表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【完結】忌み子だった侯爵家の『捨てら令嬢』は謎スキル『もふり』で獣に『攫わ令嬢』に  作者: 安ころもっち
教国イリオス編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

54/108

54

ご覧いただきありがとうございます。

切れ目が見つからず……いつもよりは長くなってしまいました。

夜にもう一度更新します。


それから数日、私たちは狩りをしたりしながらダラダラと毎日を過ごしていた。


魔の森ではなく、教国が通ってきたという山道にも足を踏み入れ、その道から離れた森深くまで獲物を取りにいったりもしていた。木々がなく岩場地帯になった山の頂上付近にはやはり竜種の魔物が存在していた。


地を這うドラゴンリザードや、空を舞うワイバーンという竜種。ワクワクしながら狩りに参戦しようとした私はモモさんに捕まえられ「さすがにあれば危ないからの」と見ているだけになってしまった。確かにどちらも素早い上に固そうな表皮をしている。

クロとジロ、そしてレオで軽々と狩っているから私も行けるのでは?と思ってしまうが「マリネエでは良い剣で突き刺したとしても傷をつけれそうにないのう」と言われてしまう。そんなに固いのか……


一日の狩りで相当数の竜を狩ることができたので収納にしっかりと入れておく。

獣王国ではたまに弱った竜種を狩って食らう程度、というのでそれらをおすそ分けすると、みんなで味わう宴も開かれた。


もちろん私も食べまくったのだが、特にワイバーンの肉は……やばかった。食べるだけで強くなれる!そんな味だった。モモさんには「そんな話があるわけないじゃろ」と突っ込まれたが、とにかく満足な味だった。


ニャイダの話では、古代竜と言われる聖竜などと違って、ワイバーンなどの下級竜種はとにかくすぐに数が増えるのだとか。

それでも一定の数までくると食料などの問題で繁殖が止まるため、殲滅する勢いで狩らない限り大丈夫。そんな魔物らしい。


夜になって膨れたお腹をさすりながら部屋で寛ぐ私たち。

私はその竜の話を聞いてから、ここ最近考えていたことがまとまったので、ジロたちに打ち明けることにした。


「今日狩りに行った山の中にね、拠点を作ってみんなで住まない?」

「ほお」

珍しくコガネさんが一番に反応する。


「前に洞窟でみんなで住んでいた時、まあ邪魔が入っちゃったから離れたけどさ、楽しかったんだよね……」

「マリ姉がそうしたいなら僕も賛成!」

「ボクもいいよ!」

ジロとレオも賛成のようだ。ギンもうんうんと頷いているので賛成なのだろう。


「だがそれはずっとなのか?」

「まあそれは、様子を見ながら?ほら、竜種って減らないって言ってたでしょ?あれと野草とかあれば良さそうじゃない?あとは調味料なんかは街で大量に買っておいてさ、何かが足り無くなったり、嫌になっちゃったら……

またここに戻ったりでいいんじゃないかな?って思って……」

クロの質問に考えながら答える私。


「まあ、それはそれでいいんじゃねーの」

クロも賛成してくれた。そしてその話にモモさんもにっこり。ダイとユズは正座で座っている私にくっついて甘えている。どうやら反対派いないようだった。のだが……


「マリ~!またいなくなっちゃうのにゃ~」

話を聞いていたニャルスが、ダイとユズの間に割り込んで抱き着いてきた。


「ごめんねー。なんだか街の暮らしより自然に囲まれている方が、なんだか落ち着くみたいなんだよね」

「ふにゅあ~じゃあ遊びにいくにゃ~。いっぱいお土産もってあそびにいくにゃ~」

「うん。森の中でいっぱい遊ぼうね」

「にゃ~」

少しの間ニャルスと戯れる。ダイとユズとニャルス。子供が三人いるようだ。まあみんなふわふわとした撫でごたえのある体を持っているので時間がたつのを忘れ、とにかく本能に導かれるままに堪能した。

気付けば三人とも寝息を立てていたようなので、ダイとユズはモモさんがベットへと運んでいき、ニャルスはニャイダが抱き上げ部屋へと戻っていった。


それを温かい目で見送ると、ジロと目がある。

クロとギンは先ほどのどこかへ出かけたようだ。レオはすでに布団に入っている。部屋にはジロと私の二人だけ……もちろんモモさんはダイとユズを寝かしつけているはずなので、まだ起きているはず……


