83
ご覧いただきありがとうございます。
最後に評価など頂けれは嬉しいです。
その夜、私はジロと二人でアダドさんの使っていた小屋に二人きりになっている……どうしてこうなった?
モモさんたち女性陣は私がしばらく暮らしていたアッシュールさんの小屋に泊まるという。
男性陣はシンさんの方にまとめて……とのこと。
そう言われて「なんで?」と頭にハテナを浮かべている間に、笑顔を浮かべるアッシュールさんによって私はこの小屋へと運ばれてきたのだ。
アッシュールさんが帰り際に耳元で「愛の力よ」と言われ、私は脳内であらぬ妄想がどんどんあふれてきたのを必死でかき消す作業に汗を流していた。夜なのに熱いねこの小屋……
「ジ、ジロ……この部屋結構狭いね!ここでみんなで寝てたんでしょ?狭くなかった?」
「みんな結構外で寝てたりしたよ」
「そ、そうなんだ……」
暫くぶりなこともあり、もうどうして良いのか分からないまま思考がぐるぐると回る。が、そんな私は目の前が塞がれた。ジロの温かい腕につつまれ胸に抱かれる私……
「うわっぷ」
「マリ姉。寂しかった?」
温かい胸に抱きしめられながらのジロの優しい言葉……
私は、ドキドキ高鳴っていた胸が少しだけ落ち着いてくるのを感じた。そして「寂しかった」と声に出したとたんに、涙がどんどんあふれていった。いつもとは逆に頭を撫でられる。
何時もは私が撫でる方なのに、こういう時は決まって逆にジロに撫でられる私。
「大丈夫!邪神が来てもマリ姉は僕が守る!そして絶対に倒して……みんな一緒に、幸せに暮らそう」
私はさらに涙が止まらなくなり……
気づけば朝になっていた。
夢を見ていた。みんなであの森の中の拠点で幸せに暮らす夢を……みんなが笑って楽しく過ごす日々を……
そして私は、両隣にユズとユキが寝ているのを確認してホッとする。
昨日のことを思い出していた私は、もしかしたらあのまま抱きしめられながら眠り、今もジロが隣に寝てるのかも?と思ってしまったがそうではなった。安心した。
……少し残念ではある。
私は、両腕が二人の枕に使われているため動けないのを良いことに、再び惰眠を貪った。動けないのだから仕方がないよね。
そして次に目を覚ました時には、正座で座るモモさんの胸に横抱きにされていた。気分は赤子である。バブー。
「お、おはようモモさん」
「うむ。おはようマリネエ。良く寝れたようじゃな」
そう言いながらもモモさんが私を甘やかす手は止めてくれない……お腹ポンポンされたらまた寝てしまうけど?
「モモさん。私はどうしてこうなってるんですか?」
「マリネエを起こしに来たのじゃが、気持ちよさそうにユズたちと眠っておったからの」
いや説明になってない気がするポンポンやめて。
「もう起きようかな……」
「そうじゃな」
いやポンポンやめ……
「モモさん?」
「よし」
その言葉でやっと私を抱いたまま立ち上がりゆっくりと地面に降ろされる。いつかのようにまた後ろ抱きにされたまま体を弄られていく私……はい、着替え終わりました。
……という体験をしつつ、やっと頭も目覚め外を見ると、もうすでにみんな朝食を終えたようで体を動かし始めていた。一緒に寝ていたはずのユズとユキもいる。
小屋の外にはもちろんジロもすでに体を動かし汗をながしていたのだが、私を見つけるとこちらへ走ってくる。しっぽはフリフリと揺れている。もちろんそのまま高速の餌付けを施される私。
サンドイッチとスープ美味しいです。
食事を終えた私はジロにそろそろ白いオーラとの連携を、と伝え集まってもらったのだが……待って?今更気付いた私。モモさん……なんで気付かなかったんだろうね。
念のため左目を輝かせ確認をする。モモさんが9尾になってる!
「おめでとうモモさん!九尾!九尾になったんだね!お祝いだね!お肉だね!」
「お主はまたなぜそんなテンションになるのじゃ!」
嬉しくて抱き着いた私にモモさんはぐにぐにと頬をつまみ戸惑っていたように見える。
「いたたた。いやね、九尾って妖狐の最上級でしょ?だからめでたいなって……」
あれ?私の言葉に首を傾げるモモさん。とっても可愛いです。
「何を言っておるのじゃ?コガネなど今回の修行の成果で12尾にもなっておるじゃろ。確かに9尾は特別と言えば特別じゃが……」
「へ?」
何を言ってるのモモさん……12尾ってそんなバカな……私は念のためであるが目を細めコガネさんの後ろに揺れる尾を確認する。やっぱり九尾ですね、素敵ですありがとうございます。
少し横を向いて確認しやすくしてくれているコガネさんの仕草にキュンときてしまう。
念のためと左目を輝かせるとあ「あっれぇ?」12尾ってなってますね……どういうこと?
私は混乱しながら、まだ尻尾をゆらゆらさせているコガネさんの尾を見る。あっれれれぇ?私は手で両目をこする。見間違いかな?私は詳細な確認が必要だと思いコガネさんに近づいた。
そして良く見るとコガネさんのしっぽが3本だけ先が二又に分かれていた……
私は顔を上げてコガネさんのちょっと得意げな笑顔を見る。
「とても素敵なものを見せていただきありがとうございます」
ペコリとお辞儀をした私に、コガネさんは「ふふ」と笑って返してくれた。まだまだ伸びしろがあるのですね。
そして私に抱き着いてきたダイとユズ、ユキのお子様トリオが「フフーン」と言いながら得意げな表情で尻尾をふりふりしていた……5本!ダイとユズが5本になったのを確認した私は、二人の頭を両手を使って撫でまわした。
「お姉様!私も見てください!」
お読みいただきありがとうございます。明日も17時更新となります。
期待してる! もっと読みたい! 読んでやってもいいよ!
そんな方は下の☆☆☆☆☆を押してい頂けると嬉しいです!
もちろんブクマやコメント、レビューなどもいただけると飛び上がって喜びます。
読者様のお力が必要なんです!




