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「今日は一日修行は休みじゃと言ったじゃろう!」
「で、でも!」
私は今、アダドさんの部屋で待機させられている。
ベットの上でモモさんに後ろ抱きにされている。そしてユキが足の上に座ってこちらを見ている。監視をしているのだろうか?試しに頭をなでてやるとニヤニヤしながら私のお腹に縋り付いてくる。
甘えたいだけのようだ。
今、アッシュールさんの部屋ではみんなが飾りつけなどをしているようだ。ジロたちは西の森に遠出している。なぜかは教えてくれなかった。私は、うかつに口を滑らせたことを若干後悔している。
こんなことをしている時間はないのでは、という不安ばかりがあふれてきて軽く体を動かさない?とモモさんに懇願しているがそれは何度も却下されている。
今朝がた、私はあらためてジロにお礼を伝えたのだ。
「ジロ。私を助け出してくれてありがとう。私が12になって洗礼の儀が終わり、殺されそうになったのを助けてもらってから一年がたったの。今こうして生きているのは、ジロのおかげだよ!」
昨晩から考えていた思いを、どうしても伝えておかねば後悔すると思ったから口にした。だがそれを聞いたジロの反応は思いもよらぬものだった。
「マリ姉!13才になったってことだよね?誕生日ってことだよね?」
「えっ?ああ、まあそうだけど?いやそこじゃなくてね?私は今日を生きてるお礼を言っているわけで……」
私は必死に頑張った。お礼を言いたいという気持ちをしっかりと伝えるために!
「モモ!マリ姉が今日誕生日だって!誕生日はお祝いのパーティするんだよ!急がなきゃ間に合わないよ!」
「なるほどの!」
「コガネもクロも!ギンはあとで僕と出かけよう!行きたいとこあるんだ!」
そんな感じで慌ただしく過ぎていく……
気づけば私はモモさんに抱き上げられ、この部屋へと連れられ今に至る。
「今日はマリネエの誕生日なのじゃぞ!ワラワはお主を甘やかすと決めたからの。黙って抱かれておればよいのじゃ!」
「ぐっ」
ちょっと、ときめいてしまったモモさんの強引なセリフ……誕生日ってこんなだっけ?
「そもそもモモさんたちに誕生日という概念ないじゃないですか!」
「そうじゃ。じゃがジロから色々情報はもらったでな!存分に甘やかされるが良い!」
これはもうジロから間違った情報提供が送られているということだろう。たしかに甘やかされるのは嫌いじゃない……嫌いじゃないが今じゃない!そんな気がする!ここは必死で抵抗をしなければ!
「あ、ちょっとモモさん?頭なでないで?お腹ポンポンとか駄目だよ寝ちゃう。いやなにこれ?クロの新作?すごくふわふわしてるけど?肌触りやばくない?まって心地よすぎる!あっユキもジュースありがとう。これ美味しいね?とっておき?誰の?ユズ?天才じゃない?じゃあお礼言わないとね。だめ?いやほんとリラックスしてるよ?大丈夫だから……いやまって?なんだか眠く……ポンポンだめ、だよ?さっき起きたばっか、りで……まっ、ふぁ……」
◆◇◆◇◆
「極上毛皮モフ放題!……あれ?」
私がそんな寝言と共に目を覚ましたのはお昼をかなり過ぎた時間であった。
私は口元に垂れているであろう涎を腕でぬぐうと周りを見渡した。あるのは私を包み込む大き目なあの極上の掛け布団だけ。誰もいないんですけど?
「まだ日が差してるからお昼過ぎぐらいかな?」
再度窓から見える空を確認してそうつぶやいた。モモさんもいないしこれはもう今のうちに……修行をしよう。そう思って小屋を出る。
小屋を出た私を待っていたのはモモさんであった。隣にはコガネさんもいる。二人ともニコニコしているがこれから何が始まるのか若干不安ではある。でもまあ今日は甘やかされるらしいし……大丈夫だろう。
「起きたのじゃな。それではワラワたちがエスコートするからの」
そう言うモモさんに手をひかれる。反対側にはコガネさんがすっと手を差し伸べてくれたので、少し恥ずかしいが握ってみる。これはもう親子だね。どこから見ても両親に連れられる子供だよね。
前世から数えると25才となった私は、頭の中で『私は13才』と何度も繰り返す。いっそ歌でも歌えばふっきれるのか?そう思ったが当然ながら歌い出す勇気はない。
そんな二人につれられいつもの修行場、荒野へとただり着く……いや場所は荒野だったとこだよね?間違いないよね?
私は目の前の整備された地面と、並べられたおしゃれな木製テーブルの上に並ぶ料理と、いつもとはちょっと違う上品な装いに着飾ったみんなを見ていた。私の口は多分ンガっと開いていただろう。
アッシュールさんの小屋で用意してたのでは?
「あっ!みんなーマリ姉がきたよ!」
ジロが私に気づき、声を掛けると一斉に私をみる。そして可愛いドレスのような服に身を包んだユズとユキが、大きな花束を近くのテーブルからとると「誕生日おめでとうございます」と渡される。
「ありがとう。ユズ、ユキ」
花束を受け取りながらお礼を言うと、コガネさんが「ではこの花束はあずかっておこう」といって花束を持って行ってしまった。なんだこれ?
とりあえずまあ良い、と気を取り直してユズとユキの二人を撫でる。そのまま二人と手をつないでテーブルの奥まで歩き出す。そして奥の豪華な椅子の横にはジロが待機していた。
「マリ姉、お誕生日おめでとう」
「ありがとうジロ。でもすごいねこんなに豪華な会場に大変身しちゃってるね。みんなもおしゃれになってとっても素敵」
「みんな頑張って手伝ってくれたんだ!でもね、時間がなくて大きな鼠もアヒルも見つからなくてさ、パレードはできないんだよね!」
「いやそれはちょっと色々だめかな?」
あぶない!それは危険な考えだ。
私は大きな鼠が見つからなくて本当に良かったとホッとする中、ジロにその椅子へとエスコートされた。すぐ近くに作られた台には先ほどの花束がモモさんにより丁寧に飾られていた。これ、結婚式とかじゃないよね?
私はあらぬ妄想に少し顔が熱くなる。
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