でも目に見えるのはジロだけであった。どうしようなんか照れる。思えば常に周りには誰かが居た。初めはジロと二人だったから、温かいジロを抱きしめて眠ったこともあったよね。

今はもう……恥ずかしくてできない。せめて狼の姿であれば……


「ジロ、姿元に戻してくれたりなんか、する?」

「えっどうしたの?もちろんいいけど」

そう言うと器用に全身に毛を生やし、顔も狼のような顔になっていく。そして服を脱ぎ始める人狼ジロは脱ぎ終わると服を収納に投げ込んと、久しぶりの狼の姿になって、私の体にそのふわふわとしたお腹をこすり付けていた。


『これでいい?』

「う、うん。ごめんななんか少し寂しくて……」

私はジロのお腹に体を委ね、そう呟いた。


『寂しいならニャルスとかと一緒に暮らすのもいいんじゃない?』

「うん。そうなんだけどね……なんだか、疲れちゃったのかも。色々あったからさ……」

『何があっても僕が守るから心配しなくていいのに』

「そうだね。いつもジロが私を守ってくれる……ありがとうジロ」

私の言葉にジロが顔をこちらに向けると……私の鼻をぺろりと舐めた。思わず「きゃ」っと声をあげる。びっくりしたというか、はずかしいというか……どう考えても目の前の狼の姿ではなく普段のジロの顔がちらついてしまう。


そう考えた時、私の顔が熱くなり、ドキドキと心臓がうるさくなるのに気づいてしまう。私は頭をうずめていたジロから離れると、ジロが首をかしげて私の頬にすりよってきた。

思わずそのジロの顔をつかんで引きはがす。


「あ、あのね。私、前の世界で12年生きて、最後はジロと一緒に死んじゃったじゃない?」

『そうだね……』

ジロの耳が垂れる。表情だけで落ち込んでいることが分かってしまう。


「違うの!ジロはいつも私を守ってくれた。あの時も私を守ってくれたんだから!」

私は、ジロを責めたくて言ったわけじゃない。と頭をやさしく撫でる。


「そしてこの世界でもジロは私を助けてくれて、今ここにいる。でも……私まだ12才なんだよね……それでね。まだ、こんな体だしその……つまり……エッチな、そう!そんなこととかまだその恥ずかしいというかなんというかまだ無理っぽくてでもそのジロとくっつくとホントにドキドキしちゃって」

一気に気持ちを吐き出した私はハアハアと息を整える。もう体全体が熱くて仕方がない。頭は混乱するし恥ずかしくてジロがまともに見れず下を向く。


『僕は……マリ姉のそばにいるだけで、幸せだよ?』

ジロのその言葉に私はゆっくりと顔を上げる。そのジロの顔は、優しく微笑んでいるようだった。その狼顔を通して、いつものような太陽のような笑顔が見える……


「ジロ……今日はそのままの姿でいてね。一緒に、一緒に寝よう」

私はそうジロに告げ、すっと立ち上がり誰も使っていないベットに潜り込んだ。


少しするとそのベットがきしむ音がした。そして布団の中にはふわふわと毛並みが滑り込む。つぶっていた目を開けると……ジロの精悍な顔つきが見える。ああ、なんと尊い獣顔……。

私は意を決してその横たわるジロのお腹のもふもふに飛び込みうずくまる。その毛並みを堪能することで、人型のジロを忘れようと努力する。


それでも上気してしまい体温が上がる。いや違う……熱い!

私は頭までかぶっている布団を剥ぐと、お腹の部分だけに薄い肌掛けのみを乗せる。これだけで十分だ。目の前には最高級のあったか布団があるじゃないか。もはや布団代わりだ!となんとか頭を切り替えると、私はそのままお腹にうずくまって寝るための努力を続けた。


それから数十分ほどの時間はかかったが、なんとか私は眠ることができた。時折ジロの肉球がぽフポフと私のお腹を撫でてくれるのも心地よかった。

そして私は夢の中で人となったいつものジロと抱き合いながら愛を囁き合っている夢を見た。その影響で少なくとも3日はジロの顔をまともには見れなかったのは仕方がないと私は思う。


また機会があれば……勇気をだして試してみよう。

私はそう思いながらまた顔を赤く染めていた。

お読みいただきありがとうございます。次は17時に更新となります。


期待してる! もっと読みたい! 読んでやってもいいよ!

そんな方は下の☆☆☆☆☆を押してい頂けると嬉しいです!

もちろんブクマやコメント、レビューなどもいただけると飛び上がって喜びます。

読者様のお力が必要なんです!


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