言えませんが、適量であればむしろ生活を豊かにする立派な嗜好品だと思いますが」
ついに若者の顔が怒りに歪んだ。
「うっ、うるさい!!!」
若者は近くにあったワイングラスを手に持ち、私のドレスに赤ワインを引っかけた。ベージュのドレスに赤黒いシミが広がる。
普通なら顔をしかめるべき場面だ。だけど、私は笑ってしまった。
出来上がったシミの形が、ポンド湖という湖の形にそっくりだったからだ。
そういえば、あそこの水質研究もしないと……思い出させてくれて感謝さえしたくなる。
「どうもありがとうございます」
「な、なんだ、お前は!?」
「そこまでだ」
男の人が割り込んできた。
長身で、暗めの金髪、彫刻のように凛々しい顔立ちの男性だった。
手慣れた動作で、あっという間に若者を取り押さえる。武術の心得があることが分かる。
「皆様、お騒がせしました。この男はすぐにつまみ出します」
男性は私を見てきた。
「よろしければ、あなたも一緒に会場を出ませんか」
これは私個人への誘いだというのが分かる。
「はい」
今夜はもう予定もないし、私は男性についていくことにした。
***
若者の身柄は夜会主催者に引き渡した。
私が「気にしていない」と口添えしたので、厳重注意ぐらいで済むだろう。
若者を取り押さえた男性と別室で二人きりとなる。
「私はジェクト・フォルングという。君は?」
フォルング家といえば侯爵家だ。もっとも根っからの研究者である私が家名に怖気づくことはない。
「ラグナ・クレーラと申します」
「クレーラ……そうか、君のお父上は環境調査官だったね」
「よくご存じで」
父のことが格上の貴族に認知されていることが素直に嬉しかった。
「我がフォルング家は代々王都警護官を務めているのだが、近頃あのような輩が増えてね」
「先ほどの話ですね」
「ああ、この世には魔素という毒が漂っていて、常に我々の命を狙っている。魔素はさまざまな手段で自分を取り込ませようと誘惑してくるから、それを防がなければならないなどと吹聴する者たちだ」
王都警護官とは、いわば警察の上位存在。
王都やその周辺都市の治安と平和を守るための職で、職をまっとうするために数々の強大な権限を有している。
彼が言うには、今巷では「魔素を防ぐためには……」と怪しい教えを広めている者が増えているという。
紅茶には魔素が含まれていると言ったリンケン。
ワインには魔素があると言った若者。
とても偶然とは思えない。
「『あの事件の裏側には』だの『この世界を操っているのは』だの、こういった世迷い言じみた陰謀論を言う輩が出るのは世の常だ。だが、私はこれを笑い飛ばすことができない性分でね」
ジェクト様の目にギラリとした光が宿る。
「陰謀論の陰には、真の陰謀があると睨んでいる」
私はうなずく。
「私もそう思います。私は水質調査を得意としているのですが、なんの原因もなく水が変質するなんてあり得ませんから。汚染があるならば、そこには必ず原因があるはずです」
ジェクト様が笑み、私も微笑んでしまう。
二人の目的、利害が一致した瞬間だった。
この陰謀論について徹底的に調べたい。ジェクト様は国を守る者として、私は研究者として。
「協力してくれるかい?」
「ぜひ」
そうと決まれば――
「さっそく、私の知っている情報をお話しします。実は私、離婚しているんです」
「……!」
私は淡々と、かつての夫リンケンのことや、彼が唱えていた陰謀論について話した。
ジェクト様は目を丸くしながら聞いていた。
「……驚いたな」
「ええ、リンケンもこの陰謀に関わっていることは間違いありません」
「いや、私が驚いたのは自分の離婚について、包み隠さず教えてくれた君のことだよ。普通の婦人であれば、なるべく伏せようとするだろうし」
「私と彼の間のことは水に流れていますから。それに協力関係になった以上、情報の共有は当然のことです」
そうしなければ、どんな研究も満足には進まない。
「どうやら君を見くびっていたようだ。頼もしいパートナーができた」
ジェクト様が右手を差し出してきた。
「ご協力よろしく、ラグナ」
「はい、ジェクト様」
私は右手で握り返す。
ジェクト様の右手はとても大きく、温かかった。
まるで雄大な湖のように――
***
研究を進めるには、研究対象を選ぶ必要がある。私たちはこの間の若者を標的に定めた。
名前はマッカス、子爵家の三男。
日中から、気候にそぐわない厚着で、王都をぶらぶらしている。
嫡子でもない貴族は、親から小遣いを貰いつつ、こういう生活を送ることが多い。
私たちは彼をつけていく。
「あんな生活を送っていれば、陰謀論にのめり込んでしまうのも無理はないな」
「ええ、彼からすればやっと見つけられた生きがいだったのかもしれませんね」
