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アンジェリーヌは一人じゃない  作者: れもんぴーる


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33/43

歓喜

 フェリクスは元気がなかった。

 自分が支援していたミレーユがアンヌを殺そうとしたのだから。

 そのせいでアンヌは記憶を失い、自分たちの事を忘れてしまった。

 自分のせいで兄が恋したアンヌを失ってしまった。


 そしてもうあの斬新な歌も心のこもった歌も聞くことができない

 ミレーユが捕まった今、もうあの歌はこの世界から消えてしまった

 自分がミレーユの事を理解してあげられなかったせい。自分がアンヌの事を優先したせい。

 安易にミレーユとアンヌをひき会わせたせい。


 フェリクスは別邸に籠り、ナリスにも会わなくなってしまった。



 そんなとき王宮から招聘された。

 心が沈んだまま呼び出され、応接室に到着する。

 そこにはアンジェリーヌもアベルもいた。

 何事かと待っていると、扉が開き、ナリスに支えられるようにして入ってきたのは美しい王女だった。

 華やかで全身が光り輝くような王女。アンヌもアベルも病弱だと聞いていた王女に会いするのは初めてだった。最もフェリクスもお人形のような王女に数回会った事があるだけだったので、ひどく驚いた。


 ヴァランティーヌ王女は何とも嬉しそうな、泣きそうな表情で皆を見渡した。

「皆に会えてとても嬉しいわ。話したいことは色々あるけれど・・・まずは聞いて欲しいの」

 初対面の王女にそう言われ、みんなは戸惑ったが、王女は一つ咳ばらいをし・・・

 歌い始めた。


 その歌を聞いてアベルもフェリクスも思わず立ち上がった。

 王女が歌ったのは『舞姫』。

 少し声は違うものの、その歌に込められる想いや歌い方はアンヌそのもの。

 それに気がついた二人は途中からボロボロ涙を流し、ひたすら王女を見つめた。

 それを見た王女も涙を一つ落としながら歌い終わり、

「久しぶりね、我が同志と子分。そして会いたかったわ、アンジェリーヌ」

 そう言って三人に駆け寄るとまとめて抱きしめた。

「姉上⁉」

「アンヌ⁉」

「お姉様!!」

 三者三様の驚きの声をあげながら、みんなが王女の正体を知ったのだった。


 歌い終わるとお茶の用意がされ、アンジェリーヌと王女の口からフェリクスとアベルにも白い世界の話が伝わった。

 神の奇跡に感謝しつつ、神がヤギって・・・、口が悪いとか、なんか全然厳かじゃないなどみんな好き勝手に神の感想を述べて笑いあった。

 この日、皆がそれぞれに抱えていた喪失感をやっと手放すことが出来たのだった。



 アンヌが王女として戻ってきたことは、アンジェリーヌを階段から突き落とした犯人が捕まるまで秘密にされていた。

 ナリスもフェリクスが落ち込み閉じこもっていた姿に心を痛めていたが、アンヌがアンジェリーヌとしてなのか、アッサンとして狙われたのかわからない限り安心できないと知らせなかったのだ。

 王女となったアンヌは、アンジェリーヌを守って欲しいと国王に願い、アンジェリーヌに感謝の念を抱いていた陛下はその願いを叶え、影をずっとつけていたのだった。


 それから、たびたびこの四人は王宮のヴァランティーヌ王女の部屋で集まった。

 時に話し、時に笑い、時に泣く。そして歌う楽しい日々。

 ヴァランティーヌは自分の事をアンヌと呼んで欲しいと言った。今の名前の愛称もアンヌになるからと。そう呼ぶ許可を得たのはこの三人だけ。

 この先生涯、この四人は強いきずなで結ばれるのであった。


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