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水陸両用の名将:戚継光⑬

〇【鬼嫁おによめ王氏おうしからの“配下はいか増員ぞういん命令めいれい”】


嘉靖かせい四十五年のある戚継光せき・けいこうしずかな書斎しょさい書類しょるい格闘かくとうしていた。そこへ、するど足音あしおとちかづいてくる。


継光けいこう!」


くと、そこにっていたのは――鬼嫁おによめ、いや、正妻せいさい王氏おうしである。がキラリとひかり、まるでいくさ将軍しょうぐんのような迫力はくりょくだ。


「な、なんだよ、おうさま。そんなにおこって……」


おこって?あまいわね、これは任務にんむよ!しかも超重大任務ちょうじゅうだいにんむ!」


重大じゅうだい任務にんむ……?」


王氏おうしつくえ書類しょるいをバンとたたきつけた。


長男ちょうなん嘉会かかいと、私のおとうとを、あなたの配下はいかれなさい!」


「げっ、配下はいか増員ぞういん命令めいれい!?そんなのいてないよ!」


「知ら(し)らない?知ら(し)らなくていいのよ、私の命令めいれいしたがうのが夫婦ふうふつとめ!」


「は、はい……」


「それにしても継光けいこう、あんたは本当にのんきね」


「のんきじゃない!ていうか、おうさまはどうしてそんなに目つきがこわいんだ!」


「それはね、あなたの部下ぶかりないからよ!」


「足りないって言われても……」


嘉会かかい元気げんき将来有望しょうらいゆうぼうよ。おとうとも“あんたにつかえたい”って毎日(まいにちさわがしいわ」


さわがしい……そりゃこまるな」


王氏おうしはそう言うと、目をひからせてさらに言った。


「それでね、ちゃんと二人ふたり指導しどうしなさいよ。いいわね!」


「はあ……」


「それはそうと、もしも二人ふたりへんなことをしたらどうするの?」


「そ、それは……その、しかってなおす!」


しかるのはほどほどにしなさいよ、私の息子むすこおとうとなんだから!いいわね、継光けいこう注意ちゅういしなさい!」


注意ちゅういって、もうこわすぎるよ、おうさま……」


「ふふん、夫婦ふうふってのはそういうものよ。私はあんたのおによめ、あんたは私の忠実ちゅうじつ部下ぶかけんおっと!」


「そ、それじゃまるで会社かいしゃみたいだな……」


会社かいしゃよ!今度こんど配下はいか増員ぞういんは私の“プロジェクト”なの!」


戚継光せき・けいこうはあきらめがおでためいきをついた。


「はあ……これからは、いえでもいくさだな」


「そうよ!そして最後さいごにはあんたを“社長しゃちょう”にするのが私のゆめ!」


おうさま……そのゆめ、俺にどんだけプレッシャーかけるんだよ!」


「プレッシャー(ぷれっしゃー)?それは愛情あいじょうよ。これからも私の“部下ぶか”として頑張がんばりなさい!」


「わ、かったよ……おそれいりました、鬼嫁おによめさま!」


「いい返事へんじね。これでいえ戦場せんじょうもバッチリよ!」


そう言いのこし、王氏おうしはドヤがお部屋へやていった。


戚継光せき・けいこうはひとりポツンとつくえかい、苦笑くしょうしながらつぶやいた。


「俺の人生じんせい、まさに“鬼嫁おによめせん”だな……」



〇【隆慶元年(1567年)――倭寇わこうをバッサリ!みん沿岸えんがん平和へいわが戻った


隆慶元年りゅうけいがんねん戚継光せき・けいこう三十九歳さい。このとしかれだたる官僚かんりょう胡宗憲こ・そうけんんで、倭寇わこうというやんちゃな海賊かいぞくたちにおおきな打撃だげきあたえた。


「さあみな今日きょう元気げんきにいくわよ!」と林悦りん・えつがピカピカの笑顔えがおでやってきた。おカマ口調くちょうでハイテンションな彼女かのじょは、まるで海の太陽たいようだ。


