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Side:グリーンヒル・レイドック
「遅くなって申し訳ない」
私はわざとゆっくりと歩き相手の様子を窺っていた。予想通り席に座った5人は怒り心頭の様子であった。それもそうだろう。他国の王を暗殺というあらぬ嫌疑をかけれてれおるのだからな。
「私が獣王国の王、レレオ・マールスだ!御託はいい!なぜ私たちが貴国の王を殺した犯人だと言い放ったかを説明してもらおうか!間違いでした、では済まないことだと思うが……」
やはりこの男が獣王……私はあまりの胆力に少しだけ肝が冷える。だが弱みを見せてはいけない。大丈夫、何かあったらすぐに兵で蹂躙を尽くせばよい。
「あんなたが有名な百獣の王、マールス殿であったか。お会いできて光栄だ。そして暗殺の件であったな。それは非情に言いにくいことだが、然るべき者に調べさせた結果だ。
私も信じたくはなかったがな……実行犯の男の部屋から証拠となる貴殿の書き記した指示書が大量に出てきてしまっては、庇いだてするわけにもいかぬ……
そして、私は新たな王としてこの件を有耶無耶にするわけにはいかんのだ。分かってほしい……」
「私が書いた指示書だと!そんなものはあるはずがない!どこぞの誰かに騙されているようで、他人のことながら哀れに思えるな!」
言ってくれる……なにが哀れだ!獣の王ごときが私を下に見るなど許されることではない!しかし怒りは今はしまっておこう。ここから少しの間だけでもは一応協議の体を保たねばならん。まだ座ってもいないのだからな。
「では、私も一応は言い訳を聞く準備はしてきました。ゆっくりとそちらの話を聞きたいものですね……」
ようやく座ることができた。慣れない長旅に疲れた体を休ませる。固くて座り心地の悪い椅子だ……それにこの男も気が利かない。まずは座ってほしいと言うのが礼儀であろうに。まあ獣に礼儀を説くのもバカらしい話か……
「まずは、私たちは貴殿の国の王の暗殺にまったく心当たりがない。むしろそちらの寄こした書簡で初めて知ったほどだ。名主グリーンヒル・アガメム殿の冥福を祈らせてもらおう」
「それはそれは……白々しい……」
私の言葉に獣王もその周りのものも苛立っているようだ。まあそれはそうだろう。こんな感じで煽っていけば、もしかしたら向こうが勝手に、兵で蹂躙する理由を作ってくれるかもしれぬな。
「それと!貴殿の国の令嬢マリアント殿であるが、私もあの方に恩がある。拉致などはしていないし、なんならマリアント殿が国を出たのは貴国に問題があるのではないか?」
「そうにゃそうにゃ!」
獣王とその横にいた猫女がわめいている。まったく鬱陶しい。そんなことは百も承知だというのに……私は隣に座ったロズエリアと、その横のローズマリに目線を送る。
「わ、私の妹を返して!マリアントは私の大切な妹なんです!」
「そうです!私の娘、マリアントは無事なんですね!今すぐここで連れてきてください!私たちとに娘を返してください!」
二人が寄り添いながら涙を流し懇願していた……中々の演技じゃないか。私は口元が緩みきるのをこらえる。今にも地べたに寝ころがり、腹を抱え大声で笑ってしまいたい衝動にかられる。
「マリはあんたたちの元に帰りたいなんて思ってないにゃ!」
先ほどの猫娘が大声で喚く。
「大体、そこの姉っていう女はマリをナイフで刺し殺そうとしたって聞いてるにゃ!私の目は黒目なのにゃ!そんな嘘は言わせないにゃ!」
「そ、そんなことは……うそですそんな……」
なぜそこで声が小さくなる。全く使えん女だ。私は仕方なく助け舟を出す。
「どこからそのような話を聞いたか知りませんが、この私の婚約者であるマリアント殿の姉上殿も、その母上殿もマリアント殿を大切に育てていたようです。それをそんな……失礼にもほどがあるのではないですか?」
「いや、この国にきたマリアント殿はすごく生き生きしていたぞ。あと今はこの国には居ない。ついひと月ちょっと前、そっちの母親が寄こした刺客に強引に連れ戻されそうになったからと、また別の国に旅に出ていったよ。
私たちもここにずっといて欲しかったんだがな……」
そんな分かっていることを今更いわれてもな。私は用意していた返答を口にする。
「そんなことを言いながら、この国のどこかに監禁していることはわかっているんですよ!協議の上で属国として罪を償ってもらう道を探っていましたが……どうやらそれもできないようですね……」
「にゃにをいっているにゃ!マリは本当にここでの生活は楽しそうだったにゃ!そっちが余計なことにしなければ、今頃マリは私と楽しく笑って……笑って遊んでたにゃ!」
さっきからニャニャニャとうるさい猫女はなんなんだ!
「さっきから何ですか!にゃにゃにゃと煩い小娘は!」
「なんだと!私の可愛い娘のニャルスを煩いとなんだ!お前には分からんのか!おいっニャルス!こいつにもお前の可愛さを見せてやれ!」
「分かったにゃ!」
どこが沸点だったか分からないが、突然怒り出した獣王にその横の猫女が立ち上がる。
そうかあれが娘だったのか……そんなことを思っていた私は、立ち上がった猫女を眺めていた。
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