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朝目覚めると、珍しく圧迫感を感じていない体を起こす。
モモさんがいない。隣にはユズが寝息を立てている。珍しくモモさんが先に起きているパターンであったが、もしかしたらコガネさんと今頃……そんなことを少しだけ想像しながら、口元を緩める。
「それにしても外がなんだか騒がしいよね」
私はガヤガヤと聞こえる外からの騒音を感じながら、部屋を見回した。
隣にはユズ。近くのベットにはレオが寝ているようだ。少し離れたベットにはコガネさんとダイが寝ているのが見える。あとはジロがさっきから床で胡坐をかいて頭をこっくりと動かしている。あれで眠れているのだろうか?
そこにガラリと小さく扉が動く音がした。その音に反応して私と、そしてジロも目を開け確認する。
「おお。マリネエも起きていたか。何やら騒がしかったゆえ、見に行っておったのじゃ」
笑顔で部屋に入ってきたモモさんの後ろには、残りも皆もついてきた。そしてその後ろからサムエルさんとハルちゃんが顔を出す。ハルちゃんは私の顔を見て笑顔になってこちらに走って布団に飛び込んできた。
もちろん私はそれを受け止め布団にくるまり組んず解れつで遊びだす。
「あの、私も部屋に入ってよいでしょうか?」
「うん。いいよ」
布団越しに遠慮がちなサムエルさんと返事をするジロの声を聞く。
「今朝がたから、森の中の妖精が極端に少なくなってまして……なにか心当たりがないかなとシャクラ様より一応聞いてくるように言われまして……」
私はその心当たりが有るような無いような事を聞き、ガバリと布団を剥いで体を起こす。
「妖精ちゃん達いなくなっちゃったんですか?」
「そうだよお姉ちゃん」
私の質問には隣でくっついているハルちゃんが答えてくれた。
「そうなんですよ。まったくいなくなった訳じゃないんですが……圧倒的に数が少なくて、何かの前触れではと過去の資料などを確認しているところなんです」
「そうなんですが……あの、関係あるかはわからないのですが……」
私は昨日の夜に妖精にオーラを与えてどっかに飛んでいったことを、事細かに説明していった。
そしてサムエルさんがその説明を聞いた後、飛んでいった方角からもしかしたらハイエルフの里の方に、なんらかの連絡を伝えに行ったのかも?という話になった。ハイエルフの里はここから北の山の中にあるという。
「やはりマリ殿はハイエルフ様の血をひいているのでは……」
そう言いながら膝をつくサムエルさん。その隣にはベットから飛び降りたハルちゃんが真似をして笑顔で膝をつく。何それ可愛い!
「多分そんなことは無いと思いますよ。両親とも多分人族ですし……」
こんな時鑑定スキル!とかステータス!なんてあったらはっきりするのにな。そんなことを考えていたらハルちゃんが私の胸に、ドーンと飛び込んできたのでまたわしゃわしゃと撫でまわす。
なんか細かい事どうでもよくなっちゃうよね。
「でもまあさっきの話を聞く限り、悪い事にはならなそうですね。私の方でも調べは尽くしますが……朝早くにありがとうございました」
「いえ、私も気になるので何かあったら教えてくださいね」
そしてサムエルさんが帰っていった。腕の中にはハルちゃんがいる。
「ジロ。朝ご飯食べよー」
その一言でパンに手早くお肉をはさみスープを出すジロ。ハルちゃんにも同じものが出てくるので二人で美味しく頂いた。
食事を終え、しばしの休息とハルちゃんの髪をいじって遊んでいた。エルフっ子に三つ編みは可愛いすぎです。
「マリアント様……突然失礼します」
リラックスしていた私は突然聞こえた小さな声にビクっと肩をはねさせる。もう慣れてきたとは言えないが影さんなのだろう。
「ど、どうぞ」
「失礼いたします」
私の返事にこたえるように目の前に姿を現す。
「あの、影さんはもう少しやんわりとした登場は難しいのでしょうか」
「そうですよね。では次はジロ様に気取られるよう気配を出してからお声がけをいたしましょう」
そんなこともできるんだね。と感心しながら頷いた。
「早速ですがエドガー様より伝言です。西側の大陸が何やら騒がしいとのこと、原因は分かっておりませんがいくつかの村が消滅したとか……念のためお気をつけ頂ければと……」
そんなことを言われても、な私だったがとりあえず頷いておく。そもそも西側ってどうなってるか分からない。後でみんなに聞いてみよう。
私がお礼を言うと「何か分かればまた……」といってまた霧のように消えていった影さん。その出来事に私はちょっとうらやましいなと思った。
私もあんな風に消えて「残像だ」とつぶやいたり、背後に回り込んで「後ろだ!」って叫んでみたい。
その後、みんなに西側のことや、影さんみたいな隠密系のスキルのことを聞いてみた。
大陸の西側のほぼ全土をオケアノス帝国という国が統一しているとか、東側とは国交がほとんどないようで情報がないのだが、常に内戦になっているような国らしい。
また、影さんが使っていると思われる隠密とかそう言った類のスキルは一応あるらしい。
里にも使えるエルフがいるというので紹介してもらったが、確かに私には分からない程度に気配が消え、姿がみえなくなったのだが、ジロたちには認識できるという。
それなりに洗礼の儀で授かる人がいたり、訓練で後天的にも発現することもあるという。訓練しだいであのようにまったく感知できないレベルにまでなるらしいので、そのエルフさんは悔しそうに訓練に励むと闘志を燃やしていた。
私も頑張ってみようと思う。
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