「それにしても、胡宗憲こ・そうけんさんの指導力しどうりょくには毎回まいかいおどろかされますなあ」と、わら上戸じょうご薛綱せつ・こうたたきながらはなす。


そのとなりで、戚継光せき・けいこう真剣しんけんかお地図ちずつめていた。かれ実戦的じっせんてき戦術せんじゅつで知られている。


さん、またあたらしいオヤジギャグ(おやじぎゃぐ)でもおもいついたんですか?」


「おっと、よくがついたな!いくさもギャグも“いのちをかける”ってね!」


胡宗憲こ・そうけん満面まんめんみをかべた。


「なあ、継光けいこう倭寇わこうは海の“わこう”(笑い)もゆるさねえ連中れんちゅうだ。だが、おれたちの連携れんけいかならずややっつけてみせるぞ!」


林悦りん・えつ両手りょうておおきくひろげてさけんだ。


「それよ!わたしだって、海賊かいぞく退治たいじはおのものよ!あたしの“ハイテンション波動はどう”でバッサリめちゃうわよー!」


薛綱せつ・こうわらいながらむねをポンポンたたき、った。


「まったく、みんな楽しそうだなあ。おれわらいすぎて腹筋ふっきんきたえられちゃうよ!」


そんななか、ついに決戦けっせんのときがた。戚継光せき・けいこう胡宗憲こ・そうけん、そして個性豊こせいゆたかな部下ぶかたちは一致団結いっちだんけつして倭寇わこうめた。


継光けいこう作戦さくせんどおりにうごけよ。海賊かいぞくたちをまるはだかにしてやろう!」


胡宗憲こ・そうけん鼻息はないきあらった。


了解りょうかい!」と戚継光せき・けいこう力強ちからづよかえごとした。


林悦りん・えつは、ひらひらとりながらさけぶ。


「さあ、倭寇わこうども!わたしの“ハイテンション波動はどう”をくらいなさい!」


薛綱せつ・こうわらいながらさけんだ。


「くくく……わらいすぎてたたかえねえじゃねえか!」


激戦げきせんすえ、ついに倭寇わこう勢力せいりょく大幅おおはば減退げんたいし、みん沿岸地域えんがんちいきにはひさしぶりの平和へいわおとずれたのだった。


「あー、かった!これでうみまち安心あんしんしてらせるわね!」林悦りん・えつうれしそうにった。


「まったくだな、これからは笑顔えがおでいっぱいの時代じだいにしようぜ!」と薛綱せつ・こう笑顔えがおこたえた。


胡宗憲こ・そうけんは、得意とくいげにオヤジギャグ(おやじぎゃぐ)を一発いっぱつばした。


海賊かいぞく退治たいじできて、俺たちのちだね。これで“こ(胡)”と“せき(戚)”のタッグは最強さいきょうだ!」


「またそのギャグ(ぎゃぐ)かよ!」戚継光せき・けいこう苦笑くしょうしながらった。


こうして、戚継光せき・けいこうたちの活躍かつやくみん沿岸えんがん平和へいわを取りもどし、かれらの名声めいせいはますますたかまったのだった。



〇【隆慶元年、北方ほっぽうへ!戚継光せき・けいこう万里の長城ばんりのちょうじょう防衛ぼうえい大奮闘だいふんとう


隆慶元年りゅうけいがんねん三十九歳さんじゅうきゅうさいになった戚継光せき・けいこうは、ひとつの時代じだい節目ふしめむかえていた。隆慶帝りゅうけいてい即位そくいし、新しい政策せいさくはじまったのだ。


その新政しんせいのおかげで、ながらくくるしめられていた倭寇わこう問題もんだい一段落いちだんらく。「さあ、つぎきた防衛ぼうえいだ!」とめいけ、戚継光せき・けいこう気合きあいなおした。


