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それと同時に私はシャクラさんを訪ね、この里の近くに拠点を作って暮らしたいという話を伝えてみた。
シャクラさんの「この里に永住していいのに」という言葉をやんわり断って、手ごろな洞窟なんかがある場所がないか聞いてみた。
「そうだな。洞窟が良いのだろうか?」
「そうですね。洞窟なら雨風も防げるし良いかなって思って」
その言葉を聞いてシャクラさんが少し考えているようだった。シャクラさんはたまにこういった真面目な顔をする。ずっとこうなら良いのに……
「洞窟ならあるにはあるが、自分で家を作ってはダメなのか?」
「あっ……」
言われて気づく。そうだ!私はツリーハウスを作りたかったんだ!と立ち上がる。そしてびっくりしてこちらをみているシャクラさんたちの視線に恥ずかしくなってまた座る。
ちょっとテンション上がってしまった。
「す、すみません。そうでした。前に洞窟を拠点にしていたことがあって、どうしてもそのイメージが抜けなくて……」
「そうですか。じゃあ獣王国と竜人国の中間あたり、そこなら丁度よい洞窟というか洞穴みたいのもありますし、距離的にも街へ出れるので良いのではないでしょうか?」
しっかりと洞窟まである手ごろな場所を教えてくれるシャクラさん。真面目になれば優秀なんだよね。獣王国と竜人国のことなんてサムエルさんにしか伝えてないのに……私はちょっとだけ怖くなってしまう。
なんだかんだで里に入る情報は全て把握しているかもしれない。そんな気がした。
シャクラさんの元から戻った私たちは「とりあえず行ってみる?」という私の言葉に二つ返事で受け入れてくれたみんなと共に、ギンに乗ってひとっ飛び。その場所を探すため飛び立った。
「あそこかな?」
私は獣王国と竜人国を結ぶ林道から少し離れた森の中に、ちょっとだけ開けた場所を指差した。
「うむ。岩場も少し見えるからあやつが言っていた洞穴はあそこであろう。よしギン!降りるのじゃ!」
モモさんの合図でギンはそのまま目当ての場所へと降り立った。10メートルほどだろうか。開けた草原に岩場が続き、高さ2メートルほどの小さな横穴を見る。私は全然大丈夫だけどエンには少し小さいかな?
そんな印象の場所だった。
「ここ良さそうだねマリ姉!」
「そうだね。じゃあ、ここに小屋でも作って、あの木!あの木の上にも家作ろう!ちょっとお昼寝できる奴!」
またちょっとテンションが上がる私の提案にジロもニコニコ。ダイも私と一緒にはしゃいでいる。ユズも一緒にはしゃぎたそうにしているけど我慢しているようだ。二本のしっぽがふわふわと揺れているからね。
その後、洞窟内を探検した私とダイ、それにユズ。ジロも後ろについてくる。保護者かな?幸い中に魔物が住んでいることもなかったが、あまり大きくはない洞窟なのだが、ひんやりとした空気が漂っているので、暑い日には良いかもしれない。
周りには小さな川も流れていのだから条件としては良いだろう。周りに魔物はいないようだが、狩りをするなら少し戻ればそれなりに狩れるし問題ないだろう。周りの木々にはちらほらと食べられそうな果物まで生っていた。
その後はユズたちと木登りならぬ木渡り?をしながらの鬼ごっこなど、楽しい時間を過ごす。
エルフの里も木々に囲まれた場所ではあったが、こういった手付かずの森の中で食べるお昼ご飯はとても美味しかった。そしてこの場で感じた疑問を口にする。
「ねえモモさん。なんでここって開けてるの?」
そうなのだ。周りには木々が生い茂っている森なのに、なぜかここだけぽっかりと開けている。短い芝生のような草はびっちり生えているのにも関わらず……
「ここはの。聖域になっているからじゃ」
また分からない単語だ出てきた。いったモモさんはどうしてこんな言葉を知っているんだろう。と思ったが、私はもうその秘密は知っている。
モモさんは獣王国でも竜人国でも、文献などの集まった資料室にこもることもあった。そんなモモさんに一度だけついてに行ったことがある。
そこで無造作に本を抜き出したと思ったら、パラパラと器用にめくった次の瞬間には、もう次の本に手を伸ばしまた……というモモさんの行動に驚き、開いた口が戻らなくなった私が問い詰めたことがある。
モモさんはそのパラパラした動作で全て読み記憶したとのこと。最初は見ててつまらないから次のを確認しているのかな?って思ったのになんたるハイスペック。それ以来、何かあったらモモさんを頼ることが当たり前になっていた。
「聖域?」
「そうじゃ。おそらく何かの拍子にここが神の領域と認められたのであろう。ギンに乗りながらではあるが、ここに降りる際はエルフのあの結界にも似た感覚になったからの。多分悪意があるものはここには入れないやも知れぬ。
そのことから、この洞穴は魔窟であった可能性も高そうじゃ。っここなら前の洞窟より快適に過ごせるやもしれんの」
なるほど……よく分からないが良さそうだ。そんなあまりよく分かっていない私を置き去りにしたモモさんの説明は続く。
「おそらくはギンのような星獣、世界の管理者クラスの何かが長期間住んで居ったか、ハイエルフのような神に近い存在が何かの力を籠めたか……そもそもこの場所との相性もあるからの。
そういった意味では竜人国にギンが長くおったにもかかわらず聖域化していなかったようじゃし、あの地とギンの相性がわるかったんじゃの。とにかくこの地なら作物も良く育つじゃろうし、外敵からも守れそうじゃぞ?」
少しわかった気もする。つまりは神々しい何かが昔ここに住んでて何か凄い力がこもった地だということか。
それをそのままモモさんに伝えると、苦笑いをしながら「まあそんな感じじゃ」と言っていた。
とにかく場所はここに決まった。その事を報告するため一旦里へと戻った私たちは、その足でシャクラさんを尋ねるのであった。
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