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ご覧いただきありがとうございます。本日二回目。
最後に評価など頂けれは嬉しいです。
今日もみんなで仲良くお昼ご飯。
天気も良いし心地よい暖かさ。
私は浮かれて前世の記憶にある歌を鼻歌交じりに歌っていた。所々覚えていない歌詞をフフンとごまかしながら……
突然、ジロたちが今までにないほどの動きで私の周りに集まってきた。びっくりしながらもジロたちが威嚇する様な表情で見ている方を見る。何も見えないけど……
そして次の瞬間、それは落ちてきた。
ドシンという大きな音とともに地面へ落ちる。
空から降ってきた……人?
「ふぅ。なんだここ、全身がピリピリするな。まあいい……本当にいた!やっと会えたな、犬っころ……」
その男を見た瞬間、私は心の底から凍り付く気がした。
「なん、で……」
モモさんが私を後ろ抱きにして落ち着かせようとしてくれる。ユキとダイ、ユズが横からくっついてくる。少しだけ心が安らぐ気もしたが、それでもまだ心臓が激しく騒いでいる。
あの日、ジロと私を殺したあの男……忘れていたけど思い出す。思い出したあの顔に、あの日の恐怖が蘇りガタガタと体を震わせる。
「ん?なんだ?良く視たらあの時のガキも一緒じゃねーか!よし!全員まとめて、食ってやるよ!」
男の左目が黒い光を放ち私を見ていた。嬉しそうに笑うその顔にまた、私の中の恐怖が倍増する。
モモさんは私を抱いたまま少し後ろに下がると、茨の盾を形成した。ダイとユズも私を守るように小さな氷の盾と茨を形成していた。ユキは右手を前に突き出して何時でも雷撃を放てる準備をしているのだろう。
私は慌てて白いオーラをみんなへと送る。絶対に死なないで!いつも以上に力を籠める。あそこまでみんなが警戒したのは初めてだから……
白いオーラを纏ったジロたち。
私を守るモモさん達の盾の厚みもみるみるうちに数が増え、太く、大きく変化する。エンがモモさん達が作り出した盾の前に立って身構えている。何かあればあの強固な岩の盾を形成するのだろう。
残りのみんなはその男に飛び掛かる。特大の炎の塊が、嵐のような風の渦が、地面からは岩の棘が何本も男に襲い掛かる。上からは大きな氷柱がドカドカ落ちてくる。
上空には竜へと戻ったギンが大きな口を開け、『がぁ』だか『ぐぅ』といった何か分からないけど吠えていた。その声は音の波となり地面にドンドンと音を立てて叩きつけられていくようだ。
初めて見るギンの攻撃に少し関心してしまうのだが、抉れる地面とは対照的に目の前の男は平然とそこに立っていた。
「結構痛てーんだけど!」
攻撃が当たる瞬間に腕を振る男。攻撃を打ち消しているようだ。それでも少しは被弾するのだが、男の体にできた傷がすぐに治っていくようだ。その男の纏っている黒いオーラによって……
「埒が明かん!飛び込むぞ!」
コガネさんが叫ぶと、ジロたちは走り出す。上空からはギンがそのまま落ちてくるように男めがけて向かっている。それぞれが手に魔力の塊を溜めて走り出す。至近距離で魔法をぶつけるつもりなのだろう。
そしてその男にたどり着く前に、近づいていたジロたちが周りに散らばるように吹き飛ばされていく。
その男の手には日本刀のようなものが握られていた。
「やっぱ剣豪スキルの居合切りはすげーな。奪っておいて良かったよ」
そういって子供のような笑みを見せる男は、私の方に飛ばされてきたジロをじっと見つめていた。エンがジロを抱き起こす。私も白いオーラを再度飛ばしてジロはみるみる回復していったように見える。
実際傷は回復できるけど、疲労は回復しない。ジロは体中から汗を拭き出し肩を上下させていた。
「エン!行くよ!」
「ああ」
ジロとエンがゆっくりと近づいてきた男に向かって走り出す。
男の前に特大の岩の塊が作られる。そこにエンの拳がぶつかると、その破片は全て男に向かってはじけ飛ぶ。そこに先ほどと同じようにジロの特大の炎がぶつけられ、その破片はさらに熱を帯び破裂するように爆散した。
「うわっちちち!あっちーんだよ!くっそー!お返しだ!」
ジロとエンの攻撃を耐えたらしいその男は、魔力を籠めながら繰り出す二人の拳を払う。体勢が崩れた二人はその男にまとめて蹴り倒されれる。そして男が両手をかざす。
その手の先には大きな岩が形成され、そして反対の手からは炎が……そして二つをぶつけ、ジロとエン、そして私たちの方までその炎のつぶてが飛散してきた。幸いそれは強固な盾を貫くことはできていなかった。
そんなことよりも私は、倒れているジロとエンが体中に大きな傷を作っていることに、泣き出しそうになりながら飛び出そうとしていた。もちろんモモさんにしっかりと抱きしめられたので、動き出すことはできなかった。
私がどう言ってもモモさんが離してくれないのは分かっている。私はまた白いオーラを飛ばす。さっきからオーラを全開に使っているので少し気だるい。だけど止めることはできない。
目の前の男は、自分の攻撃が被弾してまだ焼け跡が残っている状態だったから……
「くっそ!思ったより破裂しやがった!自動回復も発動しねーな……少し魔力を使いすぎたか……まあいい!こいつら殺すには十分だろう」
そう言ってジロに近づく男。
その手にはまた日本刀のようなものが握られていた。そこにユキの雷撃が2本3本とまとめて降り注ぐ。凄まじい光と共に爆音が響く。これなら……そう思ったけれどすぐに駄目だったことが分かってしまう。
目の前には光る盾を頭上にかざして笑っている男が見えたから……
「やっと、やっと復讐できるな犬っころ!」
その男は刀を左手で振り上げる。何やら力をこめているようで刀の先がバチバチと光を放っている。叫び暴れる私を押さえつけながら、モモさんの茨が何本も男に襲いかかるが、それはまたかざした右手から出現した光の盾によりあしらわれていた。
私は今にも殺されるジロを見ているしかなかった。もうあの男への恐怖はない。あるのは……憎しみだけ……
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