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「ここは?」
私は、意識を手放したというか強制的に眠らされたような感覚に陥り、次の瞬間この真っ白い空間に立っていた。
鈍い私でも分かる。
これはあれだ。異世界転生する時とか出てくるやつだ……
『そうよ!よく分かったわね!』
そんな声が突然聞こえたので私は一瞬ビクッとしてしまう。
これは……夢かもしれないと思い直す私。軽い調子で話しかけてくる目の前に出現した小さい女の子。これが神だというなら、やっぱりこれは私の願望が見せた『異世界転生の始まりだ!いやっほー!』な夢かも……
『何がいやっほー!よ、夢じゃないわ!私は女神、女神アトロポスちゃんです!かの有名な女神三姉妹の末っ子!一番人気のアトちゃんな・ん・で・す!』
「あの、私の頭の中を覗かないでくれますか?」
そう苦言を呈しながらその自称女神を見る。何やら左手を上げVサインを作っている幼女……可愛いけどアホっぽい……
『失礼な!アホは余計だし!そもそも私が真理をこの世界に呼んだんだから!ジロも一緒にね!感謝してほしいのよね!』
「そ、それはありがとうございます。あれ?でも邪神がクソ女神から奪ったとかなんとか言ってたような……」
女神の動きがとまる。
『そ、それは素直にごめんなさい』
「いえ。どういたしまして」
ペコリと頭を下げるその女神に私もお辞儀で返す。礼儀は大事だよね。
『そもそも、本当は西側の帝国に器を用意してたのよ。それを邪神のクソ野郎が横入りしやがって!』
「そ、その話詳しく!」
女神らしくなく憎しみのこもった顔で地団駄を踏むその幼女神に、詳しく話しを聞きたくて懇願した私。
『仕方ないわね!』
そうして語り始めた女神。その話に私は混乱していた。話のスケールが大きすぎるのだ。異世界転生あるあるなのだが、私にこの異世界の命運を預けられても困る……
私は元々、軍国主義で争いの絶えない西のオケアノス帝国のゼピュロス侯爵家という家に生まれる予定だったとか……もちろん一人娘として……
そしてジロも愛犬としてその家の飼われる予定の犬に転生して、いずれはフェンリルとして国を守る神として降臨する予定だったようだ。
そして私には鑑定、アイテムボックス、もふりという3つのスキルが付与されており、それを使って目に入るすべてを撫でまわし、平和な世界を構築しよう!と言うのがこの女神の計画だったらしい。
全てを撫でまわし、というところで私はガクリとうなだれた。
それは、この世界の全てのおっさんも含まれるのだろうか……なんだそのマジキチな世界は……そう心に思った私に女神は強く反論したのだが……
『そもそも、もふりはあなた自身の力なのよ!もっふもふな獣を思う存分堪能したい!そんな本能からくる思いが詰まったスキルなんだから!これだけは私が付与したわけじゃないから、だから奪われなかったのよ!』
そう言い放った女神。
だが、そもそもなぜ奪われるようになったのか……
あの日ジロと一緒に命をなくした私の魂を、女神は哀れに思って拾い上げ、それならば、と理想の世界を作るためにスキルを付与して予定の器に飛ばしたのだと言う。
そして邪神がそこに横入り、ほぼ同時刻に命を落としたあの男の魂を、無理やりそこにねじ込まれたということらしい。
『迂闊だった……』
そう言いながら顎に指をあてがったあと、舌をペロリと出す女神を殴りたいと思った私は正常だと思う。
そして私の二つのスキルも奪い去り、あの男の魂は予定していた家の長男として、そして肝心の私の魂は予定もしていないあの家へと飛ばされ……あとは双子として生まれた私が体験した通りの人生を歩むことになる。
つまりは……
「全部あんたのせいじゃない!」
『違うわよ!』
肩を震わせ否定する女神……なんだか知らないけど少しだけ泣きそうな女神。だけど、泣きたいのは私じゃない?まあその小さな体に庇護欲をそそられるけど……
『やめてよ!同情なんていらないわ!』
「ど、同情じゃないけど……」
私は女神の頭に伸ばした手をひっこめた。
『とにかく!このままじゃあの野郎のせいで私の世界が壊されちゃうの!だからお願いよ!あなた達はもっと強くなってよ!』
なんだか目を潤ませているその姿にお姉ちゃんが何とかしてあげる。という気持ちが湧いてくるが多分これはこの女神の手のひらの上なのだろうか?いやあの涙は本物だ!と信じたい。
「そう言えば……なんであの男は私のこともジロのことも分かったんですか?ジロは人化してたし、私も前世とは似ても似つかないこんなだし……」
『それはあれよ!あの男だってあんなちっちゃい少年じゃなかったでしょ?でもあんたもあの男だって分かったでしょ?一度魂が接触してるからね……魂で少しだけつながってるって感じ?』
「いやすぎる……」
あんな男と魂で繋がっていると言われ、私は全身に鳥肌が立つ感覚を覚えた。
「でも、あんなのにどうやって勝つって言うんですか?邪神になってあの男が戦ってたより絶対強くなってますよね?ただでさえ敵わなかったのに……」
私の言葉に、片手で目をこすりながら『OKOK大丈夫』と反対の手を前に突き出す女神。
『私の力を少しだけあげるわ!本来用意してたのはあっちにもってかれちゃったけど……私の本来の力を分け与えるから。あっ、でもあんたが死んだらちゃんと返してもらうからね!』
「あっえ?ちょっとどういう……いたたたた!」
私は女神の言葉を聞きながら光る手のひらをかざされ……目が!目がぁぁーー!
私は、痛む左目を押さえてジタバタと床を転がっていた。痛い!目が焼ける!
『ねえちょっと!大丈夫?もう痛くないはずだけど……』
「あっホントだ。治まってきた。いやなにこれ!どういうこと?」
『鑑定眼。あいつに奪われたものより強力よ。それがあれば相手の能力も全て分かるわ!そしてあいつからは視えないようになる。当然よね!私が直接貸した高貴な力なんだから!』
「そ、それはどうも……でもそれだけじゃ勝てそうにないです……」
どう考えても相手の力が分かるだけで埋まる差とは、到底感じられなかった。
『あとは本来の力を取り戻すことね!』
「本来の、力?」
私は、女神が私を指差しながら言った言葉に、ただただ困惑するだけだった。
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