表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【完結】忌み子だった侯爵家の『捨てら令嬢』は謎スキル『もふり』で獣に『攫わ令嬢』に  作者: 安ころもっち
争いの行方編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

46/108

46

ご覧いただきありがとうございます。

夜にもう一度更新します。


男たちで言い争いをしていたので面倒になったボクは、地面から生んだ岩の棘により副村長という男以外の命を串刺しにした。


「あっうっ何を……」

『お前たちがうるさいからこうなる!俺の言う事を黙って聞いていればいいんだ!お前たち人間の命など、何の抵抗もなくかき消してやろうか!』

「ひっ、ひぃぃ!」

副村長という男は尻餅をついて悲鳴を上げていた。『分かったら帰れ』と言うとその男は逃げるように帰っていった。


その後は、いつまでもおとなしく座っている少年に、ボクは少し気まずくなってしまったが、暫くして少年がすくっと立ち上がると、いつものように食料をボクの目の前に並べると、いつものお祈りをする。

そして水を汲んできては体を拭く作業に没頭していった。


次の日の朝、結局どうなったか分からないということで、少年はいつものように村へと行くと言い出した。

ボクは来なければ来ないでこっちから出向いて皆殺しにしたら良い、と思っていたのだが「それはやめて」と少年にお願いされたので、まあ一度ぐらいは聞いてやるか、とその少年を送り出した。


そう、送り出してしまったんだ……


その後、いつまでたっても少年は戻らない。お昼になっても戻らない。誰が行くかでもめているのか?そう思っていたが、遂には夜になっても戻らない。さすがにボクも耐え切れなくなって村まで走る。


すぐに村には到着したが……あたり一面、濃い血の匂いが立ち込めていた。魔物の襲撃か?野盗でも出たのか?いや違うな……嫌な予想が胸をよぎるがそれはハズレてほしいと思う未来であった。


そして、血の中に混じったわずかな少年の匂いを頼りに一つの家へとたどり着く。他の家より小さく、ボロボロの家……

その家の前には少年が寝そべっていた。強い血の匂い。慌ててボクは近づく。


「びゃ……白虎、様……ごめん、なさい……。言い、あらそって、喧嘩、になって、そして僕も……」

『しゃべるな!いや、どうしたら良い!こんな時、人間はどうするのだ!俺はそんなこと知らない!教えろ!少年!』

ボクの問いかけに少年は首をふる。


「もう、むりです……でも、でも僕が、死んでも……人間を、きらいに、は、ならないでほしい、です……」

そう言うと、ボクの目には眩しいほどの笑顔を見せたその少年は、そのまま目を閉じ死んでしまった。ボクは初めての感情に混乱した。今なら分かる。それが悲しいってきもちだったんだ。


「おっ!やっぱりここにいやがった!お前のせいで!お前のせいでこの村は終わりだ!」

振り向くとあの副村長と言う男が血の付いたナイフをもって立っていた。


「お前を狩って売りさばけば、一生安泰だ!ついでにこの村を滅ぼしたのはお前だと言えば、俺はきっと英雄にも成れる!」

目の前の男ができもしないことを口走っているのを見て、悲しみに暮れていたボクの心を乱していく。なんだこいつは……でもそうか……少年が言ったように人間は嫌いにならなければいい。


ボクは……こいつが嫌いだ!


「俺のために……死ねーー!」

叫び襲い掛かってくるその男に向かって、地面からいくつもの石の棘を出現させて刺し潰し、肉片へと変える。

……あっけないな。


ボクはまた少年の方へ向き直ると、すでに死んでしまったその少年の周りに固く、強く、朽ちない石の棺を出現させた。ゆっくりと包み込むように。


『さよなら……少年』

そして全て覆いつくし見えなくなった少年への別れを口にする。


『俺は……いや僕は、ボクは……お前と出会えてよかった……』

そしてボクは村を失ったその住み家を離れた。人間は嫌わない。でも信用はしない。人間はいつか裏切るかもしれないのだから……


そしてボクはフラフラと旅を続け、やはてコガネとモモに遭遇し、あの森を紹介された。適当に狩りをしながらののんびりとした日々。たまにコガネとモモと遊んだりクロとも出会うことができた。

そして最近はジロと会って、そして人間の少女を紹介された。それがボクが人化できるようになるきっかけともなった。


ジロの主のマリ姉ちゃん。


一目見た時に思い出したのは忘れかけてたあの少年。小さくか弱い人間。でもその心は強く輝いている。

そして一緒に旅を続けたけれど、人間にもいい奴は沢山いるんだってわかった。反面、相変わらずダメな人間も多くいた。でもボクはマリ姉ちゃんと出会って変わったんだ。

あの時は少年を守ることができなかった。

でも今は違う。守るべき者のために誰よりも強くなると決めたんだ。


ボクは森の奥深くまで走り出し、全力で魔物を倒し続けながら、まだ眠ったままの主が起きるのを待っていた。


「強くなって、マリ姉ちゃんに撫でてもらうんだ!」


その思いでレオは高ぶる魔力を放出し、目の前の敵を全て串刺しにしていった。その虐殺は、レオの魔力の限界が尽きるまで何時間も続けられた。

それからレオの主、マリアントが目覚めるのは、さらに7日後のことだった。


お読みいただきありがとうございます。次は17時に更新となります。

次話から、やっとマリアントが出てきます。

期待してる! もっと読みたい! 読んでやってもいいよ!

そんな方は下の☆☆☆☆☆を押してい頂けると嬉しいです!

もちろんブクマやコメント、レビューなどもいただけると飛び上がって喜びます。

読者様のお力が必要なんです!


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