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Side:マリアント
10日ぶりに目覚めた私は、モモさんから何とか乙女の尊厳が守られたことを聞き、ホッと胸を撫でおろす。
「少し体ほぐそうかな……」
眠っていた体を呼び覚ますためベットからゆっくりと降りる。
そしてそのまま肩をジロに支えられながらも立ち上がる。ベットに座ったモモさんも後ろから支えてくれる。要介護だね……私は力が入りづらくなったこの体を動かすために、まずは脳だと思考を繰り返しはじめた。
ふと視界にまた竜だった人が映る。ごめんねまだ無理。まずは私の問題をかたずけてからにしてほしい。そう思って結構な時間をかけて全身の動きをほぐしていった。
「うん。なんとかなりそう」
私は、やっと慣れてきた体全体に、肉体強化の要領で魔力を巡らせる。今までと同じように……いや、今まで以上に正確に体中に魔力が巡っていく。指を動かす。屈伸をする。深呼吸で伸びをする。大丈夫。どうにかなりそうだ。
後は食事をとって何日か通常通り運動と睡眠をとれば回復するはず!そう納得した私は、やっとその竜だった人に視線を向ける。
「で、これからどうする感じですか?」
私の言葉と目線に、その聖竜様は自分を指さしている。いや、「我?」じゃないよね?なんで我?いやわかるよね?そんなセルフ突込みを脳内でしてみる私。まあ多少なりとも私も言葉が足りなかったかな?
でも多少はいいよね?正直まだ色々と面倒になっている私。
どうせこの竜の件も面倒事になるのだから早々にはっきりさせようか。そう思って改めて聞いてみる。
「あの、聖竜様は今後どうするのでしょうか?」
「我か?我がしゃべっても良いのだな?」
「え、ええ」
「ではまず我に名前を付けてくれ。もうそなた無しではいられぬ体にされてしまったからの!」
この竜……聞き捨てならないことを言う。
「いや私なしじゃって言われても……」
「実際我はそなたと繋がってしまった。分かるであろう!それに周りにいるのは同じようにそなたの従僕であろ?なら一緒になにか名をくれるというのも当然であろう!」
私は早速頭を抱えるはめになった。予想はしていたけどね。……ってちょっと寄りすぎでは……
竜だった人が私に近づき手を握る……予想以上の破壊力にたじろいでしまう。そんな中で頭を動かし名前を考える。
「じゃあギンで……」
私は一瞬シロかな?っと思ったがジロがいるから紛らわしいなと鱗の輝きにちなんでギンに決めた。
「でも聖竜様……ギンってたしか、なんたらエーリュシオンって名前じゃなかったっけ?」
「そうじゃ!我はアマル・ディア・エーリュシオンと呼ばれていた。じゃが我が名乗ったわけではないからな!ギン。良い名じゃ!」
この性格も含め、いつか見たあの夢はやっぱり私の妄想だったことを実感した。あの時こんなバカっぽいしゃべりじゃなかったもんね。
「まあいいか。で、ギンがぶっ壊した町とか今どうなってるの?」
「それなら大丈夫じゃ。クロたちが手伝って復旧作業しておる。そのギンも一緒になっておったの。ほぼ終わったということで今日は皆ここに集まっておる」
モモさんが私の背中に抱き着きながら現在の街の様子を教えてくれた。私が寝ている間にみんな頑張ってたんだね。私はじんわりと感動していた。
「よし!じゃあまずは……ジロ、食べるものちょーだい。まずはお腹をいっぱいにするから!」
「うん!僕も一緒に食べる!」
まずは食べなきゃ始まらない。私はジロが出したお皿にのった味付けお肉をパンと一緒に口に放り込む。ほかのみんなも食べだした。ギンも遠慮しがちに口に入れ、目を輝かせながら早く次のを出してくれとジロに懇願していた。
そのギンの姿を見て、数万年生きている人には見えないなと思ってしまった。
それから数日、すっかり体力がもどった私は、魔力トレーニングの一環で胡坐をかいて体内の魔力を動かしていく。肉体操作とは違って目的の無いただの魔力の循環。
そして私は自分の体内からいままではできなかった魔力の放出ができたことに驚いた。動かしている間に、なんとなく外側に取り出せる感覚になったのだ。自分の胸の前に白く光り輝く魔力。あの白くゆらめくオーラとも違う魔力の塊。
これならあれも……できるはず……
そう思って私は周りを見渡した。
「レオ!おいで」
私はレオをそばに呼ぶ。嬉しそうにこちらへきて膝へと顔を摺り寄せる。いや膝枕したいとかじゃないからね?私はレオの腕に残っていた傷に向かって、その魔力の塊を充てる。治りますように。そう思いを込めて……
「す、すごいよ!マリ姉ちゃんの温かい光でボクの傷が治ったよ!」
「やった!できた!できちゃったよ!」
これで私も役に立てる!そう思って私は喜んだ。皆も口々に褒めてくれたのがとてもくすぐったかった。
そして日常へと戻ろうと、まずは金策しなくてはならないことに気づく。10日も眠っていたのだからみんな食料とかどうしてたんだろう?
「そういえば、みんな私が眠ってた間、ご飯とかどうしてたの?」
「それならナヌークとやらが毎回運んできおったからの。遠慮なく頂いておったわ」
「そうなんだ。じゃあお金とかどうなってるのかな?少し稼がないとだめだよね?」
「そうかのーそれは、ワラワはよく分からんのじゃが、ナヌークとやらはマリネエのことを英雄と呼んでおったからの。何もしなくても養ってくれるであろ?」
なるほどね。いやダメでしょ。
私はモモさんの言葉に突っ込みを入れながら、少しづつでもまた日常に戻ならなきゃと考える。
「ナヌークさんに頼り切るのはさすがにダメだよ。また狩りとか行って稼がなきゃね。クロにもまた布とか作ってもらったり……」
「そういえば、ボク思い出したんだけど、昔ボクの抜け毛とか集めて売ってた人がいたんだよね」
えっ?何それ?レオの言葉に軽く混乱する。集めて毛皮的な?
「なんかお守りにすると守ってくれるとか言ってた」
「へー、レオの毛ってそんな効果あるんだ」
私の言葉にレオが「知らなーい」と答えていた。知らないのか。
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