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「本来の、力?」
困惑する私。
『そうよ!ハイエルフの、神の子としての力を目覚めさせるのね!』
「待って、それは困る」
出たよハイエルフ……やっぱり私は人じゃなかったか……そして神の子って私のことだったか……まあ邪神がそう言ってたし?ここに呼ばれたからそうなんだろうなって程度には思ってたけど……
私はハイエルフ、人とは違う……ん?でも待って?ジロもみんなも魔物じゃん!獣人だって竜人だって別に変らなくない?ハイエルフだって同じじゃない?何よりハイエルフって長生きじゃない?ずっとみんなと生きていけるかも!
……あれ?でもハイエルフって何年ぐらい生きるんだろう?
『数千年ぐらいじゃない?知らんけど』
「いやえっ?まあそうだよね……数千年…それ私の寿命ってことでいいんだよね?ちょっと、長いかなー」
『そうだけど、多分数年以内には確実にあのクソ野郎が来るから、それに負けたらあんたもこの世界も終わるけどね……』
「無理ゲー過ぎない?」
長く生きようが世界が終われば意味はない。その前に私は死ぬのだろう。
『頼んだわよ?私の世界を守って?この世界が消滅したら……姉ちゃんたちがドヤってくるんだから!それだけは絶対にいやっ!』
なんだか擦り寄ってくる女神……知らんがな……
『冷たいのね。でもまずはハイエルフに会いに行くといいわ。場所はもうわかるわね?そしてもふりの本当の力に慣れなさい!あんたのそれは、全ての意思のあるものに通用する力よ!』
「全ての?」
『そう。全てを眷属にすることもできる力!まああんたに敬意を持たないものは眷属にできないけどね!そこまで万能じゃないわ!』
「じゃあ力ずくで従えるものじゃないのね?」
『残念ながらそうよ!』
「いや逆に良かった。そんな無理やり何でもできちゃう力なんて、私も困る……」
目の前の女神はため息をついた。
『あんたねー、どうせならこの世のすべてを従えて見せる!ぐらい言いなさいよ。せっかく与えた力なのに……』
「興味ないです重すぎます!それにどうせ寄せ集めの眷属じゃ、邪神には意味ないでしょ?」
『まあそうだけど……眷属が増えるほどあんたの力も上がるのよ?……まあ100人の少しの敬意よりも、一人の特別な思いの方がより大きく強化されるから、いいのかしら?』
何やら考え込む女神を見ながら、その言葉の意味を考えてみる。
みんなともっと仲良くなれば……私ももっと強くなれる?
「た、試しの話ですけど、いや試しの、ですよ?」
『なにエッチなこと考えてるのよマセガキが!』
「ひゃふ」
『そうよ!深く愛し合うほど強くなれるわよ?尊敬も愛情も、欲望でもそれは同じだからね!』
私はつい想像してしまったのだ。ジロと深く結ばれたらどうなるのかを……まさか言い淀んでいる間に心を読まれ、突っ込まれるとは思わなかったので変な声が出た……私は恥ずかしさで「もうだめ」と両手で顔を覆う。
「心を、読まないでください……」
『仕方ないじゃない!私は超絶激カワ女神アトちゃんよ!あんたの心が勝手にだだ漏れで流れ込んでくるんだから!』
「うう……自分のこと激カワとか痛い……」
『くっ……まあそういうことだからよろしく頼むわね。あんたに全てがかかってるんだから!この際ジロでもクロでもなんでもいいから、手当たり次第でやっちゃいなさい!』
「ちょ、ちょっと!もうっ!」
口元を抑えながら嫌な笑いをする女神に抗議をしようと声を上げるが、自分でも想像していた手前、なんとも返答しずらい気持ちが先行してまた言い淀む。
『とにかくハイエルフのところは絶対行きなさい。あと眷属とは仲良くね……お願いします』
「あ、え?はい……」
急に真面目な顔でぺこりとお辞儀をする少女な女神に困惑しながら、私も深く頭を下げた。
そして急に体が落下する感覚になり、慌てて悲鳴をあげると……私は体を起こして周りを確認した。
「マリ姉!マリ姉が起きた!」
私は少しぼーっとする意識の中、見慣れた拠点のいつもの部屋にいることを確認した。布団から上半身を起こした体勢の私。そんな私の胸にはジロが抱き着いてくる。そうか……また心配かけちゃったのか……
そう思いながらジロを優しく撫でる。
周りにはみんないてくれる。レオとダイ、ユズにユキがそばに来て体を寄せる。モモさんやクロ、コガネさんにギンとエンもこちらも心配そうに見ていた。
大丈夫……胸の中のジロの温かみを感じても……ドキドキなんて……ドキドキなんてし、ない……そんな私の心を無視して、胸の中のジロは顔を上げ、なんとも素敵な笑顔を見せた。
「良かった!目が覚めぶっ!」
いや無理!無理です!そんな少年のような笑顔を間近で見たら心臓が死んでしまいます!女神があんなことを言うからぁ!余計意識してしまいますぅ!
心臓が激しく危険信号を送りつけるので、くっつくジロを両手で剥がしにかかる私。私の手につぶされたジロの顔が、なんだかとっても面白くなっっていたので、少し心の平静を取り戻していく。
それでも両手に挟まれたジロに、私がまだドキドキするのは、きっとあの女神のせいだと思う。だから仕方がないということにしておこう。
そして私は、少しだけ冷静さを取り戻してから、モモさんに私が寝ている間のことを尋ねるのだった。
まさか今回も、10日とか寝てないよね?そんな恐ろしい想像をしながら……
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