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私たちはギンに乗って北の山まで飛んでいく。
すぐに分かると言うことだったが、眼下に広がるあの山の中にはそれらしい場所が見当たらない……どこだろうか?
所々岩がむき出しになっているような森。正直簡単に見つかるだろうと軽く考えていたが、北の方の森、と言われても上空から見渡せば北の方は全てその森であった。範囲が広すぎで困る。
もしかしての可能性にかけモモさんに聞いてみるが当然分かるはずもなく、一度エルフの里に戻ろうと思っていた。
「ん?何あれ……」
私が下を見ていると、キラキラとした光の反射がいくつも見えたので、目を凝らしてじっと見る。
「あれは、妖精ちゃん?」
それはすぐに正解だと分かる。こちらにすごい勢いで20匹程度の妖精ちゃんが周りに集まってきていた。太陽に反射してキラキラと光らせながら、私たちの周りをぐるぐる回る妖精ちゃんたち。
そしてその小さな手が、一方を指差してどうやら何かを教えてくれるようだった。
まあ当然のようにハイエルフの居場所なんだろうな?とは思っているが、念のためモモさんにも聞いてみる。
「モモさん、妖精ちゃんたちが周りに集まってきてて、あっちの方を指差してるんですけど、これってやっぱりハイエルフの場所を教えてくれてるんですよね?」
「なるほどの。じゃが妖精は結構気まぐれでいたずら好きともきかのじゃ。まあ大丈夫じゃとは思うがの。一応何があっても良いように注意はしておいて損はないかもしれるの」
モモさんのその声にうなずき、ギンに妖精ちゃんの指し示す方向を教える。
そして妖精ちゃんの案内通りの場所にあった少し開けた森の一角、多分あれかとその場所を目指して高度を下げてゆく。すると小さな岩場のそばに木が編みこまれた天然のロッジのような家が3軒ほどあるのが見えた。
上空からだと木の影にかくれちゃって見えないけれど、高度を下げればそれなりに分かりやすい場所ではあった。多分これがハイエルフが住んでいる場所なのだろう。
「よし!降りよう」
ギンに声を掛けその開けた場所へと降り立った。
私たちが降りると、周りにはたくさんの妖精ちゃんたちが集まってきた。そして中央の一番大きな家から、三人のエルフが出てきた。三人とも綺麗な……女性だとは思うのだけど……
「こ、こんにちは!突然失礼します!」
「お待ちしていましたよ」
緊張しながら声を掛けた私に、真ん中の綺麗な女性が返事を返してくれた。良かったやっぱり女性だった。あんなに綺麗な見た目で男性だったらどうしようかと思った。というか、待ってたの?
「あの、待ってた?のですか?」
「はい。風の精霊が騒いでましたので……」
妖精ちゃんがやっとはっきり見えたばかり、と言うのに今度は精霊の話?と戸惑う私。
「私は見ての通りのハイエルフ。アッシュール・エア・イシュタルと申します。アッシュールとお呼びください。隣の二人は息子たちです」
「シン・エア・イシュタルだ。よろしく神の子」
「アダド・エア・イシュタルです。待ってましたよ神の子」
なるほど……この超綺麗な両隣のハイエルフは息子……そして神の子って……
「マリアントです。マリで良いです。神の子は恥ずかしいのでやめてほしいです」
「分かりましたわ神の子」
いや分かってない……
「ふふふ。冗談です」
「くっ」
「マリちゃん、でいいのですか?」
「はい」
遊ばれてたのか……さすがはハイエルフと言ったところか……
遊ばれてしまった事で生じた心の波を、モモさんの腕に絡みつくことで落ち着けていると、アッシュールさんはまた「ふふふ」と上品に笑って私を視ていた。そう、視ていたのだ。左目に金色のオーラが……
私も鑑定眼を使った時はこうなっていたのだろう。試しに私も、と鑑定眼を使ってみる。
「いたっ!」
目に痛みが走って悲鳴を上げた。
「駄目ですよ?女性のプライバシーを覗いては。やけどしちゃいますよ?」
「は、はは」
これがレベルの差というやつ?というか私の目は女神の目じゃなかったのか。熟練のハイエルフは神の目すら超えると……まあ残念女神っぽかったからね……
「できれば私のことも覗かないでいただけると嬉しいのですが」
「大丈夫です。もう終わりましたから」
私のお願いを聞き入れる気がないアッシュールさんは、左目が元に戻っているのでどうやら鑑定は終わったのだろう。まあ鑑定で見れる情報なんてたかが知れてるけどね……
「さて、遊びはこのぐらいにして……修行ですね?修行をしにきたのですね?修行、するんでしょ?」
「えっいや、あの……そうはそうなんですけど」
アッシュールさんは急に凄いテンションで私に詰め寄り両手で私の手を握る。なんでこんなに興奮しているんだろう。任せていいのか心配になってくる。
「では、マリちゃんはこちらへ……あと、皆さまは……シン、アダド、よろしくね」
「「はい」」
そういって私はさっき三人が出てきた家へと、アッシュールさんに強引に手を引かれて連れ込まれた。
「数百年ぶりだわーここに誰かくるなんてー」
笑顔で私の手をつかんでいるその力は強い。ちょっと痛いぐらいなのでもう少し手加減してほしいです。お願いします。
後ろでは二人のハイエルフがみんなに声を掛けていたので、どうやらそっちはそっちで、と言うことなのだろうか。ジロは不安そうな顔でこちらを見ている。
ちょっと助けてほしいとお願いしたい気もするが、多分大丈夫だと自分に言い聞かせ、我慢して前を向いた。
「はい!ではそこに座って。他の子たちは息子に修行を付けてもらうので心配しなくて大丈夫ですよ」
「はい。よろしくお願いします」
私は全てをあきらめペコリとお辞儀した。礼儀は大事。
そして始まった修行。2時間ほどたった私は今、ゆっくりと椅子に座ったままお茶している。そしてアッシュールさんの過去話を延々聞かされている。
途中、トイレに行きたいと言うと、部屋の中にあるトイレを教えてもらったが「しばらくこの家から出ちゃだめよ?出たら、3日は徹夜してもらうからね?」と脅された。どういうことだ……
早くもジロたちに会いたい。
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