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アンジェリーヌは一人じゃない  作者: れもんぴーる
15/43

ロジェ 1

「アンジェリーヌの奴、どこに行ったんだ一体!」

 ロジェはアンジェリーヌが家出をしたと聞き、ショックを受け、焦りを覚えた。


 婚約解消をすんなり受け入れ、あまつさえ喜ぶ素振り。

 強がりであって欲しいと様子を見ていたが本当に自分との婚約など願っていないことがわかった。 

 おまけに怪我をしたからとパーティの同行を断られ、侯爵からも婚約解消を求められた。

 元はと言えば自分が悪いのだが、そもそも本気で婚約解消に応じるとは思わなかったのだ。

 婚約は幼いころに結ばれた。そのころはいつも笑顔で、ロジェは可愛いアンジェリーヌの事が大好きだった。


 いつのころからか、いや父親が再婚してからアンジェリーヌはおとなしくあまり話さなくなった。人の顔色をうかがいながら、愛想笑いを見せる彼女にいら立ちを覚えるようになる。

 義理の母とうまくいっていないのか、自分にできることはないのかと初めの頃は必死で聞いていたように思う。

 しかし何もないというばかりで、相談もしてくれず愚痴も言わずただ暗くなっていく彼女をうっとうしく思い始めたのは確かだった。

 自分の事を信頼してくれないのか、頼りにしてくれないかと苛立ち、そのせいでひどい態度もとっていた自覚はある。

 しかし、彼女の態度にいら立ちを感じてはいても、アンジェリーヌを特別に思っていることには変わりはなかった。

 だからアンジェリーヌが自分にすがろうとしてくれているのを見るとほっとしたものだった。


 それが少し前から態度が一変した。

 以前のアンジェリーナとは全く違う、辛らつな言葉を吐き、本心をぶつけてくる生命力あふれた彼女。あの時はつい興奮して婚約解消と言ってしまったが本気で言ったわけではなかった。

 きっと彼女は慌てて謝り、婚約解消を拒んでくれるとそう思ったのに・・・喜んで承諾をしたのだ。いつの間にアンジェリーヌの心が自分から離れてしまったのだろう。


 だからパーティに誘い、今までの詫びにときちんとエスコートをするつもりだった。それなのに婚約解消を早くしろと言わんばかりの手紙が届き、怪我をしているから参加できないといういかにもな嘘をつかれた。

 それに抗議するために侯爵邸に行くと、冷ややかな態度で怪我をアピールし、自分の事を冷血な人間だと暗に攻めてくる。

 自分に微塵も未練がなさそうなアンジェリーヌに自業自得とはいえひどいショックを受けたのだった。

 

 その彼女が家出をした。

 彼女の両親はその理由や原因を教えてはくれなかった。だからロジェは家出の理由は自分にあると思い込み、それほど自分との婚約が嫌だったのかと焦り、アンジェリーヌを大切にしなかった後悔と自己嫌悪で落ち込んだのだった。

アンヌがロジェとの婚約の事など微塵も気にせずにに、毎日大好きな歌と仲間に囲まれて楽しく暮らしているなど想像もしていないロジェだった。


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