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最後に評価など頂けれは嬉しいです。
「も、もう一回やってみない?」
「それより次に行った方がいいわね。一通りやって良いものをいくつか反復イメージの方が良いと思うわ」
また私の言葉はアッシュールさんに打ち消されるのだった。
そんな、アッシュールさんの指摘もあってみんなが考えた合体技や、アッシュールさん、シンさん、アダドさんの提案もあったりで次から次へと新しい組み合わせが試されていく。
コガネさんが発生させた霧とユキの雷撃がほとばしる。モモさんの茨がドーム状に中央を包んで収束した後にレオの岩の棘がドカリと突き抜ける。ジロの炎にクロの風を合わせより大きな炎となって渦を巻く。
そんな感じで一通りやってみた。地面はもちろん原型をとどめていない大きな穴倉が何度もできたが、その都度レオが適度に整地していた。
ダイとユズはコガネさんモモさんが参加した攻撃にもれなく参加して、微力ながらもその攻撃性を高めているようだ。親子の共同作業を見るのはとても目の保養になる。
一番の攻撃と言えば当然であろうが全員攻撃であった。
皆が一つの地点を目安に一斉攻撃……この世の終わりかと思った。何か黒いプラズマ?そんなバチバチとした何かが生成され、最後にはギュンという意味不明な音を立てて消えた。私たちは何を生成してしまったのだろうか?
それから少し別の方法で意思の疎通を練習した。
いわゆるイメージの共有をはっきりとしたイメージではなく、全体的なイメージとタイミング的なものをぼんやりと想像して共有する方法だった。普段一緒にいた私たちはそれの方が効率が良いらしい。
私のちょっとしたイメージを共有するだけでみんな分かってくれる。私は組み合わせと効果を思い浮かべてタイミングを合わせるだけ。今のところはそれが一番可能性が見える戦い方に思えた。
一日試した結果、全員攻撃は最後の手段ということになった。私が全員に同じイメージを送ってタイミングを合わせるのはかなりつらい。というか無理だった。最初試した時は全員でカウントダウンして合わせてたからね……
いずれは私の合図で一斉攻撃、ってのができればいいけど。実際あとどれぐらいで邪神はやってくるのか、少なくとも2~3年は来ないでほしいな……多分もっと早いんだろうけど。
悔しいけれど邪神が言うように死に物狂いでやらなきゃなと思った。
いつかは私がしっかりとしたイメージを絶妙なタイミングで繰り出し、みんなを操って邪神に反撃する間を与えず……そんな戦いができるようになればと思っているけどね。
私は夕食の前に外に即席で作ったお風呂に女性陣全員で入った。ちなみにお風呂も三週間ぶりだった。毎日体を拭くだけだったからね。
そしてそこは桃源郷の様だった。コアラのようにくっつくユキを従えたまま、キャーキャーいいながら洗いっこする私たち。アッシュールさんのはもう……モモさん越えでした。さすがハイエルフ!
ちょっとだけ長湯を終え湯船から上がった私は、板の間の上で火と風の妖精ちゃんにお願いして全自動全身乾燥機を作り出し、心地よい風で水分を飛ばしていた。妖精ちゃんめっちゃ便利。
リクエストもあってモモさんにも同じように風を送る。ユキとユズは、アッシュールさんの作った台風のような風に笑いながら飛び込んでいくという遊びを繰り返していた。風邪ひかなきゃいいけど。
「はー、修行の成果が少しだけど実感できたから、ちょっと安心したなー。まだまだ前途多難!なんだけどね」
お風呂から上がった私は夕飯の準備が済んでいるであろう広場に戻りながらそう口にする。
「そうじゃの。あのオーラを継続状態で朝からずっとじゃろ?やはりあの白いオーラは魔力とも根本的に違うものなのじゃな」
「そうなんだよね。私の集中が続く限り途切れないからね。それが証明できたようで良かった」
アッシュールさんと二人で修業していた時にはそれこそ一日いっぱい体全体に薄い膜を張ることを続けていた。最後の方はその状態で糸状のオーラを作り出し、部屋の物をめがけて操作することもやっていた。
多分大丈夫、と思っていたが実際は不安もあったのだ。
「モモさんから見て全体攻撃なら邪神倒せそう?」
「どうじゃろうな……当たれば前回同様の力であればあの者を消滅させることもでてきたじゃろうが、あ奴はスキルを食うのじゃろ?どれだけ強くなっているか……恐ろしいことじゃ」
私は、モモさんの予想に身震いしてしまった。そうなんだよね、邪神はスキルを奪える。どれだけの数のスキルを持っているか想像もできない。できればなるべく長い期間、眠っててほしい。その間に私たちはもっと強くなりたい。
「まあ悩んでいても仕方ないじゃろう。ワラワ達は確実に強くなっておる。それにアッシュールたちも参戦するからの……あ奴らは本当に化け物じゃ……」
私は話を聞いただけだが、相当コテンパンにされたようだ。私が瞑想で迷走中の間に少し外へと出かけたりもしていたが、まさかその間にみんなとやりあっていたとは……
一人で全員を振り回していたらしい。いつも笑顔で汗一つかかずに戻ってきてたからね……分かるわけがない。
「もうあの三人に任せたらいいんじゃない?」
「どうじゃろうな。それで大丈夫であればワラワ達の修行に付き合ったりはしないと思うのじゃが……楽しんでいる節もあるからの……何とも言えん」
「案外楽に倒せたらいいのにね」
「そうじゃな」
私は不安な気持ちを打ち消すよう気合を入れ直し、夕食が準備されているであろう場所へとたどり着く。今日も元気だご飯がうまい!とにかく修行あるのみだ!
私は夕食を次々にお腹の中に流し込む作業に没頭していった。
肉野菜炒め美味しいです。
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