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【完結】忌み子だった侯爵家の『捨てら令嬢』は謎スキル『もふり』で獣に『攫わ令嬢』に  作者: 安ころもっち
争いの行方編

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ご覧いただきありがとうございます。

最後に評価など頂けれは嬉しいです。


そうかあれが娘だったのか……そんなことを思っていた私は、立ち上がった猫女を眺めていた。


「にゃ!にゃ~ん。にゃ?にゃにゃにゃ~」

「おお!可愛いぞニャルス!」

「どうにゃ!ニャイダと考えた必殺悩殺にゃんポーズにゃ!」

何だあれは!突然立ち上がったと思ったら、にゃんにゃん鳴きながら腰をくねくねし出したこの猫女……それに見て獣王は大喜びしている。あの頭を抱えてしまっているのは、ニャイダと呼ばれたやつなのか?あいつとは少し話ができそうだが……


「にゃ!にゃ!にゃんにゃにゃ~ん!」

獣王の手拍子と共にその娘は踊り出す。どうしたら良いんだ。ちょっと想定外にもほどがある。


「そのポーズが、なんだと言うのだ……」

私はどうしようか迷ったが、結局こんな返答になってしまった。大笑いしておいた方が良かっただろうか……


「こ、こいつ!娘の可愛さが分からない奴とこれ以上、話ができるか!やってやる……戦だ!お前たちが如何に愚かなことを言っているのか……獣人たちの強さを徹底的に分らせてやる!」

「そうですか……仕方がないですね」

何と言う事だ!私は内心歓喜した。どこでこうなったか分からないが、当初の予定通り相手からの開戦宣言。蹂躙してやる!こんな茶番を見せられた償いをさせてやる!何が獣人たちの強さを分からせてやるだ!

そう思って私は後ろに控える兵たちに見えるよう、その手の叩く振り上げ、命令を発した。


「皆の者!残念ながら、獣の群れは話し合いには応じないようだ……儀は、我々にあり!この愚か共たちに鉄槌を!そして囚われの令嬢を救い出すのだ!全軍、突撃ー!」

「ま、まってーーーーー!」

私が手を振り下ろした後、それを横から遮る愚か者の声が聞こえた。私はそちらを振り向くと……


「な、なんなんだあれは!夢?これは夢なのか?」


その異様な光景に私は夢を見ているのだと錯覚した。

しかし、その光景が夢でない事は、後ろに控えていた兵たちが一斉に騒ぎ出したことにより確信してしまう……これは、どうしたものか……



Side:レオ


時は戻りマリアントがまだ眠っていた頃。白虎であるレオは近くの森に来ていた。


「はー。マリ姉ちゃんはもう3日も眠ったまま……」

ボクは悔やんでいた。

マリ姉ちゃんを守れなかったことを……


あんな竜ごときに後れをとってマリ姉ちゃんを危険にさらしてしまった。ボクは最近活躍しなさすぎでは?そう思って自己嫌悪する。大体ボクはあの中で一番強いって思っていたのに……

ジロは生まれてから十数年、コガネとモモは100年ちょっとだと聞いている。クロは……あんまり覚えていないらしい。

それに引き換え、ボクは少なくとも1000年以上生きてきた。昔のことは大分忘れちゃってるけど、随分長い間生きていることだけは覚えている。


そう考えればあの竜は数万年って言ってたよね……ずるいよ!ボクだってそんだけ生きれば絶対あれより強くなれるはず!


そもそもボクはコガネ達より年上なんだよね……なんでこんなに小さな体なんだっけ?首をひねって考える。僕もジロやクロのように体を大きくしたらもっと力が出せるよね。そう思って周りを見渡した。

うん。誰もいない。ボクは服を脱ぎ捨てると体を組み替える。クロよりもっと高身長に……ボクの体が大きくなる。強く逞しい大きな体……


試しにその体で魔力を籠めた大岩を生成する……だめだ。今までより大きな岩ができあがる。でもそれは、この間、みんなでマリ姉ちゃんを助ける時にパワーアップしたからさっきまでの体でも同じように出せるから。

ボクは唇を尖らせながら元の体形に戻っていく。強くなれないなら今までの体でいいや。そもそもマリ姉ちゃんに合わせてこんな小さな体になったんだっけ……


いや、違うかな?

……ボクの頭にあるのはたった一人、ボクが最初に心を許した男の子……あの体を体現しているということは、ずっと前から自覚していた。


あれはまだ、ボクがなんの目標もなく、ただただ村人たちに崇められていた頃。

ボクの覚えている分の記憶の最初は、ここからかなり南に行ったところ、暖かな村のそばだった。


ボクは森の中にひっそりと住んでいるだけなのに、村人たちは神の使いだと崇め、毎日せっせと食べ物を運んでくれた。退屈だったけど何もしなくて良いのは便利と思って長い間その時を過ごしていた。

何人もの男たちが、村長だなんだと自己紹介していたが、覚えていない。まったく興味がなかったしね。


そんな生活が1000年近くつづくと、村人たちにも変化が見られた。やってくる男たちはなんだか儀礼的で、とりあえず習慣だから来ました。っていう態度に少しイラついた。でもちゃんと食べ物を運んでくるなら文句はなかった。

その内、一人の少年が、身の回りを世話すると置いて行かれた。その少年は毎日村に帰っては食料をもってくる。小さい体に大きな籠を背負ってやってきた。そしてボクの前に膝をついてはなにやら祈っているようだった。


その少年の行動に、ここ最近の他の村人の態度とは真逆で、少し抱えていたイライラが解れていった気もしていたんだ。

お読みいただきありがとうございます。明日も17時更新となります。

あと2話ほど、レオの話が続きます。

期待してる! もっと読みたい! 読んでやってもいいよ!

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