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【完結】忌み子だった侯爵家の『捨てら令嬢』は謎スキル『もふり』で獣に『攫わ令嬢』に  作者: 安ころもっち
神の子の力編

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ご覧いただきありがとうございます。

最後に評価など頂けれは嬉しいです。


修行の日々は続く。


そんなある日のこと。部屋にはみんなが集まっていた。アッシュールさんから私の力や邪神についての話をすると言う。アッシュールさん曰く「そろそろこういう話も必要でしょう?」とのこと。


「まずマリちゃん、あなたの力はあらゆるものを眷属にして従える力、というのは聞きましたよね?」

「はい。まあ『あらゆるもの』では無いようですが……」

私の返答に「ふふ」と口元をゆるめるアッシュールさん。絶世の美女の微笑みに思わず口元を緩ませる私。多分音にするならニヘラだろうか。私の美女感は皆無だろう。


「マリちゃんのその力。眷属たちを強化するその力は、ハイエルフの始祖である私のおばあ様も持っていました。残念ながら私も母も、その力は継承できませんでしたが……」

「そう、なんですね」

今更この白いオーラの力が始祖と同じ力と言われても困る。そもそもアッシュールさんも同じ力を使ってるのでは?そう思って聞き返す。


「あの!アッシュールさんも使えてますよね?この白いオーラを……」

私はドキドキしながらその言葉をアッシュールさんに投げかける。だが当の本人は首を横に振る。


「いえ、私のは違うのです。あれは妖精に力を分け与え精霊魔法を発動しやすくするための力なんです。見た目は同じなんですけどね。マリちゃんのように他の人を眷属として従え、強化するものではないのです」

「そう、だったんですね」

私は自分の口の中が乾くのを感じた……


そうか、似てるけど違う力なんだ。


実は私はアッシュールさんの白いオーラを見てから『アッシュールさんは同じ力を使えるんだから、なんなら私の代わりにジロたちと一緒に邪神と……』と思ってしまう時が何度もあった。

でもここでしっかりと違う力と本人から聞いて、少しだけホッとしてしまう自分がいた。

私はここにきてから度々その事を想像してはモヤモヤとしてしまっていたのだ。世界の命運がかかっている状況にも関わらずだ。きっとこれが私の醜い独占欲なのだろう。だけどジロたちと一緒に戦うのは私でありたい。


そんなことを思い出してしまいまた心が沈んでしまう私に、アッシュールさんはゆっくりと話を続ける。


「だからね、マリちゃんがしっかりとその力を使っていれば、きっと何とかなると思うの」

「はい!」

アッシュールさんから「何とかなる」と言われ、少しだけ私の心が落ち着いたのを感じた。


「それと邪神のことなんだけど……」

「邪神の情報があるならぜひ聞きたいです!」

私は、邪神に対しての情報が少なすぎることに不安を感じていたため、アッシュールさんから何か情報がもらえるのならとてもありがたい。


「前回邪神が出現した時は、各国まだそんなに被害が出てないようなのよ。

かなり早い時期に私のおばあ様とその時に女神から祝福を受けた勇者、そして多分だけどそこの聖竜さんが一緒に戦い、そして弱らせたところでおばあ様が封じ込めたと聞いてるのよ。

おそらく数千年前だと思うけど……ギンさんってその時は生まれてなかったのかしら?」

アッシュールさんから急に名指しされキョトンとしているギン。


「うむ、我は当然その時から生きておる、この世界ができてからいるからな!だが昔のことはすでに捨てている。ゆえに正直わからん!」

「そ、そうよね。長命な私たちや竜族などは不要な記憶はどんどん消していきますから。私はおばあ様から邪神のことは覚えておくように言われてましたから……しっかりと、とはいきませんがある程度は記憶しています」

腰に手をあてふんぞり返っていたギンが、少し悔しそうな顔をしている。


「ですが話を聞く限りでは、当時の邪神より今の邪神の方が随分強いように思えるのです」

「そうなんですか?」

「はい。当時の邪神はかなりの魔法を操っていたようですが、剣術や体術などはほとんど使えなかったと聞いています。そして対する三人の中で一番聖竜さん、ギンさんが強かったと聞いてますし……」

「そうなんですね」

当時はギンが一番強かった。それより弱い二人を加えた三人で封じ込めることができた……今回はギンも含めたあの人数で全く敵わなかった。やはり前回より強くなっていたのだろう。

他の理由を考えるとしたらギンが異様に弱くなったとか……ありそうではある。


「ギン、昔と比べると弱くなった?」

「そんなことあるわけなかろう!我は今やマリのおかげで人化も成し遂げたのだ!全盛期以上の力があることは何となく分かる!はっきりと覚えてはおらんがな!」

なぜ覚えていないのに言い切れるのか。


「あと封印の方だけど、正直どのように封じたかについては私も記憶が朧気なのよ……ごめんなさいね」

「はい……」

「でもね、今回は封印じゃなくて徹底的にやって消滅させた方がいいと思うの。今後のためにもね」

「そ、そうですね!きっとそうです!」

今は封印の魔法か何かを覚える余裕はない。徹底的に打ちのめして消滅させるしかない!私は拳を強く握りしめた。


「とにかく万全の体制で臨むというのは変わりません。私も一緒に戦いますがどうしてもマリちゃんとみんなの力が必要です。だからマリちゃん、頑張りましょうね」

「はい!」

邪神は昔より強くなっている。そしてこの前よりもさらに強くなってくるのだろう。それは決定事項だ。逃げも隠れもできないのだから邪神がくるまで努力をやめる事はできない。


ジロたちの顔を見る。

みんな私のことを見ている。みんなのその瞳は『大丈夫』……そう訴えかけている気がした。


みんなが居るならきっと頑張れる。私は新たな決意を胸に明日からまた修行に打ち込むことを心に強く誓った。アッシュールさんの話は私にそう思い直す機会をくれた。そんな気がした。


そしてまた今日が終わっていく。

お読みいただきありがとうございます。明日も17時更新となります。

期待してる! もっと読みたい! 読んでやってもいいよ!

そんな方は下の☆☆☆☆☆を押してい頂けると嬉しいです!

もちろんブクマやコメント、レビューなどもいただけると飛び上がって喜びます。

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