家族から期待されていない若者が、ある日「世の中にはこんな秘密があるんですよ」と真実めいたことを教えられる。
自分の使命はこの真実を世に広めることだったんだ、とどっぷりハマってしまう……こんな光景が想像できる。
「それにしても君、尾行が上手いね」
「水質調査の時は、魚を取る時もありますから。静かに歩くことには慣れています」
「ならば、私が足手まといにならないようにしないといけないな」
ジェクト様との尾行は、どこかデートのようで楽しかった。
男女で歩くなら、これぐらいのムードの方が自然だしね。
マッカスは王都中心部から少し離れたところにある、小さな教会に向かっていく。
どうやらあそこが目的地のようだ。
他にも入っていく人間がちらほら見える。
「今日は集会をやっているようだね」
「でしたら、私たちも入ってみましょう」
「え」
私の提案に、ジェクト様は驚く。
「汚染の原因を調べるなら、どんな泥水にでも入っていく勇気と覚悟が必要ですよ」
「大したものだ。いよいよ君のことを気に入ってしまいそうだよ」
場所は分かったので、私たちは服屋でコートを購入し、それを着込む。厚着をするのも彼らの信じる陰謀論の要素だと分かっているためだ。
私たちも教会に向かうも、やはり入り口で止められる。
「今日ここは決められた者しか入れん。お引き取り願おう」
さすがに出入り自由というわけではないか。だったら――
「リンケン様が、私たちにもぜひ来てくれと」
私は咄嗟に元夫の名前を出した。
「リンケン様……!?」
反応は上々だ。
「あの方の言う通り、今日は馬車も使っていませんの。馬車に頼るのは魔素の思う壺ですから」
馬車を使わない、魔素の思う壺、というフレーズにも相手は好感触を示す。
「リンケン様のお知り合いでしたか。どうぞ」
私たちも教会に入ることができた。
ジェクト様は「君を協力者にしてよかったよ」と小声でささやく。
礼拝堂とおぼしき部屋に案内される。
薄暗く、そこまで広くはないが、ほとんど満員といった状態だ。
まもなく、壇上に二人の人間が現れた。
一人はコートを着たリンケン――もう一人は修道服を着た黒髪の女だった。
「おお……シスター・ネノだ!」
「シスター・ネノ!」
「今日もあなたの教えを我らに授けてください!」
周囲が熱狂するが、私は冷静に女を見据える。
あの紫色の瞳、間違いない。邸宅で見かけた、リンケンとちょくちょく会っていたという、派手な女だ。金髪はウィッグかなにかだったのね。
「皆さん、魔素から身を守る術をちゃんと実践しているようですね」
シスター・ネノの語りが始まる。
彼女の教えはざっとこのようなものだ。
この世は魔素という意志を持つ毒で満ちている。魔素は賢く、さまざまな形で人々を誘惑し、人体に潜り込もうとする。私たちはそれから身を守らねばならない。
そのためには紅茶やワインを避け、馬車を使わず、厚着をして……。
私も知っていることがほとんどで、あまり目新しさは感じない。マッカスを問い詰めた時にも感じたけど、ところどころおかしな点も多い。だけど誰もが聞き入っている。
ちなみにリンケンは彼女のスポンサー的なポジションだということも分かった。この集団のナンバー2といっていい。
ジェクト様は腕を組む。
「この教会で行われていることはだいたい分かった。だが、これだけではとても罪になるとは言えんな。我が国には思想の自由があるし、『これを食べるな』『あれをするな』などの戒律があるのは、なにもこの集団だけではない」
極めて奇異ではあるけど、危険な集団として摘発することは難しい。私たちの中でそんな結論が出来上がりつつある。
「……それにしても暑いですね」
「ああ、厚着をした上、この密集ぶりもあるが、どうやら暖炉を焚いているようだ。これも魔素を打ち払う儀式なのかもしれないな」
「……」
シスター・ネノが言う。
「では、ここでひと休みしましょうか」
集まった者ひとりひとりにコップに入った水が配られる。
量はかなり多い。
皆が待ってましたとばかりに、一気飲みする。
私たちにも配られ、コップを受け取る。
「こう暑いと、この量でも一息に飲めてしまいそうだ」
ジェクト様も飲もうとする。
しかし、私はそれを止めた。
「待ってください」
「ん?」
「この蒸し暑さ、紅茶やワインを飲むなという教えや、馬車を使わず歩けという教え。まるでこの陰謀論にまつわる全てが、私たちをこの水に誘導しているような気がしませんか」
「……言われてみれば」
喉の渇きは相当なものになっているが、この水を飲むわけにはいかない。
「しかし、飲まないと怪しまれてしまうぞ」
「すでに容器に少量を採取しました。あとは飲むふりをしましょう」
「分かった」
