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異世界に転生した僕は、チートな魔法の杖で楽しい冒険者ライフを始めました!  作者: 月ノ宮マクラ


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026・成長

 雷爪熊のクエスト失敗から10日間が経った。


 今日も、僕らは森にいる。


「――杖君、弾丸魔法」


 パシュン


 構えた白い杖の先端から『光の弾丸』が発射された。


 それは、こちらに突進していたホーンラビットの額にパンッと当たる。


 衝撃で、その小さな身体が弾け飛んだ。 


(よし)


 狙い通り、命中だ。


 ホーンラビットは完全に気を失っていた。


 僕はすぐに狙いを変えて、2体目、3体目のホーンラビットに向けて、光の弾丸を放った。 


 パシュッ パシュッ


 2体の頭部に命中。


 衝撃で2体ともが気絶した。


 そして、僕が3体のホーンラビットを牽制している間に、


 ヒュパン


 アシーリャさんは、別のホーンラビットの首を刎ね飛ばしていた。


 長い金髪が舞う。


 彼女は、ホーンラビットの群れの中を走り回り、次々と倒していく。


 本当に強いよね……。


 おっと、


(見惚れている場合じゃないや)


 僕は、杖を構え直す。


 そして、彼女から死角の位置にいるホーンラビットを狙って、また『光の弾丸』を発射したんだ。


 …………。


 今日のクエストも『ホーンラビットの討伐』だ。


 この10日間、僕らは毎日、ホーンラビットや火狼の討伐クエストを行って、戦闘技術の向上に努めたんだ。


 僕は、まず命中精度を高めた。


 これまでは、魔物の身体のどこか、を狙っていた。


 でも今は、頭部、を狙うようにしている。


 最近は、ほぼ外さない。


 ホーンラビットは小さいし、動きも早いから大変なんだけど、それでも当たるようになった。


 もしかしたら、杖君のエイムアシストがあるのかも……?


 どちらにしても、よく当たる。


 同時に、アシーリャさんの動きに合わせた射撃も心掛けた。


 例えば、魔物が複数いる。


 その場合、アシーリャさんは1番近い距離の魔物を狙う。


 僕は、それ以外を牽制だ。


 距離が同じ場合は、右側から狙っていく。


 そうした約束事を、彼女としたんだ。


 彼女も、


「は、い」


 と、長い金髪を揺らして、頷いてくれた。 


 そんな感じで、息を合わせた。


 最初は、結構、お互いにぎこちなかった。


 でも、段々とできるようになった。


 アシーリャさんの動きを見ている内に、次に彼女がどう動くのか、わかるようになったんだ。


 不思議だよね……?


 でも、それで援護がし易くなった。


 だからかな?


 アシーリャさんの魔物を倒す速度も向上したんだ。


 僕を信じて動いてくれている。


 背中からそれが伝わるから、僕もよりしっかりしたサポートをしなきゃって、がんばれるんだ。


 それから、もう1つ。


 新しい魔法を覚えた。


 覚えたというか、応用なんだけど……。


(あ)


 その時、アシーリャさんの背後から3体のホーンラビットが同時に動こうとしていた。


 1体ずつ狙っていては、間に合わない。


 だから僕は、


「杖君、大砲魔法!」


 ピカン


 僕の声に、杖君は先端に光を集めた。


 5センチほどの光球。


 その『光の砲弾』が発射された。


 ドゥン


 狙いは、3体の正面の地面。


 そして、光の砲弾が狙い違わず、その地面に着弾して、


 ドパァン


 激しく爆発した。


 光と衝撃波が弾け、地面の土と草が吹き飛ぶ。


 3体のホーンラビットは、たたらを踏んだ。


(よし)


 牽制成功だ。


 今のは、弾丸と爆発の2つの魔法を組み合わせたものだ。


 爆発の魔法より、威力は弱い。


 けど、弾丸の魔法のように遠距離攻撃ができる。


 うん、そう。


 これは、対雷爪熊のための魔法。


 弾丸の魔法では威力が弱すぎて通じなかったし、かと言って、爆発の魔法ではアシーリャさんまで巻き込んでしまう。


 だから、その中間。


 そんな魔法を作ったんだ。


 ちなみに、直撃したら火狼のサイズでも吹き飛んだ。


 もちろん、非殺傷の魔法だけどね。


 ともあれ、


「杖君、弾丸魔法」


 パシュッ パシュッ パシュッ


 動きの止まった3体のホーンラビットを、僕は光の弾丸で気絶させた。


 これで、よし。


 その時には、アシーリャさんも他のホーンラビットを全て倒していた。


 彼女は、僕を見る。


 僕は笑って、


「やったね、アシーリャさん」


「……は、い」


 コクン


 どこか嬉しそうに、彼女も頷いた。


 そして、アシーリャさんの長剣は、気絶したホーンラビットたちの心臓を次々に刺していく。


 …………。


 うん、今日のクエストも無事に完了だ。



 ◇◇◇◇◇◇◇



「はい、ニホ君」


 ガシャッ


 冒険者ギルドで、報酬の硬貨の入った革袋をもらった。


 本日は、710ポント。


 ちなみに、薬草集めの報酬も含めてだ。


 薬草集めは、毎日、受けている。


 それと合わせて、ホーンラビットや火狼のクエストも並行して行っていたんだ。


(えへへ……)


 報酬を受け取ると、やっぱり嬉しいな。


 つい、ほくそ笑んじゃう。


 アシーリャさんは興味ないのか、ぼんやりしているけど……。


 でも、杖君は、


 ピカピカ


 と、明るく光ってくれた。


(うん、やったね)


 僕は、杖君に笑いかけた。


 この10日間、1日にだいたい600~1200ポントを稼いだ。


 貯金も、1万ポントに到達。


 日本円で、約100万円だ。


(う~ん)


 結構、稼いだね?


 ちなみに、これは1日に2クエストを達成してるからだ。


 マーレンさん曰く、


「普通は、こんなペースじゃできないわよ?」


 とのこと。


 それはそうだ。


 僕らは杖君のおかげで、薬草も討伐対象の魔物も、すぐに見つけられる。


 普通は、そこで日数がかかるのだ。


 杖君、様様だ。


 ともあれ、100万円。


 このお金をどうしようか?


 今後のために貯金するのもいいけど、アシーリャさんの新装備を買うのはどうだろうか?


 特に、より良い長剣を買う、とか。


 今の剣は、安物だ。


 きっと、初心者用の装備。


 でも、アシーリャさん本人は、かなりの剣の達人。


 現状は、腕と武器が釣り合ってない。


 もし、質のいい剣だったら?


 もしかしたら、雷爪熊の分厚い肉の壁も斬り裂いて、倒せていたかもしれない。


(……うん)


 そうしよう。


 100万あれば、きっといい剣も買えるよね?


 僕は、報酬の革袋を肩かけ鞄にしまって、


「アシーリャさん」


「?」


「明日はお休みにして、武器屋に行こっか?」


「……は、い」


 彼女は不思議そうに頷いた。 


 うん、決まり。


 僕は笑って、


(いい剣、見つかるといいな……)


 そう明日を楽しみに、今日の冒険者ギルドをあとにしたんだ。

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