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【完結】忌み子だった侯爵家の『捨てら令嬢』は謎スキル『もふり』で獣に『攫わ令嬢』に  作者: 安ころもっち
樹の里アールヴヘイム編

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ご覧いただきありがとうございます。

最後に評価など頂けれは嬉しいです。


「こいつには名は与えんのか?」

ギンの言葉で歩き出した私はまた足を止める。そうだよね。このままずっと大大猿では呼びにくいし……


「エンで……どうかな?ほら、ここで会ったのも何かの縁って……」

『エンか、いい名だ。ありがとう姫、今日から俺はエンだ!』

気に入ってくれて良かった。名前を考えるのは本当に難しい。パッと思う浮かんだのはモンモンとかモンキとかチンパとかとんでもない名前だったから。

名付けを終えた私は、どうせ明日にはまた人化してしまうだろうと考え、少しだけ不安が募るがこればかりは仕方がない。撫でてしまったものは最後まで私が面倒を見よう。もちろん本人が嫌がらなければだが……


その後、里まで帰った私たちだったが、里に入るなり警護中のエルフ達が背後にいるエンを見て、一斉に臨戦態勢をとったことでまた焦ってしまった。そこはシャクラさんがちゃんと説明してくれたので、無事に納得してくれたようだった。


そして次の日の朝、私は当然のように布団の上にどかりと胡坐をかいて座っているエンと、「少し大きく作りすぎた」とエンの為に作っていた服を作り直すクロを、ちらりと横目で見守っていた。

さすがにクロやギンより背が高いし太い手足だけど、想像よりかなり小さくなったエンに、これなら日常生活もなんとかなるなと考える私。


「俺、どうしてこうなった?」というエンの質問にはクロが「マリ以外は全員おまえと同じ魔物だよ!」と答えていたので馴染むのも早いだろうと改めて思った。クロは面倒見がいいからね。


その後、人化した姿にまた驚くエルフ達と一緒に、今日もジロから提供された追加の竜肉に大騒ぎして、昨日できなかった魔窟攻略のお祝いという名の宴が朝っぱらから始まった。

私はまあそんな日もあるだろう。と美味しいお肉を堪能することに頭を切り替えた。


「そろそろ本気で住み家をどこかに作りたいな」

おいしい竜肉といつものスープを味わいながら、理想のマイホームを想像しながら脳内をお花畑にしているうちに、ジロにもたれかかりながらのんびり昼寝を開始した私でした。


そして私が、次に目を覚ましたのはすでにうっすらと空が赤く染まった時だった。


「もう、こんな時間?えっ……」

私は気づけばジロの胸に抱かれ寝ていたことに気が付き、ジロの腕を抜けたした。ジロの温かい腕が離れると少し寂しい。


「おはようマリ姉。まだみんな盛り上がってるよ。お肉食べる?」

もう夕方であろうにエルフ達はまだ浮かれて飲んで食べてを繰り返しているようだ。当然ずっとではないだろう。ごろ寝しているエルフ達もいたので入れ替わりで騒いでいるのだと思う。


そして私は、ジロの顔を二度見していた。


「ジロ……その周りの何?新しい魔法?」

首を傾げるジロの周りには、ポヤポヤとした白い光がひとつ、ふよふよと浮かんでいた。


「えっ?何?」

きょろきょろするジロの様子に私は困惑する。そして周りを見渡すと、そこら中にその光の何かが浮遊しているようだった。そして試しに近くを飛んでいる光を指差し「ジロ?これ見える?」と言ってみる。


「うーん。何も無いようだけど……」

これはどういうことだろう。そして私はファミリーでお肉を頬張るモモさんを見つけ、その元へと歩き出す。


「マリネエ。起きたか」

「おはようモモさん。あのさ、これ、モモさん見える?」

モモさんの近くを浮遊している光を指差すが、どうやらそれはモモさんにも見えないようで、少し考えこんでしまったモモさん。


「うむ。エルフたちを捕まえて聞くのもよいかものう」

その声を聞いたハルちゃんが、ユズと遊んでいる手を止めてこちらへやってくる。


「どうしたの?マリお姉ちゃん」

「今日もハルちゃんはかわいいねー」

思わず撫でまわし、ハルちゃんは腕の中でキャッキャとはしゃいでいた。ダメだ。こんなことをしている場合じゃ……


「ハルちゃん。これって見える?」

腕にハルちゃんを抱いたままその光を指差してみる。


「妖精ちゃん」

私は指差したまま動きを止めた。


「やはりそうじゃったか」

モモさんがうんうんと何やら頷いている。


「えっ?ハルちゃん、妖精ちゃんってあの妖精ちゃん?」

小首を傾げるハルちゃん。あの妖精ちゃんってなんだろうね。私も聞いてておかしいな言葉だと理解できる。


「これ、とか。あそことか……妖精ちゃんが飛んでたりするの?」

「うん、お姉ちゃんも見えるんだね。お姉ちゃんも……エルフだったの?」

いや違う。違うはず……なんだけどね。


「とりあえず、サマエルさんに相談してみるかな……」

「ハル、呼んでくるね!」

私の返事を待たずに腕の中を抜け出したハルちゃんは、サマエルさんたちがたむろしている場所まで走っていってしまった。


ほどなくしてサマエルさんと、ついでにシャクラさんがやってきた。


「マリ殿は妖精が見えるようになったとか……」

「どうやらそうみたいで」

私は近くを浮遊している光を指差してみる。ここと、あそこと、シャクラさんの肩とかめっちゃ止まってますよね。と言いながら。


「本当に見えているようですね。姿かたちは見えていますか?」

「いえ、白い光がぼやっと浮かんでる感じだけですけど……」

それを聞いてシャクラさんが私の前まで歩いてくると跪く。


「マリ殿はやはりエルフの血を引きし者……どうか私tぐえっ!」

レオに脇腹を蹴られ吹き飛ぶシャクラさん。まったく懲りないな。レオが「油断も隙も無い」と言いながら私の腰に縋り付いてくる。サムエルさんは頬を掻き苦笑いしている。


そして私は好奇心からその妖精ちゃんの光に手を伸ばし、ゆっくりと魔力を流し込もうとした。すると出てきたのは白いオーラの方で、そのオーラを吸収するように光を強弱させているようだ。

そしてオーラを吸収したその光はくるくると私の周りを飛び回り、遠くまで飛んで行ってしまった。


その後、じりじりと近づいてくるその白い光の群れ、妖精ちゃんの群れに順番にオーラを与えていく私。いつまで続くのだろう?と終わらない作業にただただ没頭していくのだった。


夜遅く、群がっていたすべての妖精ちゃんがどこへ行ってしまったのを確認して、私はやっと終わったとお肉を頬張った後、布団に潜り込んで眠りについた。


森中の妖精がいなくなったとエルフ達が少しだけザワザワしてしまったのを知るのは、次の日の朝のことだった。そんなことを知らない私は、温かい肉布団にサンドイッチされて今日も幸せに眠るのだ。

お読みいただきありがとうございます。明日も17時更新となります。

期待してる! もっと読みたい! 読んでやってもいいよ!

そんな方は下の☆☆☆☆☆を押してい頂けると嬉しいです!

もちろんブクマやコメント、レビューなどもいただけると飛び上がって喜びます。

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