私たちはコップに入った水を、喉に流し込むふりをして、服の中に流し込んだ。すでにだいぶ汗をかいているので、さして気にならない。
まもなくシスター・ネノの部下がコップを回収に来る。
「飲んだか?」
「ええ、美味しかったです」
「そうか……ならいいんだ」
おそらく部下は内心でほくそ笑んでいる。同時に私たちもほくそ笑んでいる。
それからまた一時間ほど、シスター・ネノの説教を聞いたが、もうまともに聞く必要はなかった。目的はすでに果たされている。
説教を聞いた後、教会の外でジェクト様と打ち合わせる。
「水の分析は私の十八番。三日もいただければ、水の正体を明らかにしてみせます」
「よろしく頼む」
水の正体。それすなわち陰謀論の正体ということはこの時点で確信できていた。
***
三日後、私たちは王都内のカフェで待ち合わせた。
落ち着いた雰囲気で、客は少なく、打合せをするにはちょうどいい場所だ。
「水の正体が分かりました。この中にはベトレーヌが含まれています」
「ベトレーヌ……?」
「一言でいうと毒草です。摂取すると思考が極端に狭くなることで知られており、物事を“こう”としか考えられなくなります」
私は両手で視野が狭まるジェスチャーをする。
「……!」
「無味無臭で、いくらかの依存性も確認されている。大勢の人間を陰謀論に染め、自分の信望者にするにはピッタリの植物です」
教会にいた彼らは、魔素云々の陰謀論にのめり込みつつあるところに、ベトレーヌの力でそれが加速され、いよいよシスター・ネノの熱狂的な信者となっていったのだろう。
しかも集会のたびにベトレーヌ入りの水を飲まされ、それは補強されていく。
「よくやってくれた。ここから先は私の仕事だ」
「よろしくお願いします」
次回の集会のタイミングを掴み、ジェクト様率いる護都兵団が乗り込む。
ジェクト様の指揮は見事だった。ベトレーヌ入りの大量の水が押収され、シスター・ネノ及び側近のリンケンは逮捕された。
「なにするのよぉ、あんたたち!」
シスター・ネノは目を血走らせて抵抗する。そこに信者への説教中に見せていた清楚な姿はなかった。
「魔素だ! お前たちは魔素に侵されているんだ! 魔素の手先め!」
一方のリンケンは錯乱している。
そんな彼らに、ジェクト様と私が近づく。
「お前たちは危険植物であるベトレーヌを混ぜた水で信者を集めていた。これは国家の秩序を揺るがしかねない行為だ。よって逮捕する」
「ぐっ……! あたしの計画がぁ……!」
シスター・ネノの狙いは金と権力。
まずは貴族であるリンケンを色仕掛けと陰謀論でたぶらかし、教会を建てたり、大量のベトレーヌを集めたりするためのスポンサーを得る。
それからは王都で着実に信者を増やし、影響力を増し、いずれは王国中枢に入り込むことすら考えていたという。
ちなみに彼女自身はワインや紅茶が大好きで、移動にもしょっちゅう馬車を使っていたとのこと。
シスター・ネノにはやがて極刑が言い渡され、断頭台で彼女の首が飛んだ。
信者たちは治療が施され、若者マッカスを含め、大勢が無事社会復帰することができた。
ところが――
「魔素だ! 魔素だ! お前たちはみんな魔素で頭がおかしくなっているんだぁぁぁ!」
シスター・ネノ最初の標的だったリンケンは、すでに大量のベトレーヌを摂取しており、手の施しようがなかった。もはや法律で裁く対象ではないと見なされ、“そういった人間専用”の地下牢に放り込まれる。
彼は牢屋の中で、一生魔素と戦い続けることになるのでしょうね。
ゾワール家も自家からテロリストへの協力者を出してしまったとして、貴族資格剝奪の沙汰を受けた。
***
事件解決後、私とジェクト様は交際を始めた。
いくらか仲を深めた後、二人である湖のほとりを歩く。
私は水色のドレス姿、ジェクト様は王都警護官の制服を纏っている。
「あの事件以来、君のことが頭から離れないよ」
「私もです」
ジェクト様は私に歩幅を合わせてくれる。
「君の聡明さ、君の大胆さ、君の勇気と覚悟。君が隣にいれば、私はもっと高く羽ばたける。どうか、その旅路の供をしてもらえないか?」
私はゆっくりうなずく。
「喜んで」
私は研究。ジェクト様は王国の守護。道は違えど一緒に歩むことはできる。
ジェクト様が湖面を見やる。
「そういえば、君の調査によるとこの湖の水質は飲用に耐えられるそうだね」
「はい、問題ありません」
「では、この湖の水で誓いの盃といこうか」
「はいっ!」
私とジェクト様は湖の水を両手ですくって一緒に飲み干した。
まるで陰謀論のような話になっちゃうけど、この時の水には、神様がたくさんの喜びや幸せを含ませてくれている。そんな気がした。
おわり
お読み下さいましてありがとうございました。




