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ご覧いただきありがとうございます。本日一回目。
最後に評価など頂けれは嬉しいです。
私の手の先から魔力が流れ出し、ユニコーンからはちょっと艶やかな声が漏れ聞こえた。
それで諦めたのか安心したのかは分からないが、大人しくまた座り込んだユニコーン。それをただひたすら鬣を撫で続ける私。
多分私の顔は放送禁止になるかもしれない。口元がだらりとゆるみ涎も垂れそうなのを何度もすすっていた。時折意図せず「くふふ」と声が漏れているのを自分でもやばいよね、と理解はしている。
そんな幸せな時間を堪能してから思い出す。
そうだ。この後、人化しちゃったこの子はどうなるのだろう?
また後先考えるモフってしまった私。
「あの!責任を、責任を取りたいと思います!」
『ど、どういうことでしょか?』
また立ち上がると距離をとったそのユニコーン。まあそうなるだろうことは予想済みだ。
「明日、多分明日には人型になってしまいます。びっくりするかと思いますが、それは私のスキルなので……大丈夫です!私はあなたを養うだけの食料も場所も提供できます!お願いします!」
そうして頭を下げた私。
長い沈黙が訪れる。
返答が返ってこないのを見越してなのか、モモさんがそばまでくるとそのユニコーンをひっぱり遠くで何やら話し出す。やっぱり困った時のモモさんだ。あとは任せておけば悪いようにはならないだろう。
二人の話し合いをワクワクとした目で見守っていた私。10分ほどで話がついたようで、二人は私の元まで戻ってきた。
『お世話に……なります』
「はい!後悔させない自信はあります!よろしくお願いいたします!」
「マリネエ……おぬしは時折そういった変な感じになる時があるのう……気を付けた方が良いぞ」
顔を赤く染めるユニコーン。直立不動で迎え入れる私。それに苦言を呈すモモさん。
周りのみんなは「もう終わった?」とそばへと寄ってきた。
それから改めて自己紹介をする私たち。
そして新たな仲間を迎え入れた私は、探索はまた今度でいいかな?と満足してしまったので戻ることとなった。
竜に戻ったギンを見て気絶してしまったユニコーンを、クロが簀巻にして優しく運んでくれた。クロはこういう時、本当に面倒見がいいからね。その運び方はどうかと思うけど。
そして夕食には歓迎の宴が始まり、程よく焼いた竜肉を目の前に出されたユニコーンはそれをガツガツと食べだした。それをおかずに食事がさらに進む私でした。
翌日の朝、一応クロ作成の服を何着か横に置き、説明を済ませて眠っていたそのユニコーンは……予想外の幼女になっていた……
「こ、これは!どういうことなんですか!」
裸のまま私を叩き起こすその元ユニコーンを、眠い目をこすりながら布団に招き入れ、よしよしと寝かしつける。その間に服をと思いクロの方を向くが、すでに何やら作っていたので大丈夫だろう?
そう思ってもう一寝入り。すでに居なくなってしまったモモさんの代わりに、新たな抱き枕を手に入れた私は再び眠りについた。
◆◇◆◇◆
「ユキで」
「わ、分かりました。私はユキですね、お姉様」
私より早く再び目を覚ましたであろうユニコーン、改めユキはすぐに置いてあった新しい服を身につけ、私をゆすり起こした。
必死に「おきて!お願いおきて!」という声に、ここは楽園か、とまた抱きしめて寝そうになるが、それはモモさんに「しっかりせい」と軽く頭をはたかれ、仕方なく起きた。
そしてその姿をみてすぐにユキと命名する。
真っ白な肌、白銀の髪、そしてその幼い体。完璧な妹がそこにいた。何よりそんなユキは私をお姉様と呼んでいた。気を失うかと思った。どうやらそれは、ユズちゃんの仕業らしい。いい仕事をしたと撫でてあげた。
そして少し遅い朝ごはんを頂いたが、小さい体で必死に木のスプーンを使ってお肉を胃に流し込んでいる様をみて、今日もご飯が美味しいと実感した。
食後の運動にと、少し休んでから修行をする。まずは体を起こすべく魔力の循環から始めた私。
その間に、ダイとユズの組手にさくっと加わるユキ。
なぜか凄いスピードで動き出して小さな雷のような光を生み出し、ダイとユズの二人を翻弄してるのですが……見た目とのギャップはすごい。やはりユキは神獣だから……
「すごいもんじゃの……」
「そうだね」
「ユキはまだ本気出してないようじゃの。汗一つかいとらん」
「そうだね」
私は唯々その戦いを見つめていた。せっかく新しく可愛い妹ができたと思ったのに……予想外の強キャラだった。私も負けていられない!
「私も混ぜてー!」
三人の間に入り込んだ私は、ハイレベルな戦いについていけるはずもなく、ズタボロになって倒れこんだのは言うまでもない。
それから数日、ユキは新たな生活に徐々に慣れ始めた。
美味しい食事、人型でのおトイレ、お風呂にベットでの就寝タイム。なんだか幸せそうに笑うユキに私は満足していた。
ちなみに夜は今まで通りモモさんとユズと寝たり、ユキと二人で寝たりと、その日のなんとなくな流れで交代していった。なんとも幸せな日々が続いていった。
そしてユキを迎え入れて1週間目のお昼ご飯。
そいつはやってきた……
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