表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【完結】忌み子だった侯爵家の『捨てら令嬢』は謎スキル『もふり』で獣に『攫わ令嬢』に  作者: 安ころもっち
安息と混沌の神編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

72/108

72

ご覧いただきありがとうございます。

最後に評価など頂けれは嬉しいです。


私の中の黒い部分が広がっていく。

いつかのように全身から黒いオーラが溢れ出る。そしてジロへそれが集まって……全身に強い黒を纏ったジロが飛び起きる。拳に黒い炎を纏わせ男の刀を吹き飛ばす。


「な、なんだよ!急にイキりやがって!」

その男の声にジロは何も言わない。男に向かって何度も拳を振るう。男は光の盾と刀を使って避けたり防いだりしている。これなら行ける!私は肩をハアハア震わせながら全身モモさんに預ける。

もう立っているのもつらい。全身から魔力が引き抜かれている感覚。まだ意識は手放せない。このままその男を倒すまで……


「お前か!クソガキッ!」

突然男が私を見て叫ぶ!その声に全身が硬直する。後ろのモモさんやダイ、ユズにユキも唸るように苦痛を漏らす。何かのスキルなのか私は力なく倒れ込んだ。支えるモモさんも座り込んでしまったから。

そしてジロへと送っていた黒いオーラが途切れると、ジロはその場に糸の切れた人形のように倒れ込む。


「だめ……やめて……」

私はそう口にするが、それは男には届かないであろう小さな声であった。

そして男は、動かないジロのすぐそばに立ち、ニヤリとした笑みを浮かべた。吹き飛ばされた刀の代わりに、新たに出した長剣を握ったその手をふり上げた。


……高々とその手を上げたのだが、その手は一向に動かない。


そして男はガクガクと体を震わせる。口からが涎が垂れ白目を剥いているようだ……何が起こっている?みんなの攻撃が今になって効いてきた?力を使いすぎた反動?考えても分からないが今がチャンスに違いない。

そう思った私は再び手に力を籠める。少しでもジロを回復させることができればあの男を倒せる!そう思っていたのに……手にオーラどころが魔力すら集まらない。絞り出しても出てこない力……

呼吸を整えれば少しずつ魔力が回復しているのは感じているのになぜ……


そんな私をあざ笑うように、再び男は動き出す。


「よくやった……良い、非常に良い。これならあるいは……光栄に思え、お前の体、喰ってやるよ」

『なぜだ!なぜ俺の邪魔をする!この……邪神が!返せ!俺の体だ!』

私は今、何を見ているのだろう。私は男が一人芝居を始めたのをだまって見ているしかなかった。


「何を言う。この体は元々私が選んだカラダだ、いや違ったな。あのクソ女神が選んだカラダか、そこにお前を借り住まいさせていただけだ。それを返してもらった。だたそれだけだ。充分楽しんだだろ?」

『クソが!何のために今まで我慢してきたと思ってる!すべては今、そいつを殺して俺は自由に生きる!そう言ってたじゃねーか!』

「そうだ。自由に生きただろ?もう十分だ。この体は良く育ってくれた。後は黙って喰われればいい。俺が大切に使ってやるよ」

『ぐっ!このっ!こいつ……やめろっ、俺が、おれ、が……』

そして沈黙の時間が生まれる。


男は何かを確かめるように体を動かし頭をひねる。


「うむ。まだちょっと制御がうまくいかないな。まあ時期になれるだろう」

そして周りの様子をたしかめ、私に目をむけた。モモさんが這いずるように私を抱きかかえる茨の盾を広く作り出す。

バリバリと音がしたのでユキも雷撃を飛ばしたのかもしれない。だが目の前の茨はバキバキと素手て掻きわけられ……その男と目があった。私の意識が恐怖に染まる。


「お前が神の子……まだ育ち切ってはいないな。なるほど。そうか、まだ早いか。もう少ししたらあるいわ……」

私のすべてを見透かすように見た後、男は座り込み何かを考えているようだった。


「マリネエ……逃げるでな。なんとか体を動かすのじゃ……ワラワもうまく体が動かんからの。それでも……ここに居るよりましじゃ……」

「モモさん……わかった」

私は何とか動くようになってきた口で返事を返す。確かに今その男は黙って座り込んでいる。チャンスとは思わないけど何もしないのならこのまま殺されるだろう。あの男は私たちを食うとも言っていた。


「でも、ジロたちも一緒じゃなきゃ嫌。少しまって。すぐに魔力を回復させて、みんなを回復させるから……」

「しかしの……この場はおぬしだけでも回復して逃げる方が先決じゃろ……」

私の願いも却下され、モモさんに引きずるように動き出す。


「おお。すまんかったな。暇を持て余したのだろう」

「ひっ」

その言葉に悲鳴が漏れる。


「よし、決めた!まずは私は暫くこの体になれるようにどこぞに篭る。そしたらお前たちは力を付けろ。それこそ死に物狂いでな!」

「何を言っておるのじゃ!」

その男の言葉にモモさんが睨みつけながら叫ぶ。


「うるさいな狐風情が!俺は今、そこの神の子と話している。『だまれ』」

「ぐっ」

「やめてっ!」

その男の言葉にモモさんが苦しそうに顔をゆがめた。私はモモさんを庇うように動かない体を前へと押しだそうと必死に動かした。


「俺はこの世に落ちた神、邪神ケーオス。覚えておけ?次に俺が動き出した時、この世界を壊す。必死で止めろ。そのお前たちを俺は喰らって……そしてあのクソ女神も食い殺す!」

「邪神……」

「最後に笑うのは……この俺様だ!」

世界を壊すと宣言したその男、ケーオスと名乗った邪神は、高笑いを上げながら空へと浮かび、西の空へとあっという間に飛び、消えていった。


私は、周囲に漂っていた思い空気が軽くなるのを感じ、そのまま意識を手放した。

お読みいただきありがとうございます。明日も17時更新となります。

期待してる! もっと読みたい! 読んでやってもいいよ!

そんな方は下の☆☆☆☆☆を押してい頂けると嬉しいです!

もちろんブクマやコメント、レビューなどもいただけると飛び上がって喜びます。

読者様のお力が必要なんです!


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