「北のかなめ、万里の長城ばんりのちょうじょうまも薊州鎮けいしゅうちん総兵官そうへいかん任命にんめいされたぞ!」


部下ぶかたちがワッとあつまった。


「まさかおれが北の守護神しゅごがみになるとはなあ!」とわらいながら戚継光せき・けいこうう。


林悦りん・えつはキラキラしたで、ハイテンションなおカマ口調くちょうさけんだ。


「まあ、北風きたかぜだってけないわよ!わたしのハイテンション波動はどうてきこおっちゃうわ!」


「おいおい、りん、そんなさむいギャグ(ぎゃぐ)をここですなよ……」と童元鎮どう・げんちん実直じっちょくにツッコんだ。


「それよりな、劉顕りゅう・けん、またこまかい失敗しっぱいやらかしてないか?」


劉顕りゅう・けんちいさくうなだれてこたえた。


「また…やっちゃいました。食料しょくりょう配分はいぶんミスで、兵士へいしひるごはんきになってしまって…」


「おいおい、またかよ!」薛綱せつ・こうわらいながら腹筋ふっきんきたえるかのようにポンポンたたく。


「ま、まあな、でも北の守りは俺たちにまかせてくれ!倭寇わこう退治たいじつづいて、今度こんどは“万里の長城ばんりのちょうじょうばん”だ!」


たのむぜ、継光けいこう兄貴!」童元鎮どう・げんちんがキリッとった。


そんなある、北の寒風かんぷうがビュービューなか戚継光せき・けいこうたちは長城ちょうじょう見張みはだい作戦会議さくせんかいぎひらいた。


「この北のでは、食料しょくりょうはこびにくいし、てき地元じもとつよい。けないぞ!」


林悦りん・えつ陽気ようきにポーズをめてった。


「でもまあ、私の“ハイテンション波動はどう”と薛綱せつ・こうわらいで、兵士へいしたちの士気しきもバッチリね!」


「それならいいが…りゅう今度こんどはミスしないようにな!」


「は、はい!頑張がんばります!」


童元鎮どう・げんちんわらいながらった。


「まあ、ミスも笑いも大事だいじだけど、北の防衛ぼうえいいのちかかってるからな。継光けいこう、リーダー(りーだー)として、しっかりたのむぞ!」


せとけ、どうおれがこの万里ばんりまもる“壁男かべおとこ”だ!」


その言葉ことばに、みんながわらいながらうなずいた。


こうして戚継光せき・けいこうたちは、北方ほっぽうでの新たな戦い(たたかい)にけてあゆしたのだった。



〇【戚継光せき・けいこうと“遊びあそびにん長男ちょうなん、そして“鬼嫁おによめ”のおとうと――一触即発いっしょくそくはつ!?】


隆慶元年りゅうけいがんねん三十九歳さんじゅうきゅうさい戚継光せき・けいこうは、ちょっとした大事件だいじけんかかえていた。なんと、彼の長男ちょうなん戚嘉会せき・かかいと、正妻せいさい王氏おうしおとうとが、同時どうじ配下はいかとしてくわわったのだ。


しかし、ここで問題もんだいが…


戚嘉会せき・かかいは遊びあそびにんで、さけおんながない。


父上ちちうえ、今日はカワイイたちと宴会えんかいで…」


そんなわけくたびに、戚継光せき・けいこうあたまいたくなった。


「またかよ、嘉会かかい…」とふかいためいきをついた。


そこへ、「お兄様さま、こんなことでろしいのですか?」と真面目まじめかお正妻せいさい王氏おうしおとうとがやってきた。


彼は生真面目きまじめで、鬼嫁おによめとして知られるあね王氏おうしきびしくそだてられていた。


「おい、嘉会かかいあそぎていくさ集中しゅうちゅうできんのか?」と童元鎮どう・げんちんが突っつっこむ。


「す、すみません…でも今日きょうまつりで…」


まつりなんて、いい加減かげんにしろ!」と生真面目きまじめおとうとするどった。


「まったく、おれがいる意味いみがあるのか?」と戚継光せき・けいこうあたまかかえた。


そのよる義弟おとうときびしく戚嘉会せき・かかいしかった。


嘉会かかいよ!いくさあそびじゃない!父上ちちうえ期待きたい裏切うらぎるな!」


「はい、わかりました…」としぶしぶうなだれる嘉会かかい


翌日よくじつ戚継光せき・けいこう部下ぶかたちにはなした。


嘉会かかいこまった遊びあそびにんだが、おとうとのおかげですこしはまともになっているようだ」


林悦りん・えつはおカマ口調くちょうでニヤリ。


「まあ、鬼嫁おによめおとうとさんのけがあれば、嘉会かかい成長せいちょうしますわよ!」


薛綱せつ・こうわらいをこらえきれず、


「まるで家族かぞくコントみたいだな!」と大笑おおわらい。


童元鎮どう・げんちん苦笑くしょう


「まあ、これが戚家せきけのリアル(りある)か…」


戚継光せき・けいこうはそんなさわがしい日々(ひび)を、複雑ふくざつ気持きもちで見守みまもるのだった。


「これも家族かぞく…いや、軍団ぐんだん一部いちぶだとおもえばな」


こうして、戚継光せき・けいこうは遊びあそびにん長男ちょうなん鬼嫁おによめおとうとという、まったくちが個性こせい二人ふたりとともに、またあたらしいいくさの日々(ひび)をあゆはじめた。